宝塚OG『エリザベート スペシャル ガラ・コンサート』


左より:白羽ゆり、大鳥れい、花總まり、小池修一郎
右より:一路真輝、姿月あさと、彩輝なお、春野寿美礼

 1992年2月、ウィーンのアン・ディア・ウィーン劇場での初演以来、世界各地で上演が続けられている大ヒットミュージカル『エリザベート』。
美貌のオーストリア皇后エリザベートの生涯を軸に、ハプスブルグ家の滅亡という時代の動乱を絡めて描かれる家族の葛藤、愛、そして死という壮大な人間ドラマが、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイのゴールデンコンビによる華麗な楽曲にのせて綴られる物語は世界中のミュージカルファンの心を魅了してきました。

 日本では世界各地での海外上演に先駆けて1996年に宝塚歌劇団による日本版が初演され、黄泉の帝王トート(死)を主役に置き換えた宝塚歌劇独自のステージは高く評価されました。初演となった1996年の一路真輝(トート)、花總まり(エリザベート)による雪組公演に続き、、星組(1996年)、宙組(1998年)、花組(2002年)、月組(2005年)、雪組(2007年)、月組(2009年)と五組全てで再演を重ね、宝塚スタンダードの人気演目として成長を続けています。

 そして2012年、ウィーン初演から20年のメモリアルイヤーの年に宝塚歌劇版『エリザベート』の歴代キャストを中心としたフルコンサートバージョン『エリザベート スペシャル ガラ・コンサート』の上演が決定。
メインキャストや構成・演出の小池修一郎氏が出席しての制作発表会見が行われ、それぞれの思いが語られました。

 今回のガラ・コンサートで特筆すべきは、まずその出演者の豪華な顔ぶれ。
雪組初演キャスト(トート:一路真輝、エリザベート:花總まり、フランツ:高嶺ふぶき、ルキーニ:轟悠、ルドルフ:香寿たつき)を始め、歴代キャストが集結、組や時代を超えて、組み合わせも新たに珠玉のナンバーを歌い上げます。
さらに特別出演として、紫苑ゆうがトートを演じ、初風諄もゾフィー役で登場。
そして、宝塚歌劇版『エリザベート』の歴代キャストとニューキャストが次々に登場する“DREAMバージョン”はガラ・コンサートの決定版! まさに夢の共演が実現しました。

 物語全編の流れや、豪華な衣装の雰囲気はそのままに、重厚で情感豊かな音楽をダイレクトに、臨場感たっぷりに感じられるよう、オーケストラがステージで生演奏。各キャストが役を演じながら『エリザベート』の全てのナンバーを歌い継ぎ、楽曲の魅力を届けます。

 今回の会見に臨んだキャストはトート役の一路真輝姿月あさと彩輝なお春野寿美礼。エリザベート役の花總まり大鳥れい白羽ゆりの7人。

 壇上に並んだキャストを前に、小池氏は
この並んだスターたちを見ると、記者発表の時やポスター撮りの事が強く思い出されます。と言うのは過去7公演を行いましたが、その都度トートの髪の色を変えたり、メーキャップアーティストや写真を撮る方を変えてきました。それぞれのトートの個性やヴィジュアルのイメージをその都度創ってきたからですが、その最初の髪の毛の色を決めたりするところからがスタートなので、それぞれの方とやってきたそれぞれの思い出が竜巻の様に思い出されます。」と感慨深げ。
「今回、一番感無量なのは初演の雪組メインキャストが揃う事で、全員がその後トップスターとなって主演を経験しました。彼女たちが育つ過程においてこの『エリザベート』で一緒に作品創りをして舞台に立っていて、それが再び一同に会する日が来るとは思っていませんでしたので、それが一番感無量でございます。
そしてそれぞれの公演に、その時違う組にいたキャストがシャッフルして出るというのもとても興味深いことだと思っておりますし、
紫苑ゆうさんは、宝塚初演の前にウィーンに行った時に丁度観にいらしていて「ああ、これを演ってから辞めるんだった。」と大変悔しがっていらっしゃいました。その後コンサートなどで何度も歌ってらして、2006年にガラ・コンサートがありました時もお声をお掛けしたのですが、今回はやってみたいという事で、彼女の果たせなかった夢が一つ叶うのであればと思います。
それに東宝版でゾフィーをずっと務めてくださった
初風諄さんが参加される。宝塚版の舞台には出ておられませんが、退団後の自分と向き合い女優としての自分を築かれた方が、改めて宝塚OGが演る『エリザベート』に一味加えてくださるのではないかと大変楽しみにしています。初風さんと花總さん、宝塚に長く在籍して君臨し女帝と言われた二人が対決するのも凄く楽しみで(笑)。中々の見ものなんではないかと思っております。」と新たな展開も楽しみな様子。
伺えば白羽さんの初舞台は姿月さんのお披露目だったという事で、『エリザベート』の歴史、そして宝塚の歴史と言うものが一堂に観られる公演で、お客様にもその時々を思い出していただいたり、皆、その後も切磋琢磨して自分の芸を磨いている方ばかりなので、年齢と共に芸の厚みであったり人生の深みを増した役創りや、トートは年齢を超越していますので、今の彼女たちが演じるトートはまた凄みがあるのではないかと大変楽しみにしております。」と期待を寄せます。

