シアターフォーラム    
シアターフォーラム 世界初! アカペラミュージカル『猫堀骨董店』製作会見

 2004年秋、大阪 HEP HALLでのトライアウト公演で、大阪演劇界に衝撃を与えたアカペラミュージカル『猫堀骨董店』。
 アカペラ音楽が産み出す独特な空気を活かした心地よい大人のファンタジーとして好評を博し、評判が評判を呼んで前売は完売、数少ない当日券を求めて長蛇の列が出来る大盛況となり、新聞評などでも「肉声が奏でる音楽と生身の身体が紡ぎ出す上質な娯楽作品として出色の舞台だった。」との高評価を得ました。
 そして、その実績を踏まえて、さらにバージョンアップした『猫堀骨董店』が、この秋に大阪と東京で再演されることとなり、東京での製作会見が都内のライブハウスで行われ、出演者によるアカペラの劇中歌などが披露されました。

 アカペラ音楽と言えば、「ゴスペラーズ」「RAG FAIR」などの活躍により、ここ数年注目を浴びている音楽で、コーラスのみならず、ドラム・楽器の音まで人間の声で表現することで、様々な可能性を提示してきました。
 また、テレビで放送された「ハモネプ」の影響も大きく、全国にそのムーブメントは広がっていますが、特に関西圏では熱が高く、毎年5月にJR京都駅大階段で行われるアカペライベントは、万を超えるファンで埋め尽くされています。

 そうした中、2001年に結成されたアカペラグループ「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」は、ハーモニー、ヴォーカルのクオリティの高さに加え、スキャットや芝居、ダンス、コントなど様々な要素を織り交ぜた高いエンターテインメント性で目と耳の肥えたファンを虜にしてきました。
 そんな「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」に、神戸出身の女性だけのエンターテイメント集団「TAKE IT EASY!」で脚本・演出を担当し、鏡の世界などさまざまな場所や時代を舞台に、少年・ロボット・人形など性別に捕らわれないキャラクターを使い、独特の異世界表現が「立体少女マンガ」とも評される舞台を創り出す若手女流作家のホープ、中井由梨子がストーリーを提供。

 ここに世界初となるアカペラミュージカル『猫堀骨董店』が誕生しました。

 会見では最初に、「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」が劇中からのナンバーを2曲披露。さらに3曲目には、今回の再演から参加の、ドラム音のみならず効果音などを担当するHuman Beat BoxのMaLさんも加わって、デモンストレーションの後、劇中歌の「♪お気楽上々」を演奏。会見場からは盛んな拍手が起こります。

 続いて、スタッフ・出演者の挨拶となり、最初に今回の作・演出を担当する中井由梨子さんがマイクを持ちます。
 「神戸で女性ばかり7人のユニット劇団を旗揚げして、来年で10年になります。作・演出をして参りましたが、私の作風はエンターテイメント性が強い、――「立体少女マンガ」とも言われているんですが、――衣裳も舞台セットもダンスシーンも沢山盛り込んだ、とても派手な舞台をいつもやっております。マンガの世界が舞台に登場するようで、――自分自身ではファンタジー作家と位置づけているんですが、――その中で昨年「ダイナマイトしゃかりきサ〜カスとミュージカルをやってみないか」というお話を頂いて嬉しかったです。
 大掛かりなセットでフルオーケストラを従え、素晴らしい歌手の皆さんが一流の音楽家の方と創り上げるという大作ミュージカルが沢山有る中で、私は世界中の何処にも無いものを創りたいと思っていました。去年の公演が成功した要因は、お客様にとって人間の声と言うのが何よりも安心すると言うか、原点に返ると言うか、今MaLさんに披露していただいたドラムの音もいつもは機械音でしか聞いていないんですが、それが何故か人間の息の音と声になると、とても親しみのあるような優しい音に聞こえて、自分の身体が自ずとノッてくるようになるな、と思いました。その全体の空気、人間にしか出来ない、人間の限界を試すような作品になっていたことが、一つの成功要因ではなかったのかな、と思います。この根本的なものを踏まえた上で、私はファンタジー作家として、さらに面白い物語を、ただ人間の声だけで魅せるという技術的なものだけではなく、お客様が観て楽しめるようなストーリー、それから心地よい音楽、心に残るような歌詞というのをクォリティの高いものを追求して行こうと思っております。
 昨年はお試しだったので、今回は役者も歌手の皆さんも私の演出も全てバージョンアップして、さらにクォリティの高いものに仕上げていきたいと思っております。」
 と再演に向けての意気込みを語る中井さん。今や全国区となった劇団☆新感線がデビュー当時は「少年マンガを立ち上げた」と言われていましたが、それに対して大阪では「少女マンガを立ち上げた」と評されており、これが東京での初お目見えとなりますが、今後が期待できる注目の演劇人です。

