岡幸二郎(フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役)インタビュー 1/2
●出演依頼が来た時にどう思われましたか、また出演を決められた理由をお教えください
作品は来日版と宝塚版を観ていまして、来日版を観た時は、音楽もいいし「ああ、大人の作品だな」と言うくらいだったんです。宝塚版を観た時は、――私は何故か宝塚を観ると「ああ、この中で自分が演るんだったらこれだな」とか思ってしまうタイプで、――「自分が演るんだったら男爵だな」ってボヤっと思っていた感じでしたね。実際にこれをまた日本でやる――日本でやるって言っても宝塚以外ではやっていませんから、――ちゃんと男性が日本人キャストでやると聞いた時、役のオファーではなくて「作品をやるよ」って言われた時は、「へぇー、やるんだ。誰がやるんだろう」っていう感じだったんですよ。で、男爵のオファーが来て「ああ、男爵か・・・」
●夢が叶ったんですね
夢というか、まだまだ40歳前でおこがましいのですが、「ああ、もうそんな歳になったんだ(笑)と思いましたね。」「ああ、演ってもいい歳なんだなあ」って。
●演出のグレンさんとは既にお目にかかったそうですが、その印象を教えていただけますか
凄くバイタリティの有る女性、という事。それから話していると「きっとこの人は素敵なアイデアを一杯持っているんだろうなあ」っていう・・・まだ細かい具体的な事はそんなに話していないんですけれども。
●「♪ステーションの薔薇」についてはいかがでしたか
そこだけは話したんですよ(笑)。その時にグレンは、――来日版は血で染まりますよね、――それはやりたくない、と。大き目の薔薇の花束を持っていて、撃たれた時にその薔薇の花びらがバァーッと散るようにしたいんですって、バァーッって舞う様に。「それが血の象徴にもしたい、出来るかどうか解らないんだけれど私はそうしたい」って主張していました。
●その話を聞いてどう思われましたか
ああ、素敵だよなあ・・・(笑)。「だから普通よりもその花を大きく大きくしたい」って言っていたんですが、どうなることやら。でも素敵ですよね。何か、やっぱり女性の感覚だな、って思いましたね。
●それ以外にも演出面などのお話はされましたか
演出面では多分、――私には言わなかったんですが、――皆さんの意識の中にトミー・チューン版と言うのが多分に残っている筈なので、それは口に出さなくてもグレンは解っていると言うか、彼女自身も「私はトミー・チューンとは違うのよ。」とか「トミー・チューンみたいにはしないのよ。」とはあからさまに言わないけれども、やっぱり「グレンの『グランドホテル』」を創るっていうものはヒシヒシと、言葉にならなくても伝わってくるんですね。私は演出面の事に関しては「♪ステーションの薔薇」しかお聞きしなかったんですね。あとは1920年代の衣裳の事とか髪の毛の事を色々聞いたんです、これから髪の毛をどう伸ばして行こうかと考えて。
●この男爵という役をどのように創って行こうとお考えですか
まだ本当に考えていないんですよ。自分の方に結構役を引っ張ってくる人間なので、グレンの演出を受けながら、「あ、そういう事は自分の経験の中だから、ここの引き出しを開ければいいな。」とか、「あ、これはここの引き出しを開ければいいな。」って、セッションしながら自分の引き出しを開けて行こうと思っているので、まだ「こうしよう」っていう風には決めてはいないですね。
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