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シアターフォーラム 大地真央・イライザ15周年 11月帝国劇場公演『マイ・フェア・レディ』製作発表

 ブロードウェイ、ロンドン、『エリザベート』『モーツァルト!』のウィーンミュージカル、『ローマの休日』などの和製ミュージカル、今では日本中で様々なミュージカルが上演されていますが、日本で最初にブロードウェイ・ミュージカルが上演されたのは1963年9月、東京宝塚劇場での『マイ・フェイ・レディ』(演出:菊田一夫 出演:江利チエミ、高島忠夫 ほか)でした。

 ロンドンの下町に住む花売り娘・イライザ。ヒギンズ教授の特訓で華麗なる社交界の華に生まれ変わり、やがて二人に愛が芽生える……。初演の江利チエミから数えて6代目、1990年の帝劇公演に初登場した大地真央のイライザは、その美しさと歌唱力に加えて抜群のコメディセンスを持ち、役作りへのこだわりとキメ細やかな視点での演技は観客を魅了。以降、大地さんの代表作のひとつとして再演を重ねて来ました。

 そして大地・イライザ誕生から15周年を迎えた2005年、この世界中で愛されているミュージカルが11月に帝国劇場では6年ぶりとなる上演が決定、その製作発表会見が9月8日に行われました。

会見風景

 今回、製作発表の舞台となったのは、東京・品川区にある大井競馬場。
 イギリスでは競馬場は紳士・淑女の社交場であり、劇中でもイライザのW淑女としてのテスト”の場として、女王陛下もお出でになるというアスコット競馬場での場面がありますが、今回はそれにちなんでのこと。そのシーンの舞台衣装である貴婦人のドレス姿で、他の出演者と共に豪華馬車に乗っての登場した大地さんは、好天の競馬場に「気持ちいいですねぇ」と笑顔を見せます。

 これまで総公演数858回を数える『マイ・フェア・レディ』で、その半数を超える436回でイライザを演じて来た大地さん。
 2002年5月の名古屋・中日劇場より、演出に西川信廣氏を迎えた21世紀ヴァージョンとして生まれ変わった舞台は、同年7月の福岡・博多座、2004年8月の梅田コマ劇場(現・梅田芸術劇場)でも絶賛され、いよいよ東京での初お披露目となります。
 今回の公演の千穐楽では、出演回数も473回(総公演数895回)と伸ばし、夢の出演回数500回が間近となってきます。

 その大地さんを始め、石井一孝さん(ヒギンズ教授)、羽場祐一さん(ピッカリング大佐)、上條恒彦さん(ドゥーリトル)、そして演出の西川さんが顔を揃えた会見では、まず西川さんが、扮装したキャストを見渡して開口一番、「今日は競馬場という事で、僕も騎手の衣裳をお願いしたのですが却下されました(笑)。」と会場の笑いを誘います。
 そして「最初(2002年)の時は、僕はミュージカルよりもストレートプレイの方が多いので出来るかなと思ったのですが、ドラマ性が強いミュージカルで有るという事と、真央さんと仕事が出来るという事で頑張ってみました。ドラマ性とイギリス社会の階級性みたいなものを強く出したいなと思って、随分プレッシャーも有ったんですけれど、出演者の方に助けられて評判も良く出来上がったと思っています。今回、東京で新メンバーでやるということで、帝劇も初めてですし、また新たな気持ちで緊張してゼロからのスタートの気持ちでやりたいと思っております。」と、新演出の狙いを語ります。

 続けて大地真央さんが、「今回、21世紀ヴァージョンとなって東京でお披露目する事が出来る事を嬉しく思っています。何年前からやっているとか、何百回やったとか、そういう事は意識しないで、新しいキャストの方々と新たな気持ちで、初めてやるくらいの気持ちで取り組みたいと思っています。新鮮な気持ちで、その時に感じるもの発見したものを大事に、鮮度を失くさないというのが一番のテーマかな、と思っています。」とご挨拶。

