大竹しのぶさん、紫綬褒章を受章会見〜テキスト

質疑応答

●紫綬褒章の知らせを受けられたのはいつでしょうか

大竹 春くらいから言われていまして、正式には9月くらいだったと思います。

●初めて耳にした時はどんなお気持ちでしたか

大竹 (以前に受章した)お友達の(中村)勘三郎さんや柄本(明)さんや、野田(秀樹)さん、市村(正親)さんのパーティに出ていたりしていたので、「え、私も!」と吃驚しました。

●一番最初にどなたに知らせましたか

大竹 最初に言ったのは勘三郎さんかも知れないですね。

●ご家族には

大竹 あまり興味が無いみたいで(笑)、「ああ、良かったね」というくらいです。

●さんまさんには

大竹 言ってないです(笑)

●今は『ピアフ』の上演中で、ピアフも恋に生き、仕事に生き、紆余曲折の有った人生でしたが、長い間女優を続けて来て大きな章を貰って、自分自身で大竹しのぶは大した女優だと思われていますか

大竹 (笑)自分でですか・・・大した女優とは思っていない、体力が有る女優だなというのは凄く思います。今演っている芝居でも、芝居をすればするほど、放出すればするほどエネルギーが自分の中に蓄積されて行くのが解るので、体力は限りなく有るんだなというのは舞台に立っていると感じますね。

●映画や舞台で沢山の賞は貰っていらっしゃいますが、叙勲というは初めてですよね

大竹 割とお年を召した方がお取りになるのかなと思って、私もそういう・・・もう54になったので・・・長い間やり続けて来た事に対して評価して頂いたんだなと思って。繰り返しになりますけれど、身体が健康でいられた事というのは――私を健康な身体に生んでくれた両親に対してもありがたいと思います。

●今年は映画に舞台に急いで走っているような気がしますが、一年を振り返ってこの章を貰える様な仕事をしてきた実感はありますか

大竹 緒方拳さんが「役者っていうのは10年に一回、「ああ、本当に良い仕事が出来た」と思えて、そういう役に巡り合えたら幸せなんだ」って仰っていたことがあって、今回の『ピアフ』にしても、この間のテレビドラマにしても、『身毒丸』にしても、巡り合う役たちが本当に私にとって素晴らしい役だったので、幸せ者過ぎるなと思います。本当にその役たちに会えた事が私を凄く成長させてくれているので、演じて来た役に感謝しています・・・変な言い方ですけれど。

●女優を続けて来て色んな事があったでしょうが、今は幸せですか

大竹 はい、幸せです。

●今、恋はしていますか

大竹 『ピアフ』を演っていて、この間勘三郎さんが観に来てくださって「自分も恋をしなくちゃね」というメールを貰いました。だから、していないです。

●これまで女優を続けられて来た中で、「これは!」という手応えを感じた作品をあげていただけますか

大竹 私にとっては、浦山(桐郎)さんの「青春の門」の最初のワンカットで、一時間河原でお弁当を食べないで幼馴染を追いかける役作りをしなさい、って最初の基本を教えてくれて、その「青春の門」が出来上がって、日比谷映画という――今はもう無いですけれど――そこの完成披露試写会に行った時に、私がボロボロ泣いたら監督が「お前を見てくれるお客さんにお礼を言いなさい」と言って、――17才の時ですね――お客様に対して泣きながらお礼を言ったのを覚えています。それがずっと、今もこれからも、お客様に対して「観てくださってありがとう」と必死になって役を演るという私の基本になっています。

●今回の紫綬褒章受章で今後の女優活動にどのような影響があるとお考えでしょうか


大竹 それは解らないです。自分の中では何も変わらず今まで通りやって行きたいと思っているので変わらないと思います。

●東日本大震災から7ヶ月が経ちましたが、これから冬を迎える被災地のファンの方に向けて今後、女優としてどのように活動されたいですか

大竹 丁度あの時、私はコンサートをやろうとして中止にしたんですけれども、あの時ほど自分の仕事に対して無力と言うか、何も出来ない――多分役者は皆同じ事を考えていたと思うんですけれど――「頑張ろう」とか言えない状態の時にいったい芝居と言うのはどれだけ大きな力を与えられるんだろうか、って考えました。きちんと仕事が有って、余分なお金が有って芝居と言うのは観て貰えるんだな、とちょっと落ち込んで――多分皆同じような事を考えていたと思うんですけれど――でもやっぱり芝居でしか元気を与える事は出来ないので、これからもエネルギーを与えると言うことで舞台の上からやっていきたいなとは思っています。後は音楽でいつか――今年はずっと忙しかったので出来なかったのですけれど――届けに行きたいなというのは今思っています。

●今後、実際に被災地に行かれて活動されることも考えておられるんですね

大竹 はい。後、――宣伝しちゃうけれど――今、私ラジオもやっているので(※「オールナイトニッポンGOLD」ニッポン放送 毎週木曜日 22:00〜)、テレビとは又違う、ラジオというもうちょっと緩やかに言葉を発信するメディアを使って、色々と毎週考えて行こうという事は今もやっています。

