シアターフォーラム    
シアターフォーラム 松尾貴史×G2 “AGAPE store”『BIGGEST BIZ』製作発表

松尾貴史(キッチュ)と演出家G2のユニット、“AGAPE store”の第11弾公演、『BIGGEST BIZ』の製作発表会見が、先日都内で行われ、松尾氏、G2氏、作・出演の後藤ひろひと氏、そして今回新たに参加する篠原ともえさんが出席して、この公演への経緯や意気込みを語りました。

 この『BIGGEST BIZ』は2001年5月に上演された『BIG BIZ』(2002年9月再演)、その続編で2003年3月に上演された『BIGGER BIZ』(2005年1〜2月再演)に続く『BIZ』シリーズ3部作の完結編。
 これまで、東京、大阪、札幌、新潟、大分、福岡とのべ3万8千人の観客を爆笑の渦に巻き込んだ大人気シリーズの完結編に相応しく、『BIG BIZ』では日本、『BIGGER BIZ』ではシンガポールだった舞台は、ハドソン川の向うにニューヨークを臨むアメリカ・ニュージャージー州ホーボーケンとなり、出演者も前作『BIGGER BIZ』の出演者に加えて、『BIG BIZ』から粟根まことが復活参加。さらに新キャストとして、篠原ともえ菅原永二が参加して益々キャラクター豊かな布陣となりました。

会見風景

 この『BIGGEST BIZ』は、2001年『BIG BIZ』初演の際に、後藤氏が「実は、頭の中には三部作がある」と語ったのを受けて、「それなら」とシリーズ企画がスタートし、約5年を掛けての完結編。

 タイトル通りに、上演会場もこれまで最大の10箇所に拡大した今回の公演。演出を手掛けるG2氏は会見の冒頭で「この「BIZ」シリーズは、元々後藤くんと松尾を一緒に飲ませたところからスタートして、そこからだと7〜8年掛かって完結することになります。」と感慨深く振り返り、「これはコメディですが、その中でもかなり笑いの起爆力・爆発力のパワーが凄い作品で、そこに篠原さんが加わって更にグレードアップしてやれるという事でとても楽しみにしております。」と挨拶し、いよいよ迎える完結編に向けて力が入ります。

 続けて挨拶に立った松尾さんは「この作品は一言で言うと、「人間万事塞翁が馬」のような話でございまして、とにかくそれほど向上心の無い人間が寄り集まって、勘違いが生まれたら、その事態がトラブルに成る筈が何故か好転してしまって大成功を納める、というある意味落語的なちょっと奇想天外なコメディです。第一作のカーテンコールで後藤さんが、「頭の中には三部作が出来ている」と豪語したので、続編を企画しましたが、それが名作で、こうなったらさらに大きな規模で完結編を大々的にやろうということで、今回はちょっとした感動巨編で、3秒に一回笑わせるくらいのパワーがあります。」と、こちらも気合の入ったコメント。
 そして「これは勘違いから生まれる喜劇なので、新たに全員のことを知らない人が登場する必要があって人物が増えるのですが、そのシンドイ役に篠原さんに登場していただいて楽しみにしております。完結編といっても前回、前々回を見て無くても充分楽しめますので、初めての方も是非お越しいただければと思っております。」と、公演に向けて自信を覗かせます。

 また、作家であり出演者でもある後藤氏は「創る上では難しい作業だったり、繊細な脚本だったりするので、一杯悩みながら執筆が進行中です。こういう脚本を書く人が最近凄く少なくなって、必要だな、と思って私が書いているような気がします。一人のついた嘘がどんどん膨らんで展開して大きなパニックになって行くけれども好転していく、最終的にはとても良い結果になる、というのはコメディの典型・基本だと思うのですが、だんだんそういうものを書ける作家が少なくなったと思いますので、この三部作がそういう脚本界にも影響を与えられたらと思っております。けれど、とても楽しく出来る仕事なので、今回も完結編に相応しいものを皆さんにお見せ出来ると思っております。」と、揃って強気の発言を行います。

 そして、今回が後藤作品2度目となる篠原さんは、「今回で舞台は8度目くらいになるんですけれど、今までミュージカルとか、ちょっと真面目なお芝居とか、ラブシーンもあるお芝居だとか、色んなお芝居を演ってきたんですけれど、その中で一番難しかったのがコメディだと思ったんですね。そのコメディで初お誘いを頂いたのが私が前回出た舞台(Piper第5回本公演。『スプーキー・ハウス』)だったんですけれど、やってもやっても自分の中にどんどん課題が出来ていって克服出来ない感じが凄く有ったんですね。その中で、このお話を後藤さんからメールで頂いて、「ぜひとも出たい」と思って二つ返事で「よろしく山」と打ち返しました。今回ご一緒させていただく方はコメディアンのベテランの方ばっかりなので、そのコメディアンぷりをいっぱい見習って、歌って踊れるコメディアンを目指して、この舞台にパワーを注ぎ込みたいと思います。」と彼女らしい表現を交えながら意気込みを語りました。

 第一作の『BIG BIZ』では、小さな脱税のための幽霊会社「宮原木材」が、一日で100億円を稼ぐ「結城ビックビジネスエンタープライズ」になり、第二作の『BIGGER BIZ』では、その「結城ビックビジネスエンタープライズ」がシンガポールのホテルを舞台にした商談や、乗っ取りに対抗しながら一日に100億2000円(!)を稼ぐ「加賀ビガービジネスエンタープライズ」になるまでが描かれたこのシリーズ。