そしてトート役の4人は

一路真輝16年ぶりにトートを演らせて頂きます。この16年と言う月日、ひと言で言ってしまえば本当に長いような短いような・・・私も人生色々ありまして、どういうトートになるのか自分自身でも楽しみなのですけれど、それよりもっと楽しみなのは小池先生も仰ったようにあの当時のメンバーが殆ど集まるという事で、私はまずその事に凄く興奮しています。先日轟悠から連絡がありまして、「一路さんと久しぶりに共演で、凄く楽しみにしています」と。ご自身は宝塚の現役でいらっしゃるさんですが、私は辞めている人間で、こうして同じ舞台に立てるということも今回の企画の目玉だと思って、とにかく皆に会えるのが楽しみです。
それと先ほど
小池さんが仰った初演の時のお話なんですけれど、初演の記者会見をしました時に、私が死神のメークで登場しましてトートを演ると言ったら、「宝塚のトップスターが死神とは何事ぞ」と色々な方から突っ込まれて確かにある意味大変でした。でも私と小池先生がウィーンで観た『エリザベート』という舞台の素晴らしさは二人とも確信していましたので、ここ日本でこの『エリザベート』という作品を汚すことは絶対に出来ないと思い、本当にそういう思いで雪組が一致団結して小池先生を中心に創った『エリザベート』が16年経った今もこのように皆様に愛されているという事を感謝したいと思います。」

姿月あさと私は14年ぶりのトートになります。そして退団してからは2006年のガラ・コンサートにも出させていただいて二度目なのですけれども、先ほど一路さんが仰った雪組の初演の『エリザベート』を観劇させて頂いた時は、本当に涙が溢れ本当に感動した覚えがありますので、今回それを拝見させていただいたりとか、お近くで学ばせて頂く事が多いと思う時間を大事にしたいと思っております。ここにいらっしゃる歴代のトートも観させていただいていますし、エリザベートの白羽さん、そして大鳥さんは先日のガラ・コンサートでもご一緒させていただきました。花總さんとは14年ぶりにご対面ということで本当に夢のような時間を過ごせるのかと楽しみにしています。二度と戻らない時間ですので本当に一日一日、リハーサル、本番、他の方々がなさっている時も無駄の無い時間を過ごしたいと思っています。

彩輝なお私は退団公演が『エリザベート』でしたので、今から7年くらい前になるんですけれど、思い返せば本当にあっという間で、久し振りに『エリザベート』公演をDVDで見たんですけれども、本当にあの緊張感が今でもよみがえるような感じです。私は星組時代にも最後の新人公演でトート役をさせていただきました。そういった意味でも節目節目でトートを演じさせて頂き、とても大切な作品になっています。月組の公演は初演の一路さんから10年目の節目で、そして五組全て廻った最後の組の『エリザベート』だったのですけれど、その時の初日に小池先生が色々な事を思い出されて感極まっていらっしゃるのを聞いて感動したのを今でも思い出します。これから演じさせて頂くに当たって渾身の思いを込めて楽しみ半分、緊張感半分で新たなメンバーと新しい『エリザベート』に新鮮な気持ちで取り組めるようにがんばりたいと思います。

