2005年7月から9月に掛けて東京・帝国劇場で行われる、ウィーン
ミュージカルの傑作、M・クンツェ:脚本・歌詞、S・リーヴァイ音楽による作品の連続上演。
その第一弾である『モーツァルト!』は7月4日(月)に初日の幕を開けますが、その公開舞台稽古と主役のヴォルフガング・モーツァルトを演じる、井上芳雄さん、中川晃教さんの会見が、前日の7月3日に行われました。
『モーツァルト!』は2002年の初演以来3年ぶりの上演となりますが、今回は6月の大阪・梅田芸術劇場に続き、7-8月の東京・帝国劇場の後は、10月に名古屋・中日劇場、11月に福岡・博多座と全国を縦断しての上演となります。
2000年に東宝ミュージカル『エリザベート』でデビューし、『モーツァルト!』で若手ミュージカルスターの座を不動のものにした井上さん、この『モーツァルト!』で衝撃的なミュージカルデビューを果たした中川さん。2人のヴォルフガングが3年ぶりに戻って来ます。
共演者は、7月は西田ひかるさん、久世星佳さん、高橋由美子さん、山口祐一郎さん、市村正親さんら初演からの豪華キャストが引き続いて出演。そして8月からは、西田さんと久世さんに代わって、木村佳乃さん、香寿たつきさんという、新しい顔が加わります。
記者会見の行われた帝国劇場のロビーに、二幕冒頭の衣裳で現れた井上さん、中川さんのお二人は、既に大阪で一ヶ月の公演を終えている事もあり、リラックスした雰囲気。
「大阪で一ヶ月演って再演での手応え、感触は掴めていると思うので、大阪の勢いをそのままに、この帝劇で初日を開けられたらいいな、と。東京のお客様がどのように反応してくださるかが、ちょっと楽しみでも有り不安でもあります。」(井上さん)
「東京は二ヶ月公演なので、その間で盛り上げていけるように頑張って行きたいと思います。」(中川さん)
と、初日を前にしての心境を語ります。
3年ぶりの上演で、大きな変更はないものの細かい変更が沢山あり、その積み重ねが観る人に新しい印象を与えるのでは。と語る井上さん。
「ヴォルフガングは役としては常に全力で向かい合わなくてはいけないし、表現者として、通じるところがありますね。その人間的な苦悩、喜びとか哀しみとかを演じているので、その時の自分が感じている価値観、経験がそのまま出てしまうという意味で、気の抜けない真っ向勝負をしている感じがします。」と、役に取り組む姿勢について語ります。
一方の中川さんも
「初演からこの役には運命的なものを感じるんですね。初のミュージカルでもあるけれど、歴史的に有名な人物で、その音楽も今でも耳にする訳ですから、人間自体との出会いでも有ると思うんです。架空の人物を演じるのとは違う重みや出会いを感じますし、その出会いに感謝して一生大切にして行きたいですね。」と、やはりこの役には思い入れがある様子。
再演までの3年間、ミュージカルやコンサートなど様々な活躍を経てきた井上さんと、中川さん。質問への受け答え、そしてお互いのやりとりからも、3年前の初演時と比べて成長した姿、そしてお互いを認め合い、信頼している姿が見て取られます。
「初演の感覚・新鮮さを残しながら、同時に深みがあるのが再演の意味であり発見でもあると思うんです。」と語るのは中川さん。
作品の魅力について「基本的には、初演も再演も変わらない魅力を感じていますが、再演の時にはキャストの中にこの作品がより深く収まっていると思います。そしてアマデという存在がいつもヴォルフガングに付き纏っているのが興味的で、徐々にその分身がパラサイトして行くという演出、モーツァルトという実在の人間が残した話と、ドラマティックだけれども確かな人間的な余韻、演出的にも音楽的にも余韻があるのが魅力的だと思います。」と語ります。
そして「核心をより深く感じたのは、モーツァルトという人物が魅力的で、音楽も素晴らしいですが、生き方が人を惹き付けると思うんです。」と言うのは井上さん。
「テーマが、自分の運命=影から逃れられるのかと言う事で、天才の一生なので僕たちとは違うんですけれど、誰もが何かしら運命とか影とかを持っていて、それどどう対峙して行こうかという思いが皆さんにも在る事が、客席からの反応を貰って感じます。ですから、天才の人生を楽しみながら、自分にも問いかけられることがこの作品の凄いところだと思いますね。」と人々を惹き付けるポイントを語ります。
最後に8月から新たに加わる2人のキャストについて聞かれると、
「途中から入って来られて初めてなので、ご本人の心配もあるだろうし、公演をやりながらの稽古なので不安な要素はありますが、新鮮ですし、それでまた刺激をもらって僕たちもきっと変わると思うので、早く来て欲しいですね。」(井上さん)
「この二役は凄く魅力的な人物で、歌うナンバーも凄く象徴的な、良い楽曲を持っているんですね。その楽曲や役に向かう気持ちが、このロングランの中で、活性につながるポジションだと思うし、常に新しいエネルギーみたいなものを長い公演の中で与えててくれるだろうと楽しみです。」(中川さん)
と揃って笑顔を見せたお二人。
この再演で二人のヴォルフガングは、どんな新しい魅力と成長の跡を見せてくれるのでしょうか。多いに期待が膨らむところです。
なお、この井上芳雄さん、中川晃教さんのインタビューの模様は、動画での掲載を準備中です。どうぞお楽しみにお待ち下さい。