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シアターフォーラム 鳳蘭さん、紫綬褒章を受章

 宝塚歌劇団星組男役トップスターとして、『ベルサイユのばら』のフェルゼン、『風と共に去りぬ』のレット・バトラー、『誰がために鐘は鳴る』のロバート・ジョーダンなどの大役を演じ、1979年8月に退団した後もミュージカルを中心に数多くの舞台に出演して、精力的に活動を続けている“ツレちゃん”こと鳳蘭さんが、2005年秋の褒章で紫綬褒章を受章されることになり、その喜びの会見が行われました。


 冒頭で「“清く正しく美しく”の教えを守り今日まで生きてきました。このような私を見つけてくださり、紫綬褒章を頂きました事を心より感謝申し上げます。これからはこの章に恥じないよう、大好きな歌・踊り・お芝居を続けて行きたいと思います。」とご挨拶を述べられた鳳さん。

 「宝塚を退団して、もう25年経つんですけれど、未だ今でも宝塚の生徒のような気分です。何か辞めたような気がしなくて、それほど宝塚という傘がとても大きいのだと思います。「宝塚」という傘の端っこに、かろうじて頭だけ突っ込んでいるのではないか、宝塚時代の私が人生の一番のピークだったと思います。後は静かな湖のさざなみのような人生を送りたいと思っております。」と現在の心境を語ります。


 受章の実感を聞かれて、「宝塚の頃が最高潮で今は目立たないと思っていましたので、「何で私なんだろう」と思っています。この間大阪でタクシーに乗ったら「芸能界引退して何年経ちますか?」と聞かれて、「ああ、そうか。テレビとか映画に出ていないと、もう引退したって思われちゃうのかな。」ってちょっとショックだったんですけれど、とにかく舞台一筋に生きたことかな、と私は思っています。」と答える鳳さんは、「紫綬褒章の重みもその意識も“清く正しく美しく”の中に含まれていると思うので、これから変わろうとは思っていません。」と受章後も変わらぬ気構えの様子。


 今回の受章を「入院中の母に直ぐに知らせて、これで親孝行が出来たと思いました。」との事ですが、これまでを振り返り「自分に対する辛い事はどんな事でも耐えられます。いつももっと辛い事を想像して「この程度なら我慢できる」と。自分の辛い事はこれからも平気です、相手に幸せになって欲しいといつも思っていますから。自分の事よりも、相手が幸せになることばかり考えて今まで生きてきました。舞台にしても私生活にしても全て「自分はどんなことでも耐えられる、周りの方が幸せになればいい」、それが私の生まれ持ったサービス精神なのかも知れません。」と、その信条を明かします。

 そして、「宝塚時代以来のファンと今も一緒に歩んでいるという気持ちが強いです。その頃のファンの方たちと、女優になってから新しくファンになってくださった方で随分広がりましたし、私のことを愛してくださる方には、倍返しではありませんが愛を返したいな、といつも思っています。ファンの人たちと一緒にこの喜びを分かち合いたい。多分皆泣いてくれると思います。」と笑顔を見せる鳳さん。

喜びを語る鳳蘭さん

鳳蘭

今後の活動については「多分これからも今までと同じように淡々と、――私は歌と踊りとお芝居と三つとも大好きなんですね、――だからミュージカルが沢山出来ればいいな、と思っています。出来たら日本のミュージカル界を引っ張って行けたらいいな、と思って、ミュージカルの母のような気分で今はいます。」と語り、後に続く若手に「ミュージカルってお芝居をしていて、もっと表現したい時に踊り出して、もっと表現したい時に唄い出す、その段階の素晴らしさを自分が自覚して、お客様にその素晴らしさを解かっていただいて、自分が楽しんで相手に伝える、とにかく相手が感動しなければ意味が無いと思います。自分だけの満足ではなくて、自分が犠牲になってもとにかく相手を幸せにする、というようにこれから勉強していったらいいと思います。」とメッセージを送っていました。

 鳳さんの紫綬褒章受章後初となる次の舞台は、『三文オペラ』で知られるドイツ生まれのユダヤ人作曲家、クルト・ワイルがたどった道のりを綴るミュージカル・ヴォヤージュ『ベルリン・トゥ・ブロードウェイ』。2005年11月24日〜27日に東京のル テアトル銀座、12月5日・6日には大阪のシアター・ドラマシティで上演されます。


   

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