春野寿美礼私は2002年にトート役を演らせて頂きましたので約10年ぶりに又今回演らせて頂くことになりますが、その時はトップお披露目だったので、右も左も解らないトップスターが黄泉の国の帝王を演じなければいけないという重圧に押され、しかも相手役はその公演で退団する大鳥れいちゃんでもの凄く強くて(笑)、何か引きずり回されたトートだったよね、確か(笑)。「そうです」と向こうで(大鳥さんが)言っています。(大鳥「違う・・・」) 今回こういう風な形で演らせて頂くという事で、当時トートを演じていた時の事を色々と思い出します。そういった気持ちを今思い返す事もとても大切な事だと思うので、そういった事をまた楽しみながら、また今回も初めて組むキャストの方も居ますので私も非常に楽しみですし、そして観に来てくださるお客様にも喜んで頂けるように素敵なステージを創っていきたいと思います。

 と、それぞれに思い入れの深い公演であった様子。

 そしてエリザベート役の3人は

花總まり私も、先ず何と言ってもあの初演のメンバーがこんなに集まるなんて、もう一度顔を合わせる事が出来るなんて本当に思ってもいなかったので、まだ感動の渦の中にいるというか、信じられないような気持ちでいっぱいです。初演の時は私も何もわからない状態で一路さんに泣きつき、小池先生に泣きつき、とにかく「どうしよう、大変なことになってしまった!」という中で、本当に無我夢中で演っていた記憶が凄くあります。幸せな事にもう一度姿月さんの時に再演という形で『エリザベート』に巡り合えた時は、勝手に自分の中で再演というプレッシャーを凄く感じてしまって一人違うところでまた苦しんでいたような記憶が残っています。こうやって15年以上経った今、こういう機会をいただけて、色んなものを時の流れが押し流してくれて、変に肩に力が入る事無く『エリザベート』という作品に向き合えるんじゃないかと思っています。数少ない公演数ですので一回一回を大切に、もう一度初演メンバーと出来る幸せを噛み締めながら大切にやっていきたいと思います。」

大鳥れいまたこうしてエリザベート役をさせて頂けるという事を本当に嬉しく思っておりますし、こうして皆さんのお顔を拝見してとても身が引き締まる思いでおります。現役時代の時には感じられなかった事、そして今の自分だから感じられることを大切に、また小池先生そして皆さんのお力をお借りして新しくエリザベートを創って行きたいと思っております。

白羽ゆりまずはこの作品にもう一度出演できること、挑戦できることを本当に嬉しく思っています。宝塚では雪組の水夏希さんとのお披露目公演でした。丁度自分自身娘役として、役者としてもっともっと成長したい、そして変わりたい、変わらなければいけないと思っていた時期にこの作品に出会った事によって、今までに感じたことの無い気持ちだったり、感情とぶつかり合った事によって私自身凄く強くなった作品だなと今改めて懐かしく感じます。今回は歴代の皆さんとご一緒出来るという事で緊張やプレッシャーも勿論凄く有るんですけれども、きっと色んな方と組ませて頂くことによって新しく色々な発見があると思います。現役時代の自分自身の懐かしい部分はもちろんベースとしては必要だと思うんですけれど、どんどん新しい気持ちで挑戦して行きたいと思っています。

