2003年にスタートしたクリオネプロデュース公演。
第一弾は、2003年7月、倉持裕が書き下ろし、演出にサードステージの板垣恭一を迎えて青山円形劇場で上演された『SLEEPLESS』。
第二弾は、2003年10月、原作に日本文学の異端児・舞城王太郎作品を起用し、演出に河原雅彦を迎えて新宿シアターサンモールで上演された『バット男』。
と、2004年岸田國士戯曲賞受賞作家である、倉持裕・作の舞台を上演してきました。
そして、その第三弾として、倉持裕自身が作・演出を担当し、書き下ろしたオリジナル作品『パリアッチ』(※
pagliacci=イタリア語で道化師たちの意)が、福岡・西鉄ホール、神戸・新神戸オリエンタル劇場に続いて、7月10日より新宿・全労災ホール/スペース・ゼロで上演されることとなり、その舞台稽古が7月9日に行われました。
今回の作品は、オペラ劇場に囚われた人々の、とある1日のシチュエーション・コメディ。
キャストには、小林高鹿をはじめとするペンギンプルペイルパイルズオールキャスト、三谷幸喜作品でお馴染みの瀬戸カトリーヌ、ラーメンズの片桐仁、たけし軍団のつまみ枝豆と多彩な顔ぶれ。さらに演劇集団キャラメルボックスの細見大輔、阿佐ヶ谷スパイダーズの伊達暁、劇団☆新感線のこぐれ修など小劇場の人気劇団俳優が結集しました。
舞台はとある街の中心、川沿いに立つオペラハウス。本番3時間+休憩3時間という長時間の公演にも関わらず、1年以上ロングランを続けている客席は、その日も満席であった。
そんな劇場の舞台正面に位置しするバルコニー席の奥、床には赤い絨毯が敷かれ、天井からシャンデリアが下がる「立派な部屋」は、今では劇場関係者の溜まり場と化し、主演オペラ歌手のヒモで作曲家(小林高鹿)、マネージャー(伊達暁)、ウェイトレス(瀬戸カトリーヌ)、警備員(こぐれ修・郷本直也)らが退屈な日々を過ごしていた。
しかしその日、その「立派な部屋」には、劇作家(細見大輔)、マネージャーの友人(玉置孝匡)、河川清掃員夫妻(つまみ枝豆・野口かおる)、謎の男女(片桐仁・ぼくもとさきこ)らが次々と訪れることになる・・・
倉持裕独特の日常に潜む不条理と笑い、そして人間ドラマを描いた作品で、出演者たちも、これまでのイメージとは一味違ったキャラクター・役柄に出会い、新しい魅力を発揮するこの舞台。随所に笑いを散りばめながらも、観終わった後、心に引っ掛かるモノに、つい自分の日常を振り返って考える、そんな気持ちになるのではないでしょうか。
部屋の奥に位置する扉の向こう側の劇場では、オペラが日常と変わらずに進行していくその裏側で、繰り広げられるな出来事、徐々に表れてくる人間模様。
そして、まるでカメが首を竦めたように見えるチラシの写真は、そして池からカメが首を伸ばしているように見えるチラシ裏の写真は、何を意味しているのか?
その答えは是非劇場に足を運ばれて、ご自身で見つけられてください。