シアターフォーラム    
シアターフォーラム 第31回菊田一夫演劇賞 授賞式

受賞者
左より:山口e也 、浦井健治、新妻聖子、マルシア、内野聖陽、鹿賀丈史

 1975年に創設され、今年で31回目を迎えた菊田一夫演劇賞の授賞式が4月21日に行われ、「ミュージカルという様式からからドラマティックな部分を抽出して見事な人間像を描き出した」と称され、演劇大賞に輝いた鹿賀丈史さんを始めとして、受賞者の方々が晴れの席で歓びを語りました。

 今回の審査対象となったのは2005年4月1日より2006年3月末日までに東京で上演が行われた作品で、授賞式では最初に審査委員の一人である矢野誠一氏から、「今回の選考はいつになくスムースに短時間で終了しました。選考委員の意見が一致したこともありますが、皆さまの仕事が傑出していたと考えられます。」との今回の選考経過が報告され、続いて審査委員長である松岡功氏から賞状が、矢野氏から正賞のウオルサム高級時計(平和堂貿易株式会社提供)と賞金が各受賞者に手渡されたあと、一人づつ歓びのスピーチが行われました。


 鹿賀丈史さん「大きな賞をいただきまして身が引き締まる思いです。『ジキル&ハイド』は昨年3度目の公演でしたが、普通のミュージカルとは色が違い、感動するものでも華やかものでもなく、人間の悲しさ、恐ろしさを表現した作品で、評価して貰うのが難しい作品だと思いましたが、一公演一公演、人間の生きるという事を少しでもお客様に感じ取っていただけたらと思い演じていました。『レ・ミゼラブル』のジャベールは、19年前の日本初日に演じた役で、2000回記念で17年ぶりに演じましたが、17年間で自分は成長したのか、演技は技術的に上手くなったのかと色々考えながら臨んだ舞台で、それが評価されたことは本当に嬉しく思っています。今回の受賞で役者は日々続けている限り勉強だという事を改めて感じました。ますます精進をして行きたいと思っています。」

 内野聖陽さん「僕が菊田一夫演劇賞という栄誉ある賞をいただいて、一番驚くのは二つともミュージカルでの受賞だという事です。僕は今迄ストレートプレイをやって来て、ミュージカルを始めてからそれほど時間が経っていないのですが、こうしてマクヒースとトートで受賞できた事が心から嬉しいし、「もっともっと精進しろよ」という菊田先生の声が聞こえて来るような気がしました。マクヒースは非常にハードな公演で、思い出すのは「頑張ったな、俺!」という舞台ですが、ジョン(・ケアード:演出)との出会いが一番大きくて、演劇を創る楽しさを一番感じて、毎日稽古が楽しみでした。心から演劇を愛する人間として、素晴らしい演劇を立ち上げて行こうと言うカンパニーで、それが一番エキサイティングでした。トートも初演から再演を重ねて、その度に自分の役者としての欲が凄く出てくる作品で、演る度に新鮮さを感じた作品でした。僕の中で記念すべき作品でこういう賞をいただけたことがとても励みになるし、これからもっともっとエキサイティングで観る人がワクワクするような芝居を創っていきたいと思っています。」

 マルシアさん「2001年に『ジキル&ハイド』と出会い、ミュージカルにデビューしてまだ5年です。それから色々な作品も演りましたが、私の道を開いてくれた作品であり、ミュージカルの歌など、一から覚えたことはいっぱいありますし、今でも勉強中です。ルーシーは非常に難しい役でどう演じれば良いのか解らず、本当に鹿賀さんには凄く助けられましたし、今も助けていただいております。再演の度に気持ちを新たに舞台に立っていますが、今回このような素敵な賞をいただき、「マルシア頑張れよ」と背中を押されたようで、今後も自分を磨きながら舞台を愛して歌いつづけて生きたいと思います。」

