『風と共に去りぬ』製作発表会見

風と共に去りぬ
左より:山田和也、紫吹淳、岡田幸暉、米倉涼子、寺脇康文、高橋ひとみ

 1936年に出版されたマーガレット・ミッチェルの長編小説「風と共に去りぬ(Gone with the Wind)」は、南北戦争下1860年代のアメリカ南部、ジョージア州アトランタ市を背景に、時代の波に翻弄されながらも真の愛を求めて力強く生きた女性、スカーレット・オハラの半生を壮大なスケールで描いた作品です。
翌1937年にはピューリッツァー賞を受賞して世界的な大ベストセラーとなり、1939年には映画化され(監督:ヴィクター・フレミング、出演:ヴィヴィアン・リークラーク・ゲーブル)、こちらも世界的に大ヒットとなって、アカデミー賞では作品賞、監督賞を始めとして9部門を受賞した他、テーマ曲「♪タラのテーマ」も映画音楽のスタンダードとなっています。

 膨大なストーリーと登場人物、圧倒的なスケール感で舞台化は実現不可能といわれていたこの不朽の名作が、世界初演の幕を開けたのは1966年。この年に新装開場した帝国劇場で菊田一夫が製作・脚本・演出を手掛け、帝劇の舞台機構を駆使したスペクタクルで豪華な演出は観客を圧倒し、熱狂的な支持を受けてのロングラン公演となりました。
翌1967年には第2部が上演され、その後も「総集編」「続編」「ミュージカル」と上演が重ねられてきましたが、1977年に上演された宝塚版(脚本・演出:植田紳爾)では、主演男役が初めてヒゲを付けて演じたことでも話題になりました。

 その『風と共に去りぬ』が帝国劇場開場100周年の今年、新たなキャストとスタッフの手により半世紀ぶりに復活することとなり、豪華な衣装に身を包んだキャストが揃っての製作発表会見が行われ、写真撮影の後、この大作に挑む心意気などを語りました。

 今回、激動の時代に生きた美しさと芯の強さを併せ持つスカーレット・オハラを演じるのは帝劇初出演となる米倉涼子
帝国劇場初出演でこの大役を演らせていただくということで物凄く緊張しています。 私はこういう扮装をしてお芝居をしたことが無かったので、そういうイメージを持っていただいた事が凄く感激でした。ただ強い女性というだけではない、色んなものを背負って生き抜いていく彼女を心を込めて演じたいと思っています。皆様に喜んでいただけるようなお芝居が出来たらと思っています。」と初めはやや緊張の面持ち。

 利己的で皮肉屋だがスカーレットを無償の愛で包むダンディなレット・バトラー役には寺脇康文
何を置いても今回この作品に出演させて頂こうと決めたのは、米倉さんと共演出来るということ、これが一番大きかったですね。米倉さんがスカーレットというお話を聞いて、とにかく即決と言いますか「演らせてくれ!」と。酒席では何回かお会いしていても、仕事をするのは今回が初めてですが、裏表の無い、会っていて本当に気持ちの良い方だとずっと思っていたので、絶対に共演してもいい芝居が出来るという確信の中でお話を頂き、――名作の『風と共に去りぬ』で名だたる良い男のレット・バトラーという事もありますが、――それを置いても米倉さんと演るということが僕には大きかったです。名作中の名作の中の有名な役どころですが、大きければ大きいほど逆に「僕らは日本人だし、日本の寺脇康文という役者が新しい寺脇流のレット・バトラーを創ればいいんではないか」ということで、新しく色々やらせていただこうと思っております。このメンバー――あと40数名居ると思いますが、――その役者のパワーでエネルギーで、今この困難な時代、皆が本当に一つになって大きな力を産まなければいけないこの時期に微力ながら何かエネルギーの一つになれれば良いなと思って頑張ってやります。」とコメントに力が入ります。

さらに純真無垢なメラニー役には、意外にも宝塚時代を含めてこれが『風と共に去りぬ』初出演だという紫吹淳
『風と共に去りぬ』という大作にやっと出させて頂けるという、この作品に触れさせて頂ける事に感謝の気持ちでいっぱいです。私事ですが今年芸能生活25周年を迎えて、その節目の年にメラニーという女性、男性が憧れる女性そのものみたいな役を演らせて頂けるという事に、演技開眼できる良いチャンスを与えて頂いたような気がしております。この役を頂けた事が何よりの財産ですけれど、その財産をより良い財産にするためにも誠心誠意込めてメラニーに息を吹き込みたいと思います。」と語りますが、白と水色の可愛らしいドレス姿に「長いことやっていますが、このような衣裳を着るのは初めてです(笑)。」とちょっぴり照れくさそうな表情を見せます。

 そして上流階級出身でスカーレットが思いを寄せ続けるアシュレイ役の岡田浩暉
東宝の作品は『レ・ミゼラブル』以来で、さらに帝劇100周年という節目に出させて頂く事を本当に光栄に思っています。紫吹さんが25周年ということですが、僕も20周年を迎えさせて頂きまして、節目の折にこのような作品に出させて頂けることを本当に嬉しく思います。アシュレイは理想家だと思っていますが、どこかでレットとの共通するところも持っている人じゃないか、ある種達観しているのではないかとも思っています。とても好きなキャラクターですし、映画が不朽の名作と言われる素晴しいものですので、プレッシャーを感じてしまうのですが、自分なりのアシュレイを頑張って、「映画も舞台も『風と共に去りぬ』は素晴しい」とご覧になったお客様に言って頂けるように頑張ります。」と既に役と向き合っている様子。

、レット・バトラーとは旧知の間柄で娼館の女主人艶やかで度胸もあるベル・ワトリングには高橋ひとみが扮します。
お話を頂いた時は「えっ!私が!?」と本当にビックリしまして、大人で色っぽさも必要な役なのに何で私なんだろうと最初は思いましたが、帝劇100周年で『風と共に去りぬ』という作品に出られるだけで幸せ、ということでやらせていただく事を決めました。、プライベートでも仲良くさせていただいているので、このメンバーなら助けてくれるんじゃないかという事で安心して稽古が出来るかと思っています。」と笑顔で語りました。

 そして演出は2001年に上演されたミュージカル版も手掛けた山田和也
初演では1966年に上演された第1部、1967年の第2部、それぞれ4時間に及ぶ長編でしたが、今回は3時間程度にアレンジして一挙上演するという新しいヴァージョンの『風と共に去りぬ』となります。
「帝国劇場開場100周年の記念の年に、過去に上演された作品から選ばれた本作を担当させていただくことは大変光栄に思うと同時に非常に肩の荷が重い感じも致します。ミュージカル版をやらせていただいたのは丁度10年前で、その時に帝劇創立90周年と銘打たれていたのを思い出します。
この原作が発表されたのが1936年で、4ヶ月で70万部を売る大ベストセラーになりました。ということは原作小説発表から今年で75周年、今の帝劇は実は2代目の帝国劇場なのですが、この?落としが1966年で、その年の秋から6ヶ月にわたる大ロングランをしたのが初演の第1部なので、帝劇初演、つまり世界で始めて舞台化されてから45周年という節目で、その年にまたこの作品に出会えることを大変光栄に思います。
この作品は南北戦争時代を背景に、スカーレット・オハラという非常に強い信念を持った一人の女性が成長していくドラマだと思うのですが、南部のアトランタ周辺が