“ハーフタイムシアター”とは、「小説に短編があるんだから、演劇にだってあっていいじゃないか」というアイデアから、通常の2時間分の内容を1時間に凝縮して上演するというキャラメルボックス独自の短編演劇。
短編ならではの特徴を活かし、開演時刻を日替りで幅広く設定したり、土曜日には3ステージの上演を行うなど、さまざまな生活スタイルを持つ観客のニーズに合わせた公演形態が取られています。
作・演出の成井氏によると、これらは氏が“柿本家サーガ”と呼ぶ一連のシリーズ作品で、その第1作であるハーフタイムシアター第1弾『銀河旋律』では、主人公であるニュースキャスターの柿本光介が妻と結ばれる迄が描かれていますが、今回再演される第2弾の『広くてすてきな宇宙じゃないか』では、それから15年後、結婚して3人の子供に恵まれたものの、妻ハルコに先立たれてしまった柿本家が末娘であるクリコを主人公として書かれています。
更にファンタジックシアターとして書かれた『ケンジ先生』では、そのクリコの孫娘が、『怪傑三太丸』では光介の長女・スギエの娘が主人公となっており、これまでに、これら4作品で4代に渡る“柿本家”の人々を主人公にした作品が上演されてきました。

撮影:タカノリュウダイ |
そして今回、ハーフタイムシアターとしては、9年ぶりの新作となると言う『僕のポケットは星でいっぱい』の設定は、『広くてすてきな宇宙じゃないか』から更に15年が経過した柿本家が舞台。
29歳の社会人に成長した光介の長男・カシオのもとに、12歳のカシオがタイムトラベルをして現れるところから話は始まります。
果たして12歳のカシオは何のために17年後の世界にやってきたのか、その目的は? 時間管理局に追われることとなる彼は、無事に目的を果たして元の世界に戻れるのでしょうか?
「“柿本家サーガ”の締め括りとなるこの作品では、過去の4作で明かされなかった柿本家の謎なども明かされることになる」と語る成井氏。
壮大なドラマの新たな展開には、ファンならずとも期待が高まります。
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「15年前に初演された『広くてすてきな宇宙じゃないか』は、脚本は変えませんが、音楽は録り直しを含めて新しくしたいと思いますし、照明・美術などのスタッフワークも一新して、ここまでの劇団としての成長や、熟成をお観せしたい。
また、新作の『僕のポケットは星でいっぱい』では、演出・演技を含めて20年間で到達した現在の劇団の姿を観ていただきたい。」とのコメントにも力の入る成井氏。
『広くてすてきな宇宙じゃないか』初演からのキャストである大森美紀子さん、西川浩幸さんのお二人は「初演の時は出演者は皆20代で、頭の中で創っていたのですが、今では脚本に書かれた年齢に近づいてきて、自然に役と向かい合えるようになりました。劇団員の年齢幅も広がったので、それぞれの役に相応しいキャストになってきましたし、再演することでの発見も多いので楽しみです。」と、6年ぶりの再演に腕を撫します。
「俳優の構成など劇団には周期が有るのですが、今この作品を演るべき俳優が揃ったと思います。」と、劇団としての成長にも成井氏が手応えを感じているキャラメルボックスは “誰が観ても分かる”“誰が観ても楽しめる”をモットーとし、“人が人を想う気持ち”をテーマに年2本のペースで新作を発表、いまや屈指の動員力を誇ります。
最近では、成井氏を始め、西川浩幸さん、上川隆也さんなど劇団外での活躍も目立つキャラメルボックスですが、20周年という節目を迎えて、ますます充実する活動内容に、これからも目の離せない劇団と言えそうです。