 続けて、出演者の中心となる「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」のリーダー、Kwani(カニ)さんが
 「僕たちは関西を拠点に、東京でもライブ活動をしていまして、普段は音楽とお喋りのライブをしていますが、2年前にシアター・ドラマシティでライブをした時に声を掛けていただいて、去年ミュージカルを初めて実現できました。
 僕たちは結成当初からいろんな事をやりたいな、と思って、お芝居的な要素も――自分たちのライブの中でやるのはコントというレベルであったかも知れませんが――お芝居じみたことも好きで、トライをしていたのが大きな形となって、去年の公演が出来た事が凄く嬉しいです。去年はビギナーの勢いで乗り切ったというのが正直有ったと思うので、今年は更に歌い手としても役者としてもクォリティのもう一つ高いものをやれるように頑張って行きたいと思います。去年の10月から今年まででライブも一杯数を重ねてきて、その中で去年のミュージカルで勉強したものが活かされて来ているし、この一年で勉強してきたものをまたミュージカルに活かせていければな、と思っております。初めての東京公演も頑張っていきたいと思っております。」と、この公演に賭ける熱い思いを語ります。

 さらに、効果音からヴォイス・パーカッションまでこなす、MaLさんは、
 「僕は東京でやっている人間で、普段は渋谷を中心にクラブやライブハウスでの活動が主になります。僕も学生時代はずっと芝居・演劇を仲間同士でやっていましたが、大学で芝居を卒業・・・でもないですけれど、途中からアカペラに物凄く興味を持って、アカペラとコントが融合した形のコミック・アカペラグループという新しいジャンルのグループに4年間所属していました。そこで効果音・声帯模写というのを凄く勉強させてもらったんですけれども、それから2年前に独立しまして、今は一人で色んなアーティストの方とセッションさせていただいています。
 今回ミュージカルに参加という事で、僕が普段音を出す時に思っている事としては、呼吸を――人間みんな誰もがしている呼吸を、――音楽にしていくと言うか、“息を吹き込んでいく”。その音が活きるように息を吹き込んでいくというを凄く意識しながらやるんですけれども、今回、効果音というところで、――色んな人とやらせてもらうのは初めてなんですけれど、――作品に効果音で息を吹き込めたらいいな、と凄く思っています。絵の見える効果音を出して行きたいな、と思っています。皆さんは2回目という事ですが、僕は今回初参加で、凄くパワーのあるメンバーなので、これから本当に本番が楽しみで、しょうがないです。」と、新しい挑戦に気合充分のコメント。

 そして、今回の舞台は人間がファンタジーの世界に迷い込むストーリーとなりますが、その中心となる人物を演じる、多根周作さん。
 「この場に居る事が凄く驚きなんですが、去年は本当に中井さんの知り合いだという、それだけで引っ張っていただきました。「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」とも初対面で、一から創っていったのですが、声の力というのは本当に凄いな、と感じましたね。いつも僕は小劇場で色々とやっているのですが、音楽の力の強さと言うのと、それを人間の声でやると言うこと、本当に色んなものを頂いて、僕の中でも色んな奇跡が起こった忘れられない舞台になりました。
 今年再演するという事で、「東京に進出」って皆さんは仰るんですけれど、僕は「やっと東京に戻って来た」みたいな感じで、去年は「大阪で何やってんねん?」と言う感じでしたが、これでやっと東京の皆さんにも観ていただけるということで、本当に自信を持ってお送りできる作品だと思っていますし、今年はさらにバージョンアップしたものをお届けできると確信しております。
 昨日「ダイナマイトしゃかりきサ〜カス」を久しぶりに聞いて、「ああ、パワーアップしているな」というのを素直に感じてしまいました。僕もあれから何本か舞台に立っているので、彼らに負けないようにいいものを出していって、化学反応させて、ドラマシティと博品館で最高のものを、今でしか出来ないものを創っていきたいと思います。」と力強く語ります。

ダイナマイトしゃかりきサ〜カス
劇中曲を披露するダイナマイトしゃかりきサ〜カス


ダイナマイトしゃかりきサ〜カスとMaL
ヒューマンビートボックスのMaLさんを加えて劇中歌の「♪お気楽上々」を披露

中井由梨子
中井由梨子(作・演出)

ダイナマイトしゃかりきサ〜カス
ダイナマイトしゃかりきサ〜カス


ダイナマイトしゃかりきサ〜カスのリーダー・Kwani(カニ)

MaL
MaL

多根周作
多根周作

 今回の企画・製作を担当する梅田芸術劇場のプロデューサーは「この公演を成功させて、今後も毎年新しい作品を創って行きたいと考えているので、今後の広がりも期待していただきたい。6月にメインホールで上演した『モーツァルト!』から、このアカペラミュージカルまで幅広くエンターテインメントとして楽しんでいただきたい。」と述べ、その第一歩となる『猫堀骨董店』東京公演の成果に期待を寄せます。


効果音もBGMもすべて人間の声!
全編アカペラで綴る、世界初の試み!
ファンタジーながら最後まで目の離せない骨太な物語と肉声が奏でる独特な空気が調和した上質なミュージカル。

