12月4日の初日を2週間余り後に控えた11月16日、都内の稽古場で行われた稽古披露では、薬を飲んだ医師・ジキルの内面から野獣のようなハイドが現れ、ロンドンの街へと飛び出していく1幕7場の「♪生きている(Alive)」、ジキル、エマ、ルーシーの3人が、それぞれの立場で思いを唄う2幕2場の「♪狂気(Streak
Of Madness)」「♪その目に(In His Eyes)」が披露され、その迫力ある歌声と音楽性の高さで報道陣を圧倒しました。
稽古披露終了後、会見に臨んだ鹿賀さん、マルシアさん、鈴木さんの3人は、
「今回3回目になるんですけれども、蘭々が新しく加わってさらにパワーアップした『ジキル&ハイド』をご覧頂きたい。」(鹿賀さん)
「3回目でございますが、気持ちは初演と何も変わらず、もう一回白紙に戻って、よりグレードアップされたミュージカルになればいいと。それは自分自身個人でもあるし、全体でも新しく蘭々ちゃんもいらっしゃるし、他の方も何人かキャストが代わったので、ベストメンバーでいきたいですね。」(マルシアさん)
「もういっぱいいっぱいですよ。でも皆さんが優しく暖かく教えてくださるので、頑張っています。」(鈴木さん)
とそれぞれに、今公演への意気込みを語ります。
現在の稽古場での状況を聞かれて、「チームワークも凄く良いですよ。ベテランの方も多くて、ミュージカルを知り尽くしている人ばっかりなので、稽古も順調ですし、本番までまだ時間もあるので、さらに練り上げて行きたいと思いますね」と答える鹿賀さん。
今回が初参加となる鈴木蘭々さんも「安心感のある稽古場ですね。楽しいですよ。」と、カンパニーに溶け込んでいるようですが、その鈴木さんについては、鹿賀さんも「歌も大変なもんですよ。それに蘭々は存在が面白いし、不思議な魅力が在るので今までとはちょっと違った雰囲気が舞台に溢れてくるのではないかと凄く期待していますね。」と太鼓判を押します。
「思い入れは強くて深くて、本当にこの作品を私はすごく愛しているので、――何という愛情なんだろうね、――大好きです。一回一回の公演を大事に丁寧にやらせていただきたいな、って。慣れが一番恐いので、一ヶ月間演っているとどうしても慣れと言うものがついてきてしまうので、一回一回を丁寧に味わいながら、後悔のない形で過ごしたいと思います。」と自身の転機となったこの作品への思いを語るマルシアさん。
今回が3回目の上演となりますが、「再演から間が2年近く空きましたので、――今マルシアも言いましたけれど、――白紙に戻ったというか、もう一回、一から歌い直す、芝居も一から創り直す、という作業を今やっているところですね。新しいメンバーも加わったと言うことで、2回目の公演とはまた色合いの違う、自分たちも新しい発見が一杯ありますし、ご覧になる方もそう言うところが一杯あるんじゃないかなと思いますね。」と更なるレベルアップを目指す鹿賀さん。
マルシアさんの「再演と思わない、思わせないような形にしたいですね。見どころは全部ですよ。音楽も素晴らしいし、ジキルとハイドの鹿賀丈史さんを始め、本当に素晴らしい。」というコメントに、「何を言ってるの?」と横でつぶやいて、「チラッと言わないで、もっとハッキリ言って下さい。」と突っ込まれ、「ありがとう(笑)」と笑いながら答えた鹿賀さんでしたが、「音楽も芝居も全てに舞台は合体感があって、凄く演り甲斐があって楽しくて仕方が無いです。」と言うマルシアさんに、「“合体感”じゃなくて、“一体感”ね。」と突っ込み返し、全員で笑い合うなど、稽古中の緊張感と、普段の和やかな雰囲気が感じられる稽古披露&会見となりました。
19世紀のロンドンを描きながら、「本当に人間らしく生きるとは何なのか」という人間社会の持つ普遍的テーマを問いかけて、現代の我々にも共感を与えるこの作品。
もちろんエンターテイメントとしても、ジキルからハイドに変わる瞬間や、大詰めで唄われる迫力満点のナンバー「♪対決」など、必見のシーンが目白押しです。
「観る方も演る方もレベルアップしていると思うので、演り甲斐がありますね。」と渾身の気合を込める鹿賀さんを始め、充実したキャストを揃えた今公演は、『ジキル&ハイド』の決定版となりそうです。