シアターフォーラム    
シアターフォーラム 第30回菊田一夫演劇賞授賞式 受賞者ご挨拶

演劇大賞:『ミス・サイゴン』スタッフ・出演者
市村正親、松たか子

(市村正親さん)
 (会場に居るカンパニーに向かって左手を挙げて)皆さん、貰ったよ。お疲れ様でした。
 『ミス・サイゴン』では僕は初演の13年前・・・もう14年前になるのかな、1年半ロングランさせて貰い、あの時は僕個人で大賞を貰ってしまって、カンパニーに申し訳ないなあ、と思っていました。『ミス・サイゴン』というのは装置の規模が大掛かりなので、いつ再演するか、いつ再演するかと思っていても、『レ・ミゼラブル』の様に毎年再演されない『ミス・サイゴン』。ああ、いつかな、いつかなと思ったら、ようやっと再演出来て、再演の時にまたこういうような素晴らしい賞が頂けた『ミス・サイゴン』という作品は、カンパニーの皆もそうだと思いますが、僕自身の俳優人生を変えた作品でもあります。
 ちなみに個人的なことではありますが、このエンジニアという役は年齢不肖な役なので、また再演がある時は、挑戦したいと思っております。その時はまた違った賞が取れるように頑張っていきたいと思います。この100万円は――あの時は確か個人で貰ったんですけれども――今回は製作の方がそれに多少上積みをして皆に記念品を作ってくれる、というような事を聞いております。皆さん、楽しみにしていましょう。どうもありがとうございました。

(松たか子さん)
 ありがとうございます。長い期間の公演を、非常に大きなカンパニーで乗り越えられたことは誇りです。そしてまたスタッフの方やキャストの皆さんとこういう形で再会出来て幸せです、ねっ(笑)。再演があるとして、――エンジニアは年齢不詳ですが、――キムは・・・年齢というハードルはありますが、もし必要でしたら声を掛けてください(笑)。ありがとうございました。

演劇賞:段田安則さん
段田安則  ありがとうございます。『おもろい女』は、私、以前(芦屋)雁ノ介さんが演ってらっしゃるのを拝見して、「何て面白い芝居だろう」と思っておりましたところ、図らずもその役を頂戴いたしました。高井さん、増田さん始め東宝関係者の皆様方、そして臼杵、岡本、両プロデューサーにまず感謝を申し上げます。それから赤木春恵さんを始めまして共演者の方々にも感謝をいたします。そして何より――今は博多座にいらっしゃいますが――森光子さん。良くこんな奴を相手役に選んで頂けたと思いまして、博多の方に向かって御礼を申し上げ・・・(四方を見回して)どこだ? 博多は?(笑)・・・博多に御礼を申し上げます。
 それからシアターコクーンで、これは随分『おもろい女』とは違う、体力的に大変な芝居でございましたが、――題名もちょっと長いので『将門』と呼ばせていただきますが、――『将門』でお世話になりました、シアターコクーンの加藤さん、佐貫さんに御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 賞というものを私は生まれてこの方貰った事がございませんで、初めて、生まれて初めてでございます。小学校4年生の時に京都の岡崎動物園でシロクマを描きまして誉められた事が一回きりでございましたが、その時も賞状というものは貰えませんでした。本当に掛け値なく賞状をこういう壇上で貰いましたのはこれが生まれて初めてでございます。どんな顔をしていて良いのやら、何を喋って良いのやら解らないような状態でございますが、良く私などを選んでいただいた、と感謝申し上げます。頂くというのは大変気持ちの良いものだというのが初めて解りました。是非死ぬまでにもう一回くらい何か頂きたいと、思っております。その為にもこれからも努めて修行をしていきたいと思います。本当にありがとうございました。
演劇賞:大浦みずきさん
大浦みずき  ありがとうございます。まずは選んでいただいた選考委員の方々に本当に御礼を申し上げます。私のような者が頂いて良いのだろうかと、半信半疑でございまして、今も夢のようなのですが、賞状を頂いて、もの凄くやっぱり、嬉しいものだと思いました。
 でも、一重にこれは素晴らしい作品があり、素晴らしいその作品に出会えるチャンスがあり、そして刺激的で魅力溢れる共演者やスタッフの皆さんと巡り会えた、それが一番の要因だと思っております。自分、私一人だけの力では、こんな素敵な幸運に恵まれることは無かったとつくづく感じております。そしていつも支えてくれた家族や、私のスタッフにも本当に感謝をしております。そして今回この受賞のお知らせを一ト月ほど前に頂きましたので、父が亡くなる前に報告することが出来ました。私をバレエに誘ってくれて、宝塚に入れてくれた父に最後に親孝行できました。本当に重ねて御礼申し上げます。今後ともまた素敵な舞台を務めて行きたいと思います。本当にありがとうございました。
演劇賞:永吉京子さん
永吉京子  ありがとうございます。『細雪』『三婆』と歴史有る作品に参加させていただいて、それだけでも大変光栄なことですのに、このような賞を頂きましたこと、本当に身に余る光栄で今でも信じられません。今私がここにこうして居られるのも、その作品に導いてくださったプロデューサー、そして演出家、スタッフ、共演者の方々、それから私の愛する家族と先輩と友人のお陰だと思っております。この感謝の気持ちをいつまでも大切にして、これからも頑張って参りたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
演劇賞特別賞:石井ふく子さん
石井ふく子  どうもありがとうございます。今日は橋田さんもお出でになることでございましたけれども、橋田さんが旅に出ていらっしゃいまして、立つ前に橋田さんのメッセージをいただいておりますので、読ませていただきたいと思います。
 
「この度は栄えある菊田一夫演劇特別賞をいただき、ありがとう存じます。今から55年前、早稲田の学生だったころ、学生演劇にのめり込んでおりました。いつ舞台の脚本を書けるようになるか判らない不安で映画会社に入社し、そして10年後、テレビドラマのシナリオライターとして何とか仕事をするようになったのですが、舞台の台本を書く夢は捨てませんでした。それが石井ふく子さんが舞台の演出をなさるようになり、私に舞台の台本を書かないかと声を掛けてくださったので、諦めていた夢が叶えられ、降って沸いたようなチャンスでした。そして東宝の芸術座で数多くの作品を書かせていただき、この度石井さんと一緒に特別賞を頂けることはこのうえの喜びでございます。授賞式には伺いたいと存知ながら、4月6日から7月中頃まで北極に取材の旅に参り、出席出来ませず残念でございました。東宝の方々、選考委員の皆様、関係者の皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとう存じました。
    4月6日 出発の日に    橋田壽賀子 」

 私も芸術座で31作品を演出させていただきました。その中で22作品が橋田さんの作品でございました。毎年、色んな作品をやらせていただきながら、そこで出演者、スタッフ皆さんと色んな素敵な出会いをさせていただきました。私の亡くなった父から「何でもいいからやれ」と言われて、私が昭和43年にテレビと舞台の仕事をするようになりまして、43年の新橋演舞場でスタートしたのが、舞台の魔力に取り付かれた始めでございました。それからずっと舞台の仕事をさせていただき、本当にこの度こういう栄えある賞を頂戴いたしまして、これからも健康でいい舞台を創っていきたいと思っております。それも皆様に支えていただくお陰でございます。本日はありがとうございました。


『ミス・サイゴン』受賞関係者
記念撮影を行う『ミス・サイゴン』関係者
永吉京子氏と東宝現代劇
記念撮影を行う永吉京子氏と東宝現代劇関係者
記念撮影を行う石井ふく子氏と関係者
記念撮影を行う石井ふく子氏と関係者

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