世界初の感動は、是非ともご自身の目と耳、そして全身で体感なさってください。


Drama City Produce
 アカペラ ミュージカル『猫堀骨董店』

《 大阪公演 》
日程  2005年9月10日(土) 19時開演 / 9月11日(日) 14時開演 (2回公演)
会場  梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
料金  4,500円 (全席指定・税込)
チケット  梅田芸術劇場チケットカウンター ほかプレイガイド
お問合せ  梅田芸術劇場  06-6377-3888

主催 

関西テレビ/梅田芸術劇場/キョードー大阪

《 東京公演 》
日程  2005年9月25日(日) 14時開演 / 18時開演 (2回公演)
会場  博品館劇場
料金  4,800円 (全席指定・税込)
チケット  博品館劇場 TICKET PARK O3-3571-1003 ほかプレイガイド
集合写真
お問合せ  博品館劇場  03-3571-1003

主催 

ニッポン放送/博品館劇場/梅田芸術劇場

《 羽曳野公演 》

日程  2005年9月17日(土) 15時開演 (14:15開場)
会場  LICはびきの
料金  前売 3,000円 当日 3,500円 (全席指定・税込)

《 木之本公演 》
日程  2005年9月19日(月・祝) 14時開演 (13:30開場)
会場  木之本町スティックホール

企画・製作 梅田芸術劇場

特集ページ/動画 (@nifty)

【ダイナマイトしゃかりきサ〜カス】
 2002年1月に結成した男性1人女性4人のWアカペラエンターテインメントグループ”。見ているお客さんが一緒に楽しめて参加もできるような会場一体型のライブを作っていくことを身上としている。ハーモニー・ヴォーカルのクオリティの高さもさることながら、スキャット・ダンスパフォーマンスなどからお笑い・芝居などまで色々な要素を盛り込んだ何が飛び出すか分からないパワフルでエンターテインメント性に富んだステージには、常に驚かされる。これからも目が離せない、一歩先行くアカペラグループである。
 2005年2月、インディーズアーティストを応援する NTT西日本Presents「KOBE MUSlC AWARD」で見事グランプリに選ばれ、神戸国際会館こくさいホールを沸かせ、名実ともに注目を浴びている。

WEBサイト
 


【多根周作】
 1976年5月8日生まれ、神奈川県出身。
 大学時代に演劇に目覚め、卒業後は加藤健一事務所俳優教室に入所。その後「不消者(けされず)」のレギュラーメンバーとして、客演を含め年間多数の舞台に立つ(不消者は2004年5月に解散)。
 また今年新たに演劇ユニット「ハイリンド」を結成。12月に旗揚げ公演として、土田英生作品『―初恋』を加藤健一演出で送る予定(於:江古田ストアハウス)。
 主な舞台出演は、TOON BULLETS! 2ndSHOT『ジップアップ!』(2003/10)、不消者第9回公演『帝銀事件の頃』(2003/12)、第10回公演『あした待たるるその雲を』(2004/5)、加藤健一事務所 vo1.57『コミック・ポテンシャル』(2004/7)、佐藤正隆事務所『アザー・ピープル』(2004/12)。ミノタケプラン『さらば、スターマイン』(2005/6)、他多数。
 舞台以外にも、「真珠婦人」「顔」「動物のお医者さん」などの連続ドラマに出演している。

【MaL】
 2004年までアカペラユニット「Chu Chu Chu Family」のヴォイスパーカッションとして、ドラム音のみならず、生活で生じる様々な効果音の声帯模写を武器に注目を浴びる。現在はソロのHuman Beat Boxとして、国内外の様々なジャンルのアーティストとのコラボレーションを展開。類い稀な技術と天性のリズム感で観客を魅了する。

【中井由梨子(TAKE IT EASY!):作・演出】
 1996年結成された女性ばかりの劇団 TAKE IT EASY!の作・演出を、旗揚げ以来(第1回公演以外)すべて手掛けている。これまでに、1930年代の上海・平安時代・近代イギリス・鏡の世界などさまざまな場所や時代を舞台に、少年・ロボット・人形など、性別にとらわれないキャラクターを使い、独特の異世界を表現してきた。TAKE IT EASY!とともに、「立体少女マンガ」とも評される独特の作風を、エンターテインメントとアートの方向からさらに極めることを目指している。

《 ストーリー 》 
シトシトと雨の降るある日のタ暮れ。「猫掘骨董店」と看板のぶら下がった小さな店に、一人の青年が入ってきた。「買い戻したいものがあるんですが。」青年が青白い顔で切り出す。「売ってはいけないものを売ってしまったんです。」しかし青年は、自分の
売った肝心なものが思い出せない・・・。 ふと気付くと、青年は大勢の客の集まるフロアに立っていた。そこは、旅人ならば一度は訪れる場所、宿屋「七階」だった。青年を歓迎するかのように、ショーが始まる・・・。 そんな中、「猫堀骨董店」の秘密が明らかになっていく。どうやら、「猫堀骨董店」で売買されているものは、「人間の記憶」らしい。そして、どうやら青年が買い戻したい「骨董品」も、過去に青年が売ってしまった何らかの「記億」のようだが・・・。


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