既に一ヶ月間の公演を過して来たとあって、会見前には市村さんが「明るくね!」と声を掛け、一家が「はい!」と答えるなど、既に家族の絆は完璧な様子の出演者たち。
博多座の公演では色々とハプニングも有ったようで、三女のチャヴァを演じる安部麻実さんが「歌っている最中に額に付けたワイヤレスマイクが外れた。」事を、次女・ホーデル役の剱持たまきさんは「マイクを間違って外してしまって、危なく駅の場面でマイク無しで出るところだった。」事を明かします。
市村さんは落ち着いた様子で「芝居と言うのは毎日がハプニング、同じようにやっているように見えても、あっちこっちで色んなハプニングが起こっている。芝居そのものがハプニング。」と語り、妻のゴールデ役の浅芽陽子さんも「細かいことは色々ありますよね。」と応じて共にベテランの貫禄を見せますが、長女・ツァイテル役の匠ひびきさんが明かした「相手役のモーテル(駒田一さん)のコンタクトレンズが両眼とも落ちてしまった。」時には、「眼鏡のガラスが割れたのかと思ってびっくりした。」ということで、やはり動揺した模様。
さらに浅芽さんが「舞台にキャンディの青い包み紙が落ちていて拾い上げた」と言うと「俺も拾いたかったけれど、さすが女房だと思った。」と市村さん。「ホカロンを拾った人も居る」という話に、「まあ、金目の物は落ちてないね。」と返して、会見は笑いに包まれます。
東京公演の初日で、テヴィエ通算100回目を迎える市村さんですが、「森繁さんが900回演って自分も観ていたし、この役が来るとは、まさかテヴィエを演るとは思わなかった。」そうで、「出演の話が来た時はモーテルだと思った。」と笑いながら、「でも最初に宣伝写真を撮った時に、コスチュームを着けたら誰が見てもテヴィエになっていて、これなら演っていいかと思った。明日で無事に100回を迎えるけれど、まだまだ森繁のおやじさんには敵わない。」と、この作品を名舞台に育て上げた森繁久彌さんに思いを馳せます。
東京公演を前にして、「森繁さんが開拓したこの『屋根の上のヴァイオリン弾き』の中には、いっぱい森繁さんが創った宝物が埋まっている筈。その宝物を一回一回の舞台で見つけられたらいいなと思っています。」という手紙を森繁さん宛に書いたという市村さんは、「まだまだ探れば探るほどきっとそういう宝物が出てくると思います。それを明日から始まる公演の中で、千穐楽までの間にまたいくつか見つけられたらいいな、というのが今の気持ちですね。」と意欲を見せます。
「僕らが見つけた宝物だという所を、お客様は客席で「ああ、ここに宝物が有ったわ」と思っていただければありがたい。」と会見を締め括った市村さん。
宝物が散りばめられた珠玉の舞台は、また新たな歴史を刻み始めたようです。
この『屋根の上のヴァイオリン弾き』は、2月26日(日)昼の部で、通算上演1,300回目を迎えます。
また、この日生劇場公演では、S席・A席に余裕のある公演回に限り、当日学生割引(学生証提示)としてS席(12,000円)をA席料金(6,000円)で、A席(6,000円)をB席料金(3,000円)で発売(開演の一時間前から)するとのことです。
各公演回の発売の有無など、詳細は前日に下記の東宝テレザーブ、もしくは帝国劇場までお問合せください。
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