シアターフォーラム    
シアターフォーラム 今春の狸は“源氏物語” 『桜吹雪狸源氏』製作発表 - 前編 -

 2001年に新宿コマ劇場と悔田コマ劇場で実現した、宝塚OGによるコメディ・ミュージカル『桜祭り狸御殿』。
 歴代のトップスターを始めとする宝塚OGが大集結しての、サービス精神に溢れる舞台は大好評となり、ファンの声に応えるように2003年『桜吹雪狸御殿』、そして2004年にはレビューを加えて2部構成となった『新版・桜吹雪狸御殿』が上演されて、“狸一座”の評判と動員は年を追うごとに高まっていきました。

 そして4度目となる2005年の公演は、芝居・ショー共に新作となってさらにスケールアップ。
 第1部の『桜絵巻狸源氏』は、日本文学の不朽の名作といわれる「源氏物語」の中の“雨の夜の品定め”を狸の世界に置き換えたコメディ・ミュージカルで、原作の面白さはそのままに、宝塚歌劇出身スターならではの豪華絢欄な源氏絵巻を展開。
 第2部『ショー・イズ・オン』では、スター別のコーナーも設けられ、宝塚歌劇の名曲の数々が歌い繋がれます。


 出演は、鳳蘭、大路三千緒、榛名由梨、峰さを理、若葉ひろみら初演より連続出演のメンバーは元より、第1回以来の出演となる汀夏子、第2回公演より連続出演の安奈淳と麻路さきに加えて、こだま愛や月影瞳が初参加。
 更に、大先輩であり、先日には日本放送協会・放送文化賞を受賞した淡島千景が初めて“狸一座”に加わるのも今公演の大きな注目の一つとなります。


 先日都内で行われた製作発表会見で、総制作としてこのシリーズの実現に力を尽した小林公平氏は、
小林公平  「お陰さまでこの“狸一座”――“狸シリーズ”などと内輪では申しておりますけれども、――今年で4回目を迎えることが出来ました。今年は少しメンバーに移動がございましたけれども、そこはやはり宝塚OGの皆さん、素晴らしいチームワークで立派な舞台を観せてくれるものと確信を致しております。今年は3つほど特筆すべき事がございます。
  まず最初に大先輩の淡島千景さんが初めてご参加いただくことになりました。一同がこの大先輩の胸を借りて、素晴らしい演技をしてくれるものと固く信じているところでございます。
  2番目は初めて中日劇場で公演をさせていただきます。今、名古屋は中部国際空港の開港とか、愛・地球博、愛知万博で大変沸きに沸いておりまして、その中に乗り込んでの芝居、是非その盛り上がり機運にあやかって大成功を収めたいと考えております。
  3番目は従来の梅田コマ劇場が梅田芸術劇場と名を変えての柿落とし公演でございます。単に名前を変えたのではなくて、ハード・ソフトも新しく出発する、――その事を説明する時間はありませんけれども、――単に劇場の名前が変わったのではない、ハードもソフトも変わったというところでの柿落とし公演という事は、私どもにとっても大変嬉しいことであり、また名誉な事だろうと思っております。」 と年々ヴァージョンアップして行く“狸一座”の新たな公演に向けて気合を入れます。

 また、第1部『桜絵巻狸源氏』の作・演出を担当する宝塚歌劇団(特別顧問)の植田紳爾氏
植田紳爾  「去年も申し上げたのでございますけれども「石の上にも三年」、何とか3回目をクリアいたしまして4回目になりました。「仏の顔も三度」と言うような事にならなかったのが大変嬉しく思っております。それはやはり本当に多くの方々が劇場に足をお運びいただけた、また今日御出席の皆様方がそれにご賛同していただいた、という事で今日まで来られたのだと思っております。これはやはり5回、6回、7回と、春の年中行事としてこの狸の公演が出来るように、またOG全部が集まって一年に一回そういうカーニバルが出来るように、頑張って行きたいと思っております。
 内容でございますけれども、今回は源氏物語の雨の夜の品定めのところをパロディにして、狸の世界になったらどうなるのかな、という事でやっております。稽古が始まりまして3回目か4回目なんですけれども、皆和気藹々と楽しく、そして充実した稽古をやっておりますので、是非ともご期待いただきたいと思っております。」と、先を見据えている様子。

 そして、顔を揃えた主要な出演者11人は、それぞれ今回の舞台に掛ける意気込みを

鳳蘭
鳳蘭さん
「年に一度、身体の中で眠っている細胞が活動する時期がやって参りました。大好きな宝塚、大好きな男役、大好きなレビュー、大好きな仲間たちに囲まれて、――時々科白は間違えますけれど、――今楽しくお稽古をしております。ただ一つ気がかりなのはプロローグで淡島さんと日本舞踊を踊るのですが、宝塚の頃、日本舞踊の振り写しの時に気分が悪くなって倒れたと言う前科がありますので、ご迷惑をお掛けするんじゃないかと夜も眠れません(笑)。」