 「何が完結するかと言えば、特に何も完結させたくないと思っているのですが、6年掛かって生まれたキャラクターが最後に大暴れする場所と考えていて、ストーリー的にはまだ次があると言われるものにしたいし、完結を遊んでいきたい。」と三部作の完成について話す後藤さん。
 「この企画では松尾さんの面白さをどこまで出せるかと挑戦しているので、シリーズで自分の中で何が大きくなって行くかとすれば、その挑戦度ですね。『BIGGEST BIZ』ではビゲストな松尾くんをお見せ出来ると思います。」とこの作品に賭ける自らの思いを語ります。

 「後藤氏の三部作の話を聞いて、勢いと「取り敢えず三本くらいなら何か出来そう」という直感だけでここまで突っ走ってきました。」と言うG2氏。「とても面白く出来て来ましたし、完結編という事で変に力の入った作品にしたくないので、リラックスして楽しんで創りたい。」と言えば、松尾さんも「“AGAPE store”のゲストは、自分たちが楽しめる仲間になるかが一番肝心なんですね。楽しんでいる空気がそのままお客様に伝わるんです。」と、コミュニケーションを大切にした舞台創りを強調します。

G2
G2
松尾貴史
松尾貴史
後藤ひろひと
後藤ひろひと

篠原ともえ
篠原ともえ

 そして、今回出演の篠原さんについては、「この作品では、松尾くんが演じる健三にイジメられる人物が必要で、一本目では粟根くん、二本目では坂田くんという見事なイジメられキャラを見つける事が出来ました。今回は「BIGGEST」なので、一番イジメられて輝く人、しかも男女二人を出そうと思って、以前の『スプーキー・ハウス』でのイジメられぶりが美しかった篠原さんにお願いしました。今回はボロボロにイジメられる役を書きたいですね。」と後藤さんが笑えば、G2氏も「篠原さんは舞台を観ると本格派の演技をするけれど、変なキャラでもあるので、今回はその中間にスイッチを持って行って、確かな演技力を裏付けにした変なキャラを見たいと思います。」と、その個性有る存在感に期待を寄せます。
 

  「後藤さんの作品は、感動版とコメディ版の2つに分かれていて、「感動版にも出たい!」「ロマンチックな方にも出して!」と言っているんですが、それにはまだオファーが無いので、感動巨編に出られる伏線として、憧れを持ちながら、――コメディで誘われるのも光栄に思っているので、―― 一生懸命芝居をやって、もし良かったら感動版にも誘ってください。」と後藤さんにおねだりをする篠原さん。
 「“AGAPE store”の芝居は、一生懸命コツコツやって良いものを創るより、まず皆でコミュニケーションをとって、その漂うハッピーを届ける軍団のような気がします。落ち込んでいる人や悩みを抱えている人も、一瞬でもハッピーな濃い幸せを貰える舞台になります。」と、最後まで明るく語っていました。


 会見の最後を、「後藤さんは初演(『BIG BIZ』)の初日のカーテンコールで、『BIGGER』『BIGGEST』三部作のアイデアを披露しましたが、2日目のカーテンコールでは「『SMALL』『SMALLER』『SMALLEST』のスモール三部作も頭に有る」と言っていましたので、「STAR WARS」の様に6部作になるのかな(笑)・・・という予感も有りながら、発展的、収束的な流れがあるのではないか、と思っています。色んな意味で楽しみたいですね。」と締め括った松尾さん。
 果たして将来本当にそんな舞台が観られるのか? 色々と想像しながら楽しめる今回の公演となりそうです。


 また、11月20日に開始された東京公演の前売が既に完売となったため、新たに2006年1月9日(月・祝) 19:00、1月15日(日) 18:00、1月18日(水) 14:00、の追加公演が決定。
 こちらは2005年12月11日(日)に発売されています。
 前売でチケットを買い損ねた方は、今度こそお忘れなく!



AGAPE store #11
 
『BIGGEST BIZ』〜最後の決戦! ハドソン川を越えろ〜
   作:後藤ひろひと  演出:G2

《 東京公演 》
  日程 2006年1月8日(日)〜22日(日)
  会場 本多劇場
  料金 前売 5,500円  当日 5,800円 (全席指定・税込) ※未就学児童の入場不可
追加公演前売 2005年12月11日(日)
お問合せ ジーツープロデュース  03-5738-0637

《 大阪公演 》
  日程 2006年2月10日(金)〜2月12日(日)
  会場 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
  料金 前売 5,500円  当日 5,800円 (全席指定・税込) ※未就学児童の入場不可
  前売 2005年11月20日(日)
お問合せ 梅田芸術劇場  06-6377-3888

《 北海道公演 》
  日程 2006年1月26日(木)〜1月28日(土)
  会場 道新ホール

《 盛岡公演 》
  日程 2006年1月31日(火)  19:00開演
  会場 盛岡劇場・メインホール

《 仙台公演 》
  日程 2006年2月1日(水)  19:00開演
  会場 仙台市青年文化センター・シアターホール

《 新潟公演 》
  日程 2006年2月4日(土)  18:00開演
  会場 りゅーとぴあ劇場

《 大分公演 》
  日程 2006年2月14日(火)  19:00開演
  会場 コンパルホール文化ホール

《 広島公演 》
  日程 2006年2月15日(水)  19:00開演
  会場 アステールプラザ・大ホール

《 松山公演 》
  日程 2006年2月16日(木)  19:00開演
  会場 愛媛県県民会館・サブホール

《 北九州公演 》
  日程 2006年2月18日(土)〜2月19日(日)
  会場 北九州芸術劇場 中劇場


全国公演の詳細はジーツープロデュースサイト  でご確認ください。

 関連ニュース
 
松尾貴史・篠原ともえ・後藤ひろひと AGAPE store #11『BIGGEST BIZ』開幕


フォロミー 過去のニュース
次のニュース
当サイト掲載の情報・写真等の転載を禁じます。
Copyrigh(c) Theater forum 1999-2007 All Rights Reserved