井上芳雄 インタビュー 2/3
●今回は初めての方も多いですが、周りの方からのアドバイスなどはありますか
お芝居の方も多いのでとても面白いですけれど、それぞれプロなので、アドヴァイスとかは無くて、皆自然にやってますね。自然に、肩に力を入れずに演っている感じがするので、「もっとこうしたら」というのは余り無いかも知れないですね。
●これまでにミュージカルも、ストレートもやられていますが、今回はその中間と言ったところでしょうか
カンパニーとしては『ファンタスティックス』などの感じに近いですね。だからもの凄く面白い、他の方の、――山路さんは『ファンタスティックス』でもずっと一緒だったし、ミュージカルもやられるんですけれど、――小市さんとか、葛山さんとか、新谷さんの演技を見ていると、面白いですね。「何でこんな風に演じられるんだろう。」と見ていて、だから『シンデレラストーリー』とかにも近いですかね、稽古を見ているのが楽しい、みたいな。それで一緒に演る時にまた新しいものを吸収したり、そこで生まれたりしたら楽しみだな、と思うんですけれど、今はそれをお互いに探り合いながら演っていますね。
●この作品の魅力は何でしょうか
 まだ創っている途中なので良く解からないんですけれど、凄く暗い話ではあるんですよね。何でここまで名作と言われて皆さんが愛しているかというのは、今はまだはっきり解からなくて探しているところなんですけれど、まあ、良く有る話と言えば良く有る話で、別に凄く奇抜なストーリーではなく、不倫してそれが上手くいかないという話なんです。でも、どこかに皆そういう願望というんですかね、それが有るんじゃないかな。だから昼ドラとかに近い。高尚な昼ドラというか、――昼ドラが真似をしていると思うんだけれど、――「やっぱり、そういう事しちゃ駄目だよね。」って皆解かっているんだけれど、でもどうしてもそっちに踏み込んでしまって、その結末はどうなるんだろうというのも何となく解かっているんだけれども、でもだからこそ、禁断だからこそ憧れてしまうという話だと思うんですよね。でもその一つ一つの気持ちは本当にリアルと言うか、普段の僕たちが感じていることの積み重ねで、どこかちょっと一歩間違っちゃったらどんどん転げ落ちてしまう、とても人間らしい生々しい話だと思うので、そこかな、と何となく思うんですけれど。
●では、この舞台の見どころを教えてください
「アンナ・カレーニナ」って映画化も何度かされているし、有名な話なんです。そのミュージカルというのは、日本ではこのヴァージョンが初めて上演されますし、ブロードウェイのものなので作品もとてもしっかりして、オーソドックスなミュージカルの創りです。それを今、鈴木裕美さんと僕たちが、日本版というか、どういう風に創ろうかと、とても丁寧に創っているので、派手さはないけれど見応えのある、とても良質なミュージカル、良質なお芝居になっていっているんじゃないかなと思っていて、そこが一番楽しみですね。しっかりした作品になりそうだな、という気がするので、観に来ていただいたら、もうどっぷり『アンナ・カレーニナ』の世界に浸っていただけると思います。
●チケットもあっという間に完売しましたね
ええ、何ででしょうね（笑）。いや、嬉しいことなんですけれど、それも皆さんが想像以上に期待をして下さっているのだなと、僕たちも言っているんですよ。でもその期待は嬉しいですし、皆安定した実力の有るカンパニーなので、期待に応えられるものは出来ますね、これは。
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