 と、新たな気持ちでの役創りに意欲を燃やしていました。

 さらに
単純に日本のエリザベートというか宝塚のエリザベートが成功したのは、何と言っても一路真輝の退団公演であるということを前提に、当時の宝塚担当のプロデューサーが凄く頑張ってウィーンの劇場協会や、ドイツに住んでいらっしゃるクンツェさんリーヴァイさんと交渉を丁寧になさった。その結果、宝塚版というものを創るのに協力していただいて、――オリジナル版の、ことに初演のトートというのは出番が少なかったですから、――一路さんの出演のために出番を増やしたりすること、そして新しい曲を入れることなど全部許諾を頂けたことが成功の原因ではないかと思っています。もし一路さんの退団公演ではなく、色んなアダプテーションを余りしていなかったとしたら、余り成功しなかったんじゃないかなと思っています。
と、この作品の成功を分析した小池氏。ガラ・コンサートならではの魅力についても、
ガラ・コンサートは1997年に一路さんもご出演なさって一緒にやりました。その時にはモノトーンの私服的な感じでメーキャップもしないでやらせて頂いたのですが、それから2006年に扮装ありで演るということになり、これもウィーン劇場協会に伺ったところウィーンの方でもそういったコンサートツアーを考えていらしたということで、「テストパターンとしてどうぞ」ということでまたやらせていただきました。
扮装はしているけれど後ろのステージにオーケストラが居て、マイクを手に持ってやるというのは少し変かなとおもったんですけれど、皆がその役を作品を経験してきているので、――ミュージカルではマイクを持って歌うわけにはいかないですが、――コンサートでは持っているけれど、その中で人物の感情とかを非常に上手く表現してくれて、逆に歌に凄く集中していく。大道具小道具が有ったり移動したりという事は無いということで、歌・音楽という部分で大変皆の神経が集中されて、とても聞き応えのあるものになっておりましたの。それがガラ・コンサートの魅力なんではないかと思います。
」と語ってくれました。

 

 「扮装という事でいきますと、今回は100%ではないかもしれませんが、かなりの率でそれなりに再現したり、新たなトート像、エリザベート像を見せてくれるでしょうから、そこはとても面白いところではないかと思います。最初に申し上げましたように、皆さん伊達に色んな人生経験を積んだり、色んな舞台の仕事を重ねてきていらっしゃるわけではないので、芸の深みということでいきますと、いま最も働き盛りの女優としてのジェネレーションにいらっしゃると思うので、多分宝塚時代よりも円熟したものをお見せ、聞かせて下さると思います。それがまた面白いところではないでしょうか。」と自身も含めて進化していく『エリザベート』の世界に期待させるコメントで締めくくった小池氏。

 出演者同様、多くのファンの方々にもそれぞれ思いが有るであろう『エリザベート』。
そして14人のトップ経験者が集う伝説のガラ・コンサート公演。これを見逃しては後悔することになるかも知れません。

 

 

三井住友VISAカードpresents
『エリザベート スペシャル ガラ・コンサート

 

公演情報

キャスト  トート 一路真輝、姿月あさと、彩輝なお、春野寿美礼
紫苑ゆう<特別出演>
エリザベート  花總まり、大鳥れい、白羽ゆり
フランツ・ヨーゼフ  高嶺ふぶき、初風緑、涼紫央(東京のみ)
ルイジ・ルキーニ   轟 悠【宝塚歌劇団】、 湖月わたる
ルドルフ 香寿たつき、朝海ひかる、涼紫央
ゾフィー 出雲綾、朱未知瑠(東京のみ)
初風 諄<特別出演>
マックス 立ともみ、大峯麻友
  葛城七穂、美郷真也、嘉月絵理、夢輝のあ、秋園美緒
絵莉千晶、初嶺磨代、風莉じん、美鳳あや、南海まり
彩海早矢、望月理世、夏空利光、彩橋みゆ、羽咲まな
扉けい、大凪真生、祐澄しゅん、大月さゆ、彩星りおん
スタッフ 脚本・歌詞: ミヒャエル・クンツェ
音楽: シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション:  ウィーン劇場協会
構成・演出・訳詞: 小池修一郎

協力:

宝塚歌劇団
著作: 宝塚歌劇団、梅田芸術劇場
企画・制作・主催:  梅田芸術劇場

 

東京公演
日程 2012年11月6日(火)〜11月21日(水)
会場 東急シアターオーブ
料金

S席:12,500円、A席:8,000円、B席:5,000円(全席指定・税込)

問い合わせ先

0570-077-039

 

大阪公演
日程 2012年11月25日(日)〜12月3日(月)
会場 梅田芸術劇場 メインホール
料金

S席:12,500円、A席:8,000円、B席:5,000円(全席指定・税込)

問い合わせ先

06-6377-3800

 

 

 

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