今回の公演ではテヴィエの妻ゴールデに新たに浅茅陽子を迎えたほか、両親の下を巣立って行く娘たちに匠ひびき(長女ツァイテル)、剱持たまき(次女ホーデル)、そしてミュージカル初挑戦となる安倍麻美(三女チャヴァ)とテヴィエ一家のキャスティングを一新。
さらに駒田一(仕立て屋モーテル)、吉野圭吾(学生パーチック)、鶴田忍(肉屋ラザール)など、多彩な顔ぶれが揃います。
顔寄せの冒頭、東宝の増田憲義(東宝演劇担当常務)は「この『屋根の上のヴァイオリン弾き』は1964年にニューヨークで初めて出来あがり(9月・インペリアル劇場)、それからわずか3年後、帝劇が新装開場しましてから未だ1年と経たない時に日本でも公演を行いました。皆さん御存知の通り、その時のテヴィエは森繁久彌さん、ゴールデが越路吹雪さん、次女が浜木綿子さん、四女がいしだあゆみさん、五女が岡崎友紀さん、モーテルが今の松本幸四郎(当時は市川染五郎)さん、黒柳徹子さんがフルマセーラ、そしてヴァイオリン弾きが竹邑類さん、ほか多彩な方々の豪華絢爛な出演でございましたが、その頃は日本にミュージカルが入って最初の頃でしたので、このメンバーでも中々お客様が入らなかった公演という伝説になっています。」とスタート時の苦境を振り返ります。
そして「それから8年後に日生劇場で再演を致しました。――この“日生劇場”という所がミソなんですけれども、――その公演から売り出したら電話が止まる事が無いという勢いで切符が売れ、この『屋根の上のヴァイオリン弾き』は本当にプラチナ公演、切符も取れない程の人気公演になりました。8年間の中での色んな人達の努力、あるいは『屋根の上のヴァイオリン弾き』の魅力と言うものが日本の人達に浸透したのだと思います。それ以来、長い年月に渡り、携わった熱意有るスタッフと出演者がタスキを渡して来て、いつも素晴らしい作品を演り続けて今日を迎えました。この作品は東宝にとっても本当に宝物の作品です。これからもどうぞ新しい皆さんの力で、今の『屋根の上のヴァイオリン弾き』を、――つい最近、ニューヨークでも新しい演出でやっていますが、――「昔良かったからやる」というのでは無くて、その時代、その時代の、今の『屋根の上のヴァイオリン弾き』を演出家と共に皆さんの考えと力で、創り続けていただきたいと思います。」と、新たなカンパニーを前に、力を込めての挨拶を行いました。
また、1月に公演が行われる博多座からも関係者が駆け付け、代表して小橋常務が「東京に先立ちまして、この名作を上演させていただける事はこの上も無い喜びでございます。博多座の全従業員挙げてお待ち申し上げております。博多という所は、日本海がすぐ近くで大変寒うございます。今日も雪が降るなど大変寒い所ではございますが、食べ物は大変美味しい所でございますので、身体に気をつけていただいて、2006年の口火を切っていただきたいと思います。九州はじめ、山口や広島のお客様も心待ちにしております。」と、新たな年の最初の公演となる舞台に期待を寄せます。
スタッフ・キャスト全員が紹介された後、「これからの稽古が正念場だと思っております。ミュージカルですのでパワーが必要です。エネルギーを大変消耗すると思います。これから25、26日までのここでの稽古が我々の行き先を左右するのではないか、と思うくらいこれからが大変だと思って、それにはまず体力、気力、健康面に充分気を付けてください。そしていいものを創ろうという皆さんの気持ちが一つになれば、素晴らしい作品が仕上がると確信しています。」と顔寄せを締め括った、製作担当の宮崎プロデューサー。
そうした激に応えるように、外の寒さとは反対に稽古場にはキャスト・スタッフの熱気が篭ります。
顔寄せの後、冒頭のナンバーである「♪トラディション(しきたり)」、そしてこのミュージカルで最も有名なナンバーである「♪サンライズ・サンセット(陽は昇りまた沈む)」が歌われる、ツァイテルとモーテルの結婚式の場面の稽古が公開され、名曲の持つ力と美しいハーモニー、そしてボトルダンスに代表される振付の見事さなど、この作品の素晴らしさの一端が披露されました。
また、公開稽古終了後には、テヴィエ一家(市村さん、浅茅さん、匠さん、剱持さん、安倍さん)への囲みインタビューも行われ、それぞれに今回の公演に賭ける意気込みなどを語りました。
この顔寄せと、囲みインタビューの模様は近日中に動画でもご覧頂けるように作業を進めております。どうぞお楽しみにお待ち下さい。
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