 新妻聖子さん「こんなにも歴史のある素晴らしい賞をいただけるなんて夢のようでして、今日の日を迎えるまで信じられないだろうな、と思っていましたが、今この場に立っても信じられない思いでいっぱいです。私は大学在学中、テレビのレポーターをしていた時に『レ・ミゼラブル』のオーディションを受け、何も経験のない私をエポニーヌに選んでいただいて文字通り何とか2003年に初舞台を踏むことができました。その演劇・ミュージカルとの出会いから3年しか経っておりませんが、振り返るとその日、私は何と言う素敵な、かけがいの無い出会いをさせていただけたんだろう、としみじみ感謝しております。昨年は挑戦の一年でしたが、初めてのオリジナルミュージカル、初めてのストレートプレイで我武者羅に周りの方の期待に少しでも沿えるようにと演って参りましたので、こんな大きな御褒美をいただけて、二作品に関わった全ての方にお礼を申し上げたいと思います。これからも一生懸命、誠実に舞台を務めて行きたいと思っております。」

 浦井健治さん「とても僕がいただいてはいけない賞かな、と思いつつ、本当に光栄に思っております。この賞は僕一人がいただいたものでは無いと思っていて、『アルジャーノンに花束を』『マイ・フェア・レディ』に関わって出会えた沢山の人たちと、そしてお客様と創り上げて来たものにいただいたのだと思っています。最近本当に強く思うのは、デビュー当時から支えてくださった方や、家族など沢山の人に支えられて僕は舞台に立っているのだなということです。そういう時にこういう賞をいただき「もっともっとしっかりした演技を演っていってくれよ」と言われているような、そういう意味合いの賞だと自分の中では考えています。この賞に似合うしっかりした芝居が出来るように日々精進してこれからもやって行こうと思っています。」

 山口e也さん「私がこの世界に入るきっかけを作っていただいた東宝の皆さま、本当に感謝しております。25年くらい前に帝劇で『スゥイニー・トッド』というミュージカルが上演され、そこに私は役者として参加させていただいて、その後、東宝の作品にスタッフとしてお誘いいただいて現在に至っております。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』という素晴らしい作品に巡り会えたことに大きな感謝を持っておりますし、その製作過程において諸外国のオリジナルスタッフとの共同作業で色々な事を学び、そして研鑚を重ねて参りました。『レ・ミゼラブル』は来年で20周年を迎えますが、その間に素晴らしい才能と実力を持った俳優さんたちと巡り会えたことが私の宝ですし、その事が今日こんなに大きな賞をいただけるに至ったと本当に皆さんに感謝しております。鹿賀丈史さんは初演以来のつきあいで、日本のミュージカル界を戦い抜いてきた戦友のような気がしています。菊田先生の『マイ・フェア・レディ』以来、創っていただいたこのミュージカルの通を太く長く、さらなるレベルアップを目指していくことが私の使命だと思っております。」


 そして、選考委員の近藤瑞男氏の音頭により乾杯が行われた後、受賞者は菊田一夫氏の写真の前で記念写真に収まり、改めて今回の受賞の歓びと今後の活躍を胸に刻んでいました。


 また、授賞式の後、鹿賀丈史さん、マルシアさんのインタビューが行われ、その歓びを改めて語っていただきました。
 この授賞式の模様、ならびにお二人のインタビューは動画でご覧いただけます。

鹿賀丈史

内野聖陽

マルシア

新妻聖子

浦井健治

山口e也

鹿賀丈史 内野聖陽
左より:鹿賀丈史、内野聖陽

マルシア 新妻聖子
左より:マルシア、新妻聖子

浦井健治 山口e也
左より:浦井健治、山口e也


 関連ニュース
 第31回菊田一夫演劇賞 大賞は鹿賀丈史、演劇賞は内野、マルシア、新妻、浦井の各氏 

特集・動画ページ


フォロミー 過去のニュース
次のニュース
当サイト掲載の情報・写真等の転載を禁じます。
Copyrigh(c) Theater forum 1999-2007 All Rights Reserved