シアターフォーラム    
シアターフォーラム 東京から、世界が始まる。ミュージカル『マリー・アントワネット』

 2005年12月1日、200人のオーディエンスと報道陣の前にその姿を現した、2006年11月・12月帝国劇場公演、ミュージカル『マリー・アントワネット』。

 『エリザベート』『モーツァルト!』と立て続けの大ヒットで、日本ミュージカル界にセンセーションを巻き起こした、作家・作詞家のミヒャエル・クンツェ氏と作曲・編曲家のシルヴェスター・リーヴァイ氏のお二人に、東宝が依頼したのは、日本を代表する小説家の一人で、一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある遠藤周作氏の小説「王妃マリー・アントワネット」のミュージカル化でした。

 日本でも『ベルサイユのばら』などで有名な、オーストリアの皇女に生まれ、18世紀フランスの激動期に生き、最後はギロチンの露と消えた王妃マリー・アントワネット。史実に巧みに創作を織り込んだこの小説では、その対極にある貧しい境遇の女性マルグリット・アルノーを王妃に比することで、“貴族”と“平民”、“贅沢”と“赤貧”、“絶対王政”と“自由・平等”という対比・対立を描き、更にこの『M.A.』という同じイニシャルを持つ二人と、その周囲の人々の運命を描くことで、歴史が個人の運命にもたらした、時には残酷とも思える変転をダイナミックに描き出しました。

マリー・アントワネット ロゴ
 「マリー・アントワネット」と「マルグリット・アルノー」。この2人を象徴的に表現しているのが、今回の公演のシンボルマーク。
 クンツェ氏が語ったところに拠ると、「上の黄金色で古いデザインの「MA」はマリー・アントワネットが自らの印として、所有していた家具などにも付けていたもので、国を治めるというような雰囲気を醸し出している。金色は支配階級を示し、気位の高さ、豊満であること、自分たちが民衆より一段上に位置する事を示している。それに対して、下にあるモダンな文字の「MA」は、マルグリット・アルノーを象徴しており、赤は血の色でもあり、革命を象徴する色でもある。それを対比させる事によって、作品の中にある対立が見て取れる。そして赤は、愛の象徴でもある。」との事でした。

 これから数多く見るであろう、このシンボルマーク一つをとっても、この作品に対する作者の深い思いが見て取れるようです。

 そして、そうした深いテーマの脚本と並び、ミュージカルにおいて大きな位置を占める音楽は、今回の製作発表で5曲が披露されました。
 もちろん、実際に劇中で歌われる時は、また違った味わいになることは予想されますが、その音楽性の高さは、今回の作品、そしてキャストに対する期待を一段と高めてくれました。
 今回、披露された5曲と、その唄われる背景は次の通りです。


1.「♪Turn,Turn」 
 (仮題「悲しみを涙で」 英語での歌唱)
 < マルグリット:新妻聖子 & アニエス:土居裕子 >

 数年ぶりに再会したマルグリットとアニエス。成長したマルグリットに気づかないアニエスだったが、2人を再び結びつけたのは、昔マルグリットがアニエスに教えた、思い出のこの曲だった。歌い手・聞き手両方の心を癒し、慰めるこの曲は、劇中歌い手を変えて数回登場するが、いずれもタイトルにもある通り「Turn」、日本語で回転…すなわち変化の時に歌われている。

新妻聖子、土居裕子
笹本玲奈


2.「♪100万のキャンドル」
  原題「Blinded By A Thousand Candles」
  < マルグリット:笹本玲奈 >

 マルグリットは貧困に苦しむ民衆を助けてほしいとマリー・アントワネットに嘆願するが、一笑に付されてしまう。貧民に目もくれず、自分たちのことだけを考えて贅の限りを尽くす貴族たちをマルグリットは嘆き、目を覚ますよう訴える。


3.「♪神は愛してくださる」
  原題「God Cares For All」
  < アニエス:土居裕子 >

 なぜ神は民衆にこんなにも苦しい思いをさせるのか、祈っても答えを見出せないアニエス。しかし彼女は「神は弱き者こそ愛してくださるはず」と、どんなに辛くても神の愛を信じ、希望を捨てることなく祈り続けようと歌う。


土居裕子

新妻聖子


4.「♪A Voice In My Heart」
  (仮題「私の心が訴える」 英語での歌唱)
  < マルグリット:新妻聖子 & アンサンブル >

 貧困に苦しむ民衆と、それを見て見ぬふりをする貴族たち。例え助けを求めても誰も助けてくれない最悪の状況の中、マルグリットは今こそ立ち上がる時が来た、希望を持って世界を変えるのだと決意する。

アンサンブル男性
アンサンブル女性


5.「♪すべてはあなたに」
  原題「All I Do」
  < マリー・アントワネット:涼風真世 & フェルセン:井上芳雄 >

 許されぬ恋に落ちてしまったマリー・アントワネットとフェルセン。いつか一緒になりたいという夢が決して叶わぬことを知りつつも気持ちを抑えきれない2人は、その辛さも、お互いへの愛も、両方を胸に秘めて生きていこうと誓う。

涼風真世、井上芳雄
涼風真世 井上芳雄

 世界初の楽曲お披露目を終えた出演者たちは、その後に行われた囲み会見では、一応に安堵の表情を浮べながら、この東京発、世界行きとなるミュージカルのオリジナルキャストに選ばれた喜びとプレッシャーを語ってくれました。

 この囲み会見の模様は、動画でご覧頂けるように現在作業を行っておりますので、どうぞお楽しみにお待ち下さい。


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