井上芳雄 インタビュー 3/3
●話は変わりますが、年の初めということで、2005年を振り返ってどのような年だったかを伺えますか。
余り境目が無いような感じなんですよね、去年から今年の。でも、いちおうお正月に振り返ってみて、去年は再演ばっかりだったんですけれど、挑戦の年だったな、と思いましたね、色んな事に。同じ事をやるんだけれども、どう新しくやれるか、と言うか、どれだけ自分が成長したのを皆に見ていただくかという挑戦の年だったと。自分の中では満足が行くといったらちょっと違うけれど、でも去年の自分の力は出し切ったな、という感じはして、とてもいい一年だったな、とても幸せだったなと思うんですね。健康だったし、全部無事に舞台も務められたし、皆さんが喜んで下さって、僕もやりがいを感じて。で、今年はどうかな、と思うんですけれど、今年は新作ばっかりなんですよね、逆に。でも今年は、――もちろん挑戦はし続けると思うんですけれど、――挑戦というよりはもっと先に、がむしゃらに挑んで行くというよりは、自分や舞台とちゃんと向き合いたいと。だから、ちょっと落ち着いてやれたら、力を入れずにやれたらいいかな、と今思っています。
●その締め括りの『MITSUKO』から一ヶ月経ちますが、今振り返っていかがでしたか
日本に帰って来ちゃったので、「本当にやったのかな、あれ」という感じもするんですけれど、でも写真を見たり、その時に録音したものを聴いたりしたら、「ああ本当にやったんだ」と思うし、もの凄く大変だったんですけれど、でも演らせて貰って良かったな、と思いますね。掛け替えの無い経験が出来たし、何が変わったとははっきり言えないけれど、何か自分の中で、あのウィーンで歌ってから変わったような感じがしますね。
●最後に作品のアピールとメッセージをお願いします
『アンナ・カレーニナ』、ありがたいことにチケットも売れ行き好調ですが、地方公演はまだチケットが有るそうなので、スケジュールが合えば是非観ていただきたいです。目新しい、凄く「わあ、斬新!」「観たことねえや、これ」というものが出来ると言うよりは、日本のミュージカルが今、ブロードウェイで出来たものを日本で新しく創り直した時にここまでちゃんと創れるという風な作品になるのではないかと、僕は今稽古をしながら感じていますので、是非それを見届けに劇場に足を運んでいただければ嬉しいと思います。お待ちしております。
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