2002年に韓国KBSで放送された後、日本では2003年に衛星放送での放映から火が着き、その後、再放送や地上波での放送も行われていずれも高い視聴率を獲得、韓流の一大ブームが巻き起こるきっかけともなったテレビドラマ「冬のソナタ」。
その「冬のソナタ」の監督ユン・ソクホ氏が、自ら芸術総監督として韓国最高のミュージカルアーティストたちと共に創り上げ、今年1月〜2月に札幌で上演されて大きな話題を呼んだ『冬のソナタ
ザ・ミュージカル』が この秋に東京と大阪で上演されることとなり、その製作発表会見が6月26日に東京・新宿のコマ劇場で行われ、ユン・ソクホ氏をはじめ、主要キャストが勢揃いして劇中のナンバーを披露すると共に、この公演にかける意気込みなどを語りました。
この日歌われたのは、ユジンへ愛を告げる前に交通事故に合ってしまったチュンサンが、精霊たちに記憶と命のどちらかを選ぶように迫られる場面の「♪記憶をくれれば」、チュンサンとユジンがお互いに惹かれる気持ちを初めて告白する場面で歌われる「♪愛でしょうか」、そしてチュンサンがユジンに伝えきれなかった気持ちを伝える「♪マイ・メモリー」の3曲。
今回の公演では、札幌公演でその高い演技力と迫力あるヴォーカルで観客を圧倒し、韓国ミュージカル界のレベルの高さを知らしめた、イム・テギョン(チュンサン)、パク・ホンジュ(ユジン)、イ・ピルスン(サンヒョク)、チン・ボクチャ(チュンサンの母)らに加え、Wキャストとして、イ・サンヒョン(チュンサン)、イム・ガンヒ(ユジン)が参加、映画「猟奇的な彼女」の主題歌「♪I
Believe」や「タイフーン」の音楽も手掛けたキム・ヒョンソク作曲の壮大でロマンティックな楽曲を歌い上げます。
韓国では数々のテレビドラマシリーズを手掛け、多くの受賞暦もあるユン・ソクホ監督ですが、ミュージカルはこれが初めての挑戦だったとのこと。ドラマと今回のミュージカルとの違いについては「舞台の現場性を生かすにはファンタジー性が必要で、そのために精霊を登場させました。これが一番目の違いで、二つ目はエンディングが少し違います。ドラマでは当初頭に描いていたストーリーが視聴者の反応で少し変わったのですが、今回は元々のエンディングになりますし、後は登場人物の役割も少し変わります。」とのことで、テレビシリーズとは少し違う、もうひとつの『冬のソナタ』となりそうです。
「ブロードウェイやロンドンミュージカルのようなスケールやエンターテイメントとは違って、アジアならではの情緒的なもので構築されたユニークな舞台で、そこに魅力があります。」と、その出来映えには自信を覗かせるソクホ監督。
さらに出演者については「ミュージカルは音楽的な要素が大きな役割を果たすので音楽的才能を持っていていること。」が必要であり、「ユジン役は純粋でありながら美しく、女性らしいイメージの容姿と声を備えた人で、チュンサンとミニョンの二役を演じる男性は、優しさとタフさを表現出来る声と外見を持った人。音楽的な要素とドラマ的な要素のバランスを取りながらそれにあったキャストを選びました。」と語るソクホ監督。そのユジン役とチュンサン役はそれぞれWキャストとなりますが、今回の製作発表での組み合わせは未だ仮のものであり、実際にはこれから稽古を進めて決めるとの事でした。
そして、素晴らしい歌声を披露してくれたキャストの面々は、それぞれに
イ・サンヒョン(チュンサン役)「今回の『冬のソナタ
ザ・ミュージカル』、素晴らしいメンバーと素晴らしい作品を創り上げることが出来ると思っております。是非多くの皆様、観に来てください。」
イム・テギョン(チュンサン役)「私が『冬のソナタ ザ・ミュージカル』に出演を決めた理由は、非常に近い国である日本の方たちに、感性的に良く解かっていらっしゃる作品をミュージカルという別のジャンルを通じてお見せすることに意義を感じたからです。そのように私が一番最初に持っていた意欲が色あせることのないよう、皆さんに多くの感動を与えるため、これからも頑張っていきたいと思っております。こちらのコマ劇場は非常にフィーリングが良いですし、大阪の公演も非常に期待されます。皆様是非見守ってください。」
イム・ガンヒ(ユジン役)「先ほど監督のお話の中で“真実さ”というのがありましたが、私は演技をする者としてこのような真実味を持って演技をし、ご覧いただく多くの皆様に感動と笑いを与えたいと思っております。どうぞ多くの皆様観に来てください。」
パク・ホンジュ(ユジン役)「個人的な話ですが、私は日本に来ることによって良い事が沢山ありました。私は少し痩せていて体がもともと弱かったのですが、日本に着たら食事も口に合って太りました。そのような意味で日本は私を非常に幸せにしてくれる国でした。そのような日本にまた来ることが出来て本当に嬉しいと思っています。この『冬のソナタ
ザ・ミュージカル』はドラマで一度放送した内容をミュージカル化したのですけれども、ストーリーに違いがあるのかというような疑問が残るかもしれませんが、ドラマとはまた違う感動を得ることが出来ると思っておりますので、是非皆様観に来てください。」
と日本のファンに向けてメッセージを送り、この秋に行われる公演をアピールしていました。
会見の最後を
「私は「冬のソナタ」と関連して日本と行き来することで、いろいろと感じることが沢山有りました。韓国にも日本を指して“近くて遠い国”という言葉があるのですけれど、日本でもこのドラマが放送されて以降、例えば非常に堅いお医者さまの集まりや、経済人の集まりの中で「冬のソナタ」の話が取り上げられて、非常に和やかな雰囲気の中で順調に事が運んだ、という話を良く耳にして、文化の重要性というものを改めて感じました。ですからミュージカルであれ何であれ、今後も韓国と日本のこのような交流が活発に行われて欲しいと思っておりますし、両国間の文化が活性化することによって、両国間に置かれている問題が克服され、素晴らしい未来に向かって進んで行くことを希望しています。」と締めくくったソクホ監督。
誰もが胸を打たれるストーリー展開、そして美しいビジュアルと叙情的なメロディに満ちた『冬のソナタ ザ・ミュージカル』。
「ドラマと同じところも有りますし、内容が異なっているところも有りますが、テーマである記憶の重要さ、思い出の大切さは同じです。」ということで、テレビドラマを欠かさず見ていた方にも、何となく乗り遅れてしまった方にも、生の舞台でしか味わえない新たな魅力、新たな感動が得られる舞台となりそうです。
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