 続けて、今回が初出演となる石井一孝さんが、「大好きな作品で非常に嬉しく思っていますし、大変な役を演らせていただくと、身の引き締まる思いでいます。大地真央さんと共演させていただくことを非常に嬉しく思っています。かれこれ5作目くらいの共演になるのですが、ここ10年くらい、色々アドヴァイスをいただいたり、時には叱られたりしながら来ましたので、今までご指導いただいている恩返しになるように、――僕で8代目だそうで、――素晴らしい先輩方が演られていた役でプレッシャーも有りますが、僕なりのヒギンズ教授を演じてみたいと思います。」と語り、「僕は観客として10回以上観ていると思うのですが、ミュージカル史上でも三本指に入る傑作だと思っています。ヒギンズ教授は朗々と歌うような曲は殆ど無くて、芝居唄っぽい、殆ど歌っていないような印象を受けるのですが、どの程度歌ってどの程度歌わないのかということを、上手くポイントを持っていくと、ちょっと違ったヒギンズ像になるのかな、と思っています。」と新たな役作りへの意欲を見せます。

 同じく初出演となる羽場祐一さんは、「僕はストレートプレイばかりやってきた人間で、ミュージカルということで、自分でもどうしてしまったんだろう、と戸惑っております。カラオケにも行かない人間なので、きっと皆様にご迷惑を掛けると思うのですが、この『マイ・フェア・レディ』で大地さんの演じるイライザが一生懸命発声練習をして、だんだんきちんと喋れるようになるように、私も現場できっちり歌の発声練習をさせられて、怒られて、叩かれて、何とかお聞かせ出来るようになればいいな、と希望的観測でここに座っております。ずっと昔に映画で見た作品なので、古典の名作というイメージなのですが、それに僕が参加する、登場人物を演じるという事が凄く不思議な感じがしています。僕は僕でしかないので、僕が素直に感じたり、思ったりしたことをきちんと身体に乗せて、大地さんたちに届けてあげられれば、今回参加した意義があると思っています。」と語りますが、少し不安気な様子も覗きます。

 そして6年ぶりのドゥリトル役となる上條恒彦さん。「真央ちゃんが大好きなんで、凄く楽しみにしていました。この人は綺麗なだけじゃなくて、凄く悪戯っぽいので、舞台で注意しながら、警戒しながらやろうと思います。」とベテランらしいコメント。そして「僕は、ヒギンズ教授の家に乗り込んで行って相手をコケにして5ポンド貰ってくるシーンが一番好きなんですが、石井君は前から知っているものですから、イビリ甲斐が有ると凄く楽しみにしています(笑)。」と笑うと、石井さんが思わず「恐いな」とつぶやき、会場から笑いが起きる場面も。


 会見では、劇中のアスコット競馬場の場面で、イライザの美しさに惹かれた青年フレディが、「7番の馬券を持っていますよ。ドーバーという馬です。宜しかったらこれをお持ちください。レースを楽しく見られますよ。」とイライザに馬券をプレゼントするシーンにちなんで、大地さんから7番の馬券が集まった報道陣にプレゼントされるという洒落た演出もあり、それぞれ、財布などに仕舞う姿も見られました。


 「上流と下町との出会い、言葉のかかわり合いで、それぞれの人物が変わっていく、ヒューマンなドラマ性の高い作品。舞台上で上下の高さを強調し、装置をシンボリックにシンプルにして、人間性を浮かび上がらせる演出を目指した。」と西川氏。

 さらに洗練され、さらにパワフルなステージとなって、大地真央のイライザが6年ぶりに帝劇の舞台に帰ってきます。

大地真央
大地真央(イライザ)
石井一孝
石井一孝さん(ヒギンズ教授)
羽場祐一
羽場祐一(ピッカリング大佐)
上條恒彦
上條恒彦さん(ドゥーリトル)
西川信廣
西川信廣(演出)



帝国劇場11月公演
  
『マイ・フェア・レディ』

 出演:大地真央 石井一孝 羽場祐一 浦井健治
     月丘夢路 上條恒彦 ほか
 演出:西川信廣

日程  2005年11月4日(金)〜11月28日(月)
会場  帝国劇場
料金  S席:12,500円  A席:8,000円  B席:4,000円
前売  電話プレイガイド 2005年9月17日(土) 発売開始
帝国劇場窓口   2005年9月24日(土) 発売開始
(前売方法の詳細は、下記東宝サイトをご参照ください)
お問合せ 帝国劇場 03-3213-7221

東宝サイト 


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