この『Into the Woods』は、2000年に新国立劇場で手掛けた『太平洋序曲』が作詞・作曲者でもあるスティーブン・ソンドハイム氏に絶賛され、氏の強力な推薦によって、同作品のアメリカ公演、そして演出家としてブロードウェイデビューを果たした宮本亜門氏が、ソンドハイム・ミュージカル第2弾として2004年に初演したもの。
宮本氏はこの作品の演出によって、2004年の朝日舞台芸術賞秋元松代賞を受賞、また壮大な森を劇場全体に作り出し、観客をメルヘンの世界に誘った美術の礒沼陽子氏も2005年読売演劇大賞最優秀スタッフ賞の栄誉を得るなど、高い評価を得ました。
さらにオリジナル通りの15人編成のフルオーケストラが豊かに奏でるソンドハイムの円熟した美しい音楽、複雑な物語の展開を表現する歌詞を吟味した言葉で綴った橋本邦彦の翻訳・訳詞、ドラマと音楽の劇的な変化に合わせて明暗を鮮やかに見せる中川隆一の照明、『エリザベート』の衣裳デザインを手掛け、今回も童話のイメージに命を吹き込んだ朝月真次郎の衣裳など、圧倒的な力量のスタッフが創り上げた舞台は2005年読売演劇大賞
優秀作品賞を獲得しました。
再演となる今回、出演者は初演で絶賛された諏訪マリー(魔女)、小堺一機(パン屋)、高畑淳子(パン屋の妻)、シルビア・グラブ(シンデレラ)、藤本隆宏(シンデレラの王子)などに加え、新たに、天地総子(ジャックの母)、矢崎広(ジャック)、これが初舞台となる宮本せいら(赤ずきんちゃん)らが参加、さらにグレードアップした舞台創りを目指します。
今回の公開稽古で披露されたのは、第一幕冒頭、パン屋夫妻と赤ずきんちゃん、魔女が登場する場面と、第二幕ラストシーンの登場人物全員が出演する場面の二箇所。
宮本亜門氏は台本を片手に精力的に動きながら、今回初参加の宮本せいらさんらにちょっとした動きから、曲とのタイミングなど細かい指示を出し、何度も同じ箇所を繰り返しながら、作品を練り上げて行きます。
また、稽古終了後には集まった報道陣に対して「2年ぶりの再演となりますが、再演と言うのはますます面白くしたいという意気込みがありまして、是非皆さんにもまた劇場に足を運んで頂きたいと思います。」と挨拶した亜門さん。
そして出演者の諏訪マリーさんは「2年前は歌うのが大変だったのと、役柄も慣れていなくて大変だったのですが、無我夢中で演りました。今回は少し楽になるのかと思ったら、稽古が始まるとこんな調子で、歌ももっと難しく感じているし、お芝居も演出家が変えてくれるので(笑)、でも新しい解釈でまた一つ新しい挑戦だと思いながら前向きに取り組んで行きたいと思っています。」と、改めてこの作品に挑戦する気持ちを語ります。
さらに小堺さんが「再演と言うのは「再び演じる」と書きますが、それは前を覚えているから言える事で(笑)、始まる前は覚えていると思っていたのですが、稽古をしてみたら何も覚えていない事が日々解って参りました。逆に「初演のつもりになれるな」とプラスに解釈しております。」と周囲を笑わせ、高畑さんも「このカンパニーを信じて、この作品を出来ることを歓びとして、この第三次産業が皆さまの思い出の一ページになるように、この一つの家族で船出をしたいと思っております。初心に戻って死ぬ気で演ります。」とコメントし、再び周囲から笑いが起こるなど、集中力の高まる稽古中とは一変して、カンパニーとしての一体感有る、明るい一面も伺われました。
また、この後で宮本亜門さん、諏訪マリーさん、小堺一機さん、高畑淳子さん、天地総子さんの5人によるインタビュー会見が行われ、さらに今回の再演に対しての熱意や、意気込みを語っていただきました。
初演から2年を経て、より磨きのかかった完成度の高さが期待される今回の公演ですが、この公開稽古の模様とインタビューにつきましては、改めて動画での掲載をいたしました。こちらもどうぞ楽しみください。
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