日本演劇界に置ける故菊田一夫氏の功績を称え、氏の念願であった演劇の発展のための一助として創設された「菊田一夫演劇賞」の第30回授賞式が4月18日に都内で行われ、栄えある演劇大賞に輝いた『ミス・サイゴン』スタッフ・出演者では、カンパニーを代表して市村正親さん、松たか子さんのお二人が受け取られたほか、演劇賞の段田安則さん、大浦みずきさん、永吉京子さん、演劇特別賞の石井ふく子さんが、喜びのスピーチを行いました。(演劇賞特別賞受賞の橋田壽賀子さんは、取材旅行中のため欠席されました。)
1975年度に第1回が行われた「菊田一夫演劇賞」も、2004年度で節目の30回を数えます。今回は2004年4月1日より2005年3月31日までに、東京で上演された作品が対象となり、演劇賞・演劇賞特別賞の受賞者には正賞として平和堂貿易株式会社提供による「ウオルサム高級時計」が贈られたほか、副賞として演劇大賞受賞者には金百萬円、演劇賞・演劇賞特別賞受賞者には金伍拾萬円が進呈されました。
授賞式ではまず選考委員会を代表して天野道映氏より受賞者の紹介と受賞理由が述べられ、それぞれに正賞・副賞が授与された後に、改めて受賞者の方々によるスピーチとなります。
最初に演劇大賞を受賞した、『ミス・サイゴン』スタッフ・出演者を代表して、同公演でエンジニア役を演じた市村正親さんとキム役を演じた松たか子さんが登壇。市村さんが会場の一隅に集まっている関係者たちに向かって「皆さん、貰ったよ」と呼びかけ、松さんと一緒に手を振ります。
そして「初演の時は僕個人で大賞を貰ってしまって、「カンパニーに申し訳ないなあ」と思っていたところ、再演の時にまたこういう素晴らしい賞が頂けて、僕自身の俳優人生を変えた作品でもあります。エンジニアという役は年齢不肖な役なので、また再演がある時は挑戦したいと思っております。」と御挨拶。
さらに副賞の100万円について「今回は製作の方がそれに多少上積みをして皆に記念品を作ってくれる、というような事を聞いております。」と明かし、カンパニー全員で受賞した喜びを分かちあいます。
松さんも「スタッフの方やキャストの皆さんとこういう形で再会出来て幸せです。再演があるとして、エンジニアは年齢不詳ですが、キムは・・・年齢というハードルはありますが、もし必要でしたら声を掛けてください(笑)。」と笑顔でスピーチを行い、会場から暖かい拍手を浴びていました。
また、4月6日より7月中頃まで北極に取材旅行中ということで、授賞式を欠席された演劇賞特別賞受賞の橋田壽賀子さんは書面で、「早稲田の学生だったころ、学生演劇にのめり込んでおりました。映画会社に入社し、テレビドラマのシナリオライターとして仕事をするようになったのですが、石井ふく子さんが舞台の演出をなさるようになり、舞台の台本を書く夢が叶えられ、芸術座で数多くの作品を書かせていただき、この度石井さんと一緒に特別賞を頂けることはこのうえの喜びでございます。」とのコメントを、同じく演劇賞特別賞を受賞された石井ふく子さんに託して御挨拶。
その石井さんは「私も芸術座で31作品を演出させていただきました中で22作品が橋田さんの作品でございました。昭和43年に新橋演舞場でスタートしたのが、舞台の魔力に取り付かれた始めで、それからずっと舞台の仕事をさせていただき、本当にこの度こういう栄えある賞を頂戴いたしまして、これからも健康でいい舞台を創っていきたいと思っております。」と語り、今後の更なる精進を誓って居られました。
全員の御挨拶が終わった後は、矢野誠一選考委員の音頭で乾杯を行い、式典は終了。受賞者の方々は公演関係者や参加者と歓談したり、記念撮影を行ったりして、和やかに受賞の喜びを噛み締めていました。
なお、この授賞式での受賞者全員の御挨拶などは近日中に掲載を致します。どうぞ楽しみにお待ち下さい。