●『ピアフ』は東京公演に続いて地方公演もありますが、この受章が励みになると思われますか

大竹 章というのは嬉しいですし、励みにもなります。ただ一つ言えるのは章を頂いてしまうと自由で無くなるというか、一回ニューヨークで公演した時は凄く楽で、お客様は70%くらいアメリカの人だったので凄い自由に芝居が出来て東京に居る時よりももっと楽だったんですね。だから、私はどこかで「上手なモノを観せなくては」っていう自分が居るのを認識して、だから章を頂いたからと言って「私は上手なモノを観せなくちゃ」「イイモノを観せなくちゃ」というプレッシャーにならないようにと逆に思います。

●それは、より自然体で演じると言うことでしょうか

大竹 はい。

●大竹さんは今回の『ピアフ』といい、常に難しい役や新しい作品、色々な監督や演出家と組まれて凄くチャレンジ精神が有ると思うのですが、そのチャレンジ精神を支えているのはどのようなものでしょうか

大竹 多分、自分の中に凄く強いものが有って、それは長く生きれば生きるほど強くなって来たのかも知れないんですけれど「絶対に出来る」と。座右の銘が「まあいいか」っていう部分もあるんですけれど、若い時から口癖が「頑張ろう」と「大丈夫」だったんで、何か「絶対に大丈夫」という、ここを目指して行けばというのが有るかもしれません。だから出来るとか出来ないとか考える前に演りたいか演りたくないかで結構物事を好きか嫌いかとか、そういうのできめちゃっている部分は有ります。

●「演じる」ということについては大竹さんにとってどのような事でしょうか

大竹 何だろう・・・『ピアフ』のセリフの中に「私が歌う時は私を出すんだ、全部丸ごと、私の全てを」っていうのがあるんですけれど、本当に全部出したいし、さらけ出したいし、さらけ出さないといけないと言うのがあって、それによってお客さんが解放されて、お客さんが解放されると私も開放されるという、劇場のある一つの高みまで行った時が一番私のエネルギーになるなと思います。それが解放するにはいい脚本といい演出といい共演者じゃないと駄目なんですけれど、やっぱり演劇は全部出したいと思います。ピアフのようにクスリ使ってまではとは思わないですけれど(笑)

●長い女優人生の中で、これが転機になったと思われる作品・人との出会い・出来事などありましたら教えていただけますか

大竹 沢山ありますけれど、やはり最初に結婚した主人との出会いと、その当時つかこうへいさんと会って、――NHKのドラマだったんですけれど、――その時つかさんに何も考えずに前に出る芝居のやり方を教えて貰った事。それとやはり、(明石家)さんまさんとの「男女7人・・・」というので私の軽い部分というか、コメディも楽しく思えるというのを出して貰えたって思えます。後、蜷川(幸雄)さんとか野田さんとか、ピアフじゃないですけれど、いろんな男の人たちが支えて来てくれたな(笑)というのは思います。・・・そう言ったらカッコ良いですね(笑)。

●来年以降、仕事に対する抱負などはありますか

大竹 来年は年明けに蜷川さんとまたシェイクスピアをやって、ロンドンの公演が控えています。海外に行くと言うことが客観的な立場で観て貰うということで、――私にとって凄くニューヨーク公演は刺激的だったので、――また一つの原点に戻れるかな、っていう年なので凄く楽しみです。でも、今年は少し忙し過ぎたので、もう少し他人のお芝居を観たりとか、映画を見たりとか、そういう事をしたいなと思っていて、あと希望としては、新藤(兼人)監督が百歳になるんですけれど、短い映画でも良いから撮ってくれたら凄く嬉しいな、って思っています。


『ピアフ』

 

公演情報

キャスト  エディット・ピアフ 大竹しのぶ
 
イブ・モンタン 

田代万里生
  テオ・サラポ  碓氷将太
  シャルル・アズナブール  KENTARO
  マルセル・セルダン 山口馬木也
スタッフ 作: パム・ジェムス
  演出:  栗山民也

 

東京公演
日程 2011年10月13日(木)〜11月6日(日)
会場 シアタークリエ
料金

9,500円

問い合わせ先

シアタークリエ 03-3591-2400 (11:00〜19:30)




新潟公演
日程

2011年11月9日(水) 19:00開演

会場 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
料金

S席 7,800円 A席 6,300円

問い合わせ先

りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-521




富山公演
日程

2011年11月11日(金) 18:00開演

会場 富山県民会館
料金

S席 8,000円 A席 6,000円

問い合わせ先

北日本新聞社事業部  076-445-3355




金沢公演
日程

2011年11月20日(日) 14:00開演 / 19:00開演

会場 北國新聞赤羽ホール 
料金

S席(指定) 8,800円 A席(指定) 7,800円 バルコニー席

問い合わせ先

北國新聞チケットセンター 076-260-8000


大阪公演
日程

2011年11月26日(土)・11月27日(日) 13:00開演

会場 森ノ宮ピロティホール
料金

9,800円(全席指定・税込)

問い合わせ先

キョードーインフォメーション 06-7732-8888


名古屋公演
日程

2011年11月29日(火) 18:30開演

会場 中日劇場 
料金

A席 9,500円 B席 8,000円

問い合わせ先

中日劇場 052-263-7171


 

 

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