11月4日に東京・有楽町の帝国劇場で初日を迎えたミュージカル『マイ・フェア・レディ』。
1963年9月、日本で始めて上演されたブロードウェイミュージカルであるこの作品で、主役のイライザ役は、江利チエミ(1963〜1964)を初代に、2代目=那智わたる(1970)、3代目=上月晃(1973)、4代目=雪村いづみ(1976)、5代目=栗原小巻(1978〜1984)と引き継がれてきました。
そして1990年、6代目イライザとして帝国劇場に登場した大地真央さんは、その華やかな美しさとコメディセンス、そして役への深い洞察で観客を魅了。以後15年間に渡って再演が重ねられ、大地さんの代表作の一つとなりました。
その『マイ・フェア・レディ』が新たに演出として西川信廣氏を迎え、装置も一新して21世紀バージョンとして生まれ変わったのは2002年の名古屋・中日劇場。
その後、福岡・博多座、大阪・梅田コマ劇場(現・梅田芸術劇場)での上演を経て、いよいよ東京での初お目見えとなります。
また、今回の公演ではヒギンズ教授役に石井一孝さん、ピッカリング大佐役に羽場祐一さん、フレディ役の浦井健治さんなど、新たなキャストが参加。月丘夢路さん、上條恒彦さんらのベテラン陣に加え、初演でフレディを演じた藤木孝さんがゾルタン・カーパシー役で31年ぶりに『マイ・フェア・レディ』の舞台に戻って来たのも話題の一つです。
初日を前にして帝国劇場で行われた記者会見には、大地さんを始め、石井さん、羽場さん、浦井さん、そしてイライザの父ドゥリトル役の上條恒彦さんが衣裳姿で登場し、この公演に掛ける意気込みを語りました。
大地さんは15年目を迎えたイライザ役について、「共演者、スタッフ、そしてお客様のお陰でここまで続けてこられました。我ながら凄いんだなと思っています。衣裳が重かったりするので体調管理は毎回意識しています。」とコメント。その衣裳のサイズは15年間変わらないそうですが、「変えていただけないんですよ(笑)。きちっとした特別な仕立てなので、この作品になった時は私が衣裳に合わせることになっています。」と笑顔を見せます。しかし、特別なダイエットなどは行わないということで、日頃より自らを厳しく律しているプロ意識が垣間見えます。
「この21世紀バージョンになって、やっと東京でお披露目出来ます。新しく参加してくださっている皆さんと、お馴染みのお父っつあんと、本当に新しく生まれ変わった『マイ・フェア・レディ』をお見せ出来ると私自身も楽しみにしています。」と自信を伺わせるコメントの大地さん。
一方、初出演の石井一孝さんは、「大好きな作品だったのでずっと客席で観ていたのですけれど、実際に真央さんのイライザを目の当たりにすると身が引き締まりますね。このイライザを下町の花売り娘から公爵夫人に見えるまで引き上げるというのは大変な役だと思いますが、この作品に出させて貰うのはとても光栄です。」と、意欲を見せます。
また、「身が引き締まっています。ただ、この21世紀バージョンというのは、飾り立て、割と派手だった20世紀バージョンと違って舞台がとてもシンプルになったので、役者がそれを埋めなくてはいけない部分が随分増えたんだな、ということで大暴れしたいと思っています。」と笑いながら腕を撫すのは、大地さんが「お父っつあん」と慕う上條恒彦さん。
さらに、「みなそれぞれ個性的で、上条さんは頼れるし、真央さんが居るとピリッとするし、石井さんがいるとボヤッとするし、適材適所ですね。」と言う羽場さん。
「アスコット競馬場のシーンで、真央さんがチラシにもポスターにもある衣裳で出られてきたんですけれど、あまり綺麗なので演技なしでポーッとしてしまって、素で行ける役だと思います。」と浦井さん。
大地さんが「中身の濃い稽古をしてきましたので、チームワークは良いです。凄く楽しく、私はただボヤッと演っております。」と笑顔で話すように、メンバーの息もぴったりのようです。
「イライザが好きで、作品が好きで、楽しい作品にしたいという気持ちでいっぱいです。一回一回を丁寧に大切に、イライザを生きたいと思っています。」という大地さんは
「”これぞミュージカル!”という王道の作品なので、ミュージカルをご覧になったことの無いという方に、是非来ていただきたい。もちろんミュージカルファンの方は特に来ていただきたい。どちらの方の来場をお待ちしております。」とユーモアたっぷりのメッセージで会見を締め括っていました。
なお、今回の公演中、11月12日(土)夜の部の公演で、大地真央イライザは公演回数450回を迎え、記念のカーテンコールが行われる予定になっています。