シアターフォーラム    
シアターフォーラム 皇后陛下が御観劇。 ミュージカル『ラ・マンチャの男』

 6月29日まで東京・帝国劇場で上演中のミュージカル『ラ・マンチャの男』。
 6月21日夜の部には、皇后陛下が行啓されて御観劇になり、終演後には主演のセルバンテス/ドン・キホーテを演じた松本幸四郎丈や、アルドンサ役の松たか子さんらとご歓談されました。


 その後で、報道陣の会見に応じた幸四郎さんは
 「皇后陛下は大変お喜びでした。以前から『ラ・マンチャの男』をご覧になりたいと仰られていたと耳にしていていましたが、なかなかその機会が無かったので今日観ていただけて本当に感無量です。
 貴賓室で30分くらいお話をいたしましたが、「人間はあるべき姿のために戦わなくてはいけない」というテーマを何度も仰ってらっしゃいましたし、音楽にもお詳くてミュージカルとオペレッタの変遷など久しぶりに色々とお話をさせていただきました。」と、念願叶っての行啓に感動の面持ち。

 実は幸四郎さんはこれまでにも、1981年に歌舞伎座で行われた白鸚・幸四郎・染五郎の親子三代襲名披露や、現代劇の『アマデウス』でも、両陛下に御観劇いただいた事があるそうで、
 「コーヒーをいただきながら楽しい話が弾んで、私が――これは、冗談ですけれど――『王様と私』で半年イギリスに行った時に、“王立劇場”と言うのがイギリスにあるので、「皇后様、一つお願いがあります、と。日本には国立劇場や帝国劇場は在りますけれども、王立劇場は在りません。是非皇后陛下のご采配で、王立劇場を日本にも。」って申し上げたら、「それじゃ私が、ドン・キホーテにならなければ駄目ね。」と仰って、「これは大変」と、とても楽しそうにお笑いになり、お話が弾みました。

 松本紀保と松たか子という私の娘二人が一緒に座らさせていただいて、娘たちはどんどん喋っていましたね。こちらは、そうそうは喋れないですけれども、ぺらぺら喋っていて、「いいのかしら?」という感じでしたが、色んなお話をしていましたね。
 この『ラ・マンチャの男』のアルドンサという役は、ファルセット(裏声)と地声を使い分ける歌い方なんですが、陛下はそれを御存知で、「ファルセットと地声を使い分けているのが解かりませんね。」ということを仰っていたんです。それに対してたか子がいろいろ歌い方をご説明していました。
 思いかけず『ラ・マンチャの男』の千穐楽近くにこう言う形で良いパフォーマンスが出来て本当に嬉しいです。」と、ご歓談の様子を語ります。

 「皆さんに聞くと、皇后様はお喜びになってくださったということで、今日は良い舞台だったんじゃないかと思います。舞台っていうのは一瞬で消えてしまうんですよね。歌ったら次の瞬間にはその歌は消えてしまうし、喋った次の瞬間にはその科白は消えてしまう。その日の歌とか科白はその日しかないんですよ。だから一瞬で消えてしまう仕事なんですけれど、その一瞬で消えてしまう魂のようなものを、お客様の胸の中に永遠に感じていただきたいな、というのが役者の仕事ですから。
 舞台と言うのは最終的に幕が開いて舞台と客席とが一体になって初めて完成する芸術ですが、役者は「今日こそは最高の舞台」と思って演るんですよ。今日が駄目だったら「明日!」「明後日!!」そればっかり考えて一生を終えてしまうのが役者ですからね。ですから今日もそういう気持ちで演りました。」と、舞台に臨む心構えを語って会見を締め括りました。

 6月29日の『ラ・マンチャの男』千穐楽には、自らの持つ通算上演回数の日本最高記録を1086回と更新し、ミュージカル通算出演回数が丁度2000回を記録するという新たな金字塔を日本の演劇史に刻む事になりますが、まだまだ先を見据えるその視線には、自らの夢を夢を叶えようとする心意気が、さらに強く輝いているようです。

「ラ・マンチャの男」松本幸四郎

「ラ・マンチャの男」松本幸四郎、松たか子

「ラ・マンチャの男」松本幸四郎、松たか子

「ラ・マンチャの男」松本幸四郎、松たか子、佐藤輝


松本幸四郎
ミュージカル
  『ラ・マンチャの男』

日程  2005年6月4日(土)〜6月29日(水)
会場  帝国劇場
料金  S席 12,500円 A席 8,000円 B席 4,000円 (消費税込)
お問合せ  帝国劇場 03-3213-7221

東宝公式サイト 

「ラ・マンチャの男」松本幸四郎、松たか子、佐藤輝


フォロミー 過去のニュース
次のニュース
当サイト掲載の情報・写真等の転載を禁じます。
Copyrigh(c) Theater forum 1999-2007 All Rights Reserved