時は1928年のベルリン、伝統と格式ある『グランドホテル』を舞台に宿泊客達の一夜のドラマを描いたヴィッキー・バウムの原作小説（「ホテルの人々」）は、1929年に出版されるやベストセラーとなり、1932年にはハリウッドで豪華キャストにより映画化されて大ヒット、同年のアカデミー賞作品賞を受賞しました。

　日本でこの『グランドホテル』が上演されたのは、1991年11月の東京・新橋演舞場。ブロードウェイのオリジナルキャスト、グルーシンスカヤ役のリリアン・モンテヴェッキを含むアメリカからのインターナショナルツアーカンパニーでの公演で、その洗練された舞台は観客を魅了し、京都・南座、名古屋・名鉄ホールでも公演が行われました。

　また、1994年には宝塚歌劇団が、演出にトミー･チューンを招いてブロードウェイ版を改訂するスタイルで上演。オットー・クリンゲラインを演じた涼風真世さんの退団公演ということもあって評判を呼び、連日超満員の盛況となりました。

　そして2006年1月6日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで、新たな『グランドホテル』の幕が開きました。
　今回の演出を担当するのは、出身地のイギリスのみならず、世界中で幅広い作品の演出を手掛け、日本では1992年に初演された（2003年に再演）『ブラッド・ブラザース』や平幹二郎主演の『ヴェニスの商人』などの演出で高い評価を受けているグレン・ウォルフォールド。

　音楽、脚本などは1989年のブロードウェイ版そのままに、新たな演出で上演されるミュージカル『グランドホテル』
　初日の開演を前にした報道陣のインタビューでは、前田美波里さん、岡幸二郎さん、大澄賢也さん、紫吹淳さん、田中健さん、小堺一機さんが、意気込みなどを語ってくれました。

　「長い稽古をして、やっと初日が来たという感じです。頑張ります。」（前田さん）
　「私の初日は16日（笑）。このドキドキがまだ1週間続きます。今日は客席で応援します。」（岡さん）
　「もう、やる事は全てやりましたので、後は楽しんで初日を迎えたいと思います。」（大澄さん）
　「全部忘れて、稽古初日のような気持ちで演りたいと思います。・・・もう全部忘れかけているので大丈夫だと思いますけれども（笑）。」（小堺さん）
　「楽しみたいです！　以上！」（紫吹さん）
　「10年ぶりのミュージカルですから、楽しみたいです！（笑）。」（田中さん）
とそれぞれが個性的なコメントながらもチームワークはバッチリの出演者たちの様子からは、これまでの稽古の充実ぶりが伺えるようです。

　「奥様方は、今までミュージカルを好きではないと仰っている殿方を沢山連れて来ていただきたい。既にミュージカルを愛している若い方は恋人をお連れください。男性に観ていただきたい舞台です。ＯＬの方は上司、社長もお願いします。繰り返し楽しんでください。」という前田さん。

　一つの場所に様々な登場人物が集い、時には並行して、時には絡みながら織り成す「グランドホテル形式」ドラマの原点がここにあります。
　「見どころは皆さんが見つけていただくのが一番だと思います。最後まで二時間弱ですから見逃しの無いように。」と締め括った前田さんの言葉通り、観客一人一人がそれぞれの視点で観ることの出来る作品と言えるのではないでしょうか。

　このインタビューの模様は、動画でご覧頂けるように準備を進めております。どうぞ楽しみにお待ち下さい。

　また、初日の客席には、宝塚でオットーを演じた涼風真世さん・今泉清さんご夫妻、小堺さんとは盟友の関根勤さんを始め、映画評論家の水野晴郎さん、今陽子さん、雛形あきこさん、山田まりやさん、赤坂泰彦さん、遠野凪子さんなど多くの著名人が参集し、この舞台に対する関心の高さを伺わせていました。