榛名由梨 榛名由梨さん
「私は春が来るとホントに浮き浮きと楽しみに待っております一人で、一回目から全部出させていただいている幸せ者です。1度目は悪役で男役でしたが、2度目からは姫の役で“女役”で嬉しいなと思うのも、宝塚出身だからでしょうか(笑)。科白にある「心が広くて美しい」で皆が笑うんですよ(笑)。これからお稽古を頑張りますが仕上がりが楽しみです。」
汀夏子
汀夏子さん
「植田先生が「桜の季節の“桜絵巻”だけれど、皆相当“うば桜”になっている」と言われる通りですが、宝塚ならではの華やかさ、美しさをお客様に楽しんで喜んでいただければと皆で稽古をしております。」
安奈淳
安奈淳さん
「一番初めの時は病気で出られませんでしたが、以降は出させていただいております。今回、淡島さんとご一緒できるのが本当に嬉しくて、辞めてからご一緒した舞台が三つくらいあるんですけれど、いつも可愛がっていただきましたので、今回もご一緒出来るのが嬉しいです。私は柳橋ではなく狸橋の芸者を演るんですけれど、凄く色っぽい役で「そなたは男経験が豊富だから」という科白があるのですが、お客様が本当だと思われたら困るので、そういうことは絶対にありませんから、そう思ってください(笑)。」
峰さを理
峰さを理さん
「淡島さんの近習役を演らせていただきます。私も第一回目からパーフェクトで演らせていただいていますが、一回目は男役で、2、3度目は女役、この度やっと男に戻していただいたのですが、途中で女に扮したり、男に戻ったり、女になっていたはずが男になったりして未だ自分で気持ちの整理が付いていません。ここは男らしくなのか、女らしくなのか、探しながら楽しみながら演りたいと思っています。」
平みち
平みちさん
「今回初めて女役をさせていただきます。私が初舞台の時のトップスターだったツレ(鳳蘭)さんと、私のサヨナラ公演の時の歌をデュエットさせていただくことがとっても嬉しく思います。あとは尼寺の娘なので、ただひたすら拝んでおりますので宜しくお願いいたします。」
若葉ひろみ
若葉ひろみさん
「私も第一回目から出させていただいておりまして、今回はとにかく淡島さんとご一緒させていただけるのが凄く嬉しいんです。思い起こしますと、――こだま愛さんともご一緒だったのですが――里見浩太郎さんが狸御殿をおやりになった時に淡島さんが一座の座長のお蓮で、私は座員でした。本当にお久しぶりでまたご一緒させていただき、これからもずっと続いて、私も先輩たちとともにまた呼んでいただけるよう頑張りたいと思います。」
こだま愛
こだま愛さん
「この度、初めて狸一座に参加させていただくことになりました。まさしく私は今回ご一緒させていただく方々の舞台を観て、憧れて、憧れて、人生が変わって宝塚に入った人間でございますので、本当に雲の上の方とご一緒にお稽古に入っている訳で、身近に接しさせていただき教えていただいている中で、本当に宝塚に入って良かったなあ、と思います。初舞台の時というより、もっとさかのぼった合格発表を見たときくらいの新鮮な気持ちでおります。その新鮮さが役にも表れたらいいと思っております。観ている方にも桜満開の春を感じていただけるよう頑張ります。」
麻路さき
麻路さきさん
「私は3回目の出演となりますが、また呼んでいただけましたのでブラジルから渡って参りました。出発前に家族からくれぐれもと言われたのですが、嫁ぎ先の祖母が淡島さんの現役中からの大ファンでして、それで「お婆ちゃんのためにしっかりやってこい」と送り出されておりますので、心して頑張りたいと思っております。今回の新メンバーに月影さんも居ますが、一緒に現役時代は組んだこともあり、不思議な縁、巡り合いを感じております。稽古ではずっと狸千代に付いて控えているので、なかなか引っ込む事もなくずっと出ていて、「もしかして出ずっぱり?」と思っております。今回は完全な二枚目だと思って演っておりますので、宜しくお願いいたします。」
月影瞳
月影瞳さん
「今回初参加という事で、毎日緊張しながらもとても楽しく参加させて頂いております。このような場所に最下級生で出させていただくのも恐縮しておりますけれども、一生懸命演じられたら良いと思っております。麻路さきさんともご一緒させていただき、――今回は絡みは無いのですが、――いつも見守っております(笑)。」
淡島千景
淡島千景さん
「今まで“狸シリーズ”には出していただいた事が無くて、私とは関係の無い所でやってらっしゃる、――勿論<若い>ということが一番の問題でございます。――と思っておりましたが、今度初めて出させていただきますので、私は初舞台でございます。初めて出していただいた狸は大変面白うございます。稽古場で見ておりまして、「なるほど、宝塚はいいところだな、素敵な場所だな。」これだけのいろんな色を持った方が沢山集まってやるお芝居ですから、本当に観ていて楽しゅうございます。それを若い時から知っている植田先生や酒井先生が演出してくださるので、良いところを全部出してくださる。安心して芝居をしていられる所だな、みんな卒業して、それぞれお勉強を一生懸命なさって来ている、そこで古巣である宝塚に戻ってきた。――私も勿論そうでございます。―ー自分の家に帰って来たような気持ちで、安心して自分が演るのを忘れて見とれて居る訳でございます。ですから科白も躍りも覚えなくてこれからの戦いでございますが、本当に楽しい、楽しい狸が出来上がると思います。植田先生が「石の上にも三年」と仰いましたけれど、私は「石の上には10年」と思っておりますので、この狸も10年続けていただきたい。その間にはメンバーも変わっていくかも知れません。――まず第一に私が代わると思いますが、――でも楽しいモノをするには、楽しい方たちが集まることが何よりだと思います。ですから今度は、とても楽しい面白い狸だと思います。」
と語り、年に一度の同窓会のような雰囲気を楽しみにしながらも、舞台に掛ける気持ちは相当熱く燃えているようです。

集合写真

  「『桜吹雪狸源氏』製作発表 - 後編 -」 に続く


   

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