小堺一機さん(オットー・クリンゲライン役) 1/3
●今回の出演依頼が来た時のお気持ちと、出演を決められた理由をお聞かせください
ニューヨークでこの舞台を観て、僕のいただいたオットーという役はニューヨークで初めてスタンディングオベーションをした役なんですね。本当に「ブラヴォー!」って言ったんですよ、この方が出てきた時に。それでその役が来たので「どうしよう」と思ったんですけれど、やっぱりこういう仕事をしていると呼んで貰えるのは嬉しいですから、二つ返事で喜んで受けちゃったんです。けれども、今日、製作発表で諸先輩と並んでみて、「あれ、どうしよう」って思っています(笑)。
●ニューヨークで御覧になった時に、ご自分で演るならと思われたのはオットーでしたか
そうです。ええ、もう、ショーストッパーだったんですよ、その時にね。もう皆さんが拍手しちゃって。だからホントそうです。ビックリしました。
●夢が叶ったということですね
そうですね。だから夢が叶ったので、――さっきも言ったのですが、――配役していただいた時点でグランドホテルの予約が取れたんです。で、今日でチェックイン確実になったのですが、追い出されないようにしないといけないんで(笑)。今、取材を受けて「非常に重要な役ですよね」って皆さんが仰るんで、だんだん実感が沸いてきちゃって、今は「どうしよう」と思っています。
●演出家のグレンさんとお目にかかったそうですが、第一印象はいかがでしたか
プラチナブロンドで、恐そうでした。でも非常にこう、冷静と言うか、――演出家の方には必要な資質ですけれど、――のめり込むんだけれど、どこかでこう客観的に見ている、みたいな印象がありましたし、僕が最初に'89年度版の話をしちゃったら、にっこり頷きながら「それは、トミー・チューンでしょ。今回は私の『グランドホテル』ですから。」と言われて、「どうもすみません」という事で。でも今、美波里さんに伺ったら、延々と稽古の最初の方は「あなたは、こうでこうで、こういう役で、こういう人で・・・」ってずっと演技をさせてくれないで、講義を聴くみたいな感じらしいんですよ。で「早く動きたい!」って思った時にパッとやらせてくれるみたいな、――そこからもう演出なんだと思うんですけれど、――そういう事も含めて海外の方の演出を受けるのは初めてですから、楽しみです。
●グレンさんと話をなさって、舞台や役作りについては聞かれたのでしょうか
とにかく僕の場合は「真っ白になってちょうだい」と。「何にも考えないでいいから」と言う事でした。それは「何もしないという事に努力をする」という事は怠けるのと違いますから、どれだけリセットした状態で逢えるかな、と。元々あまりずっと物を覚えていられる方じゃないので、幾らかもう準備は出来ているかな、という気はしますけれども。
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