2003年夏、世界中で愛され続けている物語「シンデレラ」を、劇作家の鴻上尚史氏が独自かつ大胆な解釈でユーモア溢れるストーリーに仕上げた舞台『シンデレラストーリー』は、大塚ちひろ、橋本さとし、池田成志、デーモン小暮閣下など、異種格闘技戦さながらと言われた個性派キャストの共演も話題となり、大好評の内に幕を閉じました。
そして2005年、再演希望の熱烈な声に応え、2年ぶりとなる上演が東京・大阪・名古屋の3都市で行われることとなり、その公開リハーサルが5月16日、東京公演の会場であるル
テアトル銀座で行われました。
“なぜ魔法が解けてもガラスの靴はそのまま残ったのか”“なぜシンデレラは舞踏会で華麗なダンスが踊れたのか”などなどの疑問を謎解き、童話に感動できなくなってしまった大人にも、もちろん子供にも楽しめるミュージカルとして生まれ変わった『シンデレラストーリー』。
出演者は、シンデレラ役に前回の公演で1,612人が参加したオーディションを勝ち抜き舞台デビュー、以後映画「いま、会いに行きます」やミュージカル『SHIROH』など女優としてのキャリアを積みつつある大塚ちひろ。その相手役の王子チャールズには、ミュージカル『エリザベート』のルドルフ皇太子役に抜擢され、最近では『R&J』の好演も記憶に新しい浦井健治が新たに加わり、フレッシュなコンビが誕生します。
さらに、初演メンバーからは、シンデレラの実父、魔法使い、宮廷ネズミの3役を演じ分けるデーモン小暮閣下、意地悪な継母役の池田成志、宮廷大臣を演じる橋本さとし、らが再集合。
加えて、歌手として活躍しながら演技力にも定評の有る尾藤イサオ、元宝塚歌劇トップスターの高嶺ふぶきなど、より幅広いジャンルから個性的なキャストが揃った2005年版『シンデレラストーリー』は、さらにパワーアップした舞台となりそうです。
舞台稽古の前に会見に応じたのは、大塚さん、浦井さん、デーモン小暮閣下、そして脚本の鴻上さんの4人。
「絶好調です。2回目なのですが凄く違った『シンデレラストーリー』で、パワフルで幸せいっぱいの感じです。」(大塚さん)
「初演も観させていただきましたが、本当にパワーが溢れてみなぎっている作品なので、観られたお客様は絶対何かを持ち帰れる作品だと思います。」(浦井さん)
と、主役のお二人は公演に向けて準備万端と言った様子。
一方、デーモン小暮閣下は「調子は80%くらいかな。20%は長丁場のために温存ということで。」とコメント。これには鴻上氏が「長丁場のため・・・こらーっ!!」と突っ込み、会見場は笑いに包まれます。
再演の舞台を「(初演と)結末がちょっと違うのと、キャストが変わってキャラの濃い方が沢山来てくださったので、一段と濃い話になっています。プリンスも新しく変わって、「私が変わらなくてもいいのか」と思うくらい幸せですね。」と笑顔で語る大塚さん。「「シンデレラ」は女の子なら誰でも憧れる話で、今でも「諦めないから幸せが訪れた」というストーリーに魅力を感じていますし、演じていても元気が貰えるんです。」と憧れの役の再演に意欲を見せます。
そして、「シンデレラと王子は凛と立っていないと物語の柱が崩れるので、(コメディに)引っ張られないように我慢しています。」という浦井さんには、「普段から、全てにおいてプリンス・キャラなんですよ。」と大塚さんが応じるなど、息もぴったりのお二人。
また「役者として舞台に臨む気持ちは、前回の反省点を踏まえて、より向上が目指せればいい。カンパニーのメンバーが多少変わったので、みんなが仲良く出来るように気を配っている。」と語る貫禄のデーモン小暮閣下ですが、鴻上氏の「再演で変えたのは終幕の謎解きの部分ですが、閣下のコンサートに行った時にお客様から猛烈な疑問を提示されて、それに応えるべく解決したのでより良くなったと思いますね。これからも突込みがあれば、本番中でも直しますよ。」との話に、「魔法使いの部分は対応不能なので、変更は勘弁して欲しい。」と、いささか弱気の面も見え隠れします。
「シンデレラは皆さんが知っている話で子供向けだと思われがちですが、全然そうでは無くて、子供から大人まで楽しめる『シンデレラストーリー』は夢いっぱいで幸せいっぱいで元気になれるミュージカルなので、ぜひ観に来ていただいて、その元気を皆さん持って帰っていただけたらいいな、と思います。」と締めくくった大塚さん。
大人も納得し、大笑い出来るミュージカル『シンデレラストーリー』は、「シンデレラ」の新たなスタンダードを目指す試みと言えそうです。
会見でも語られたように今年の『シンデレラストーリー』には初演と少し違うエンディングが用意されています。
2005年のシンデレラはどのような結末を迎えるのか? それは是非ご自身の目でお確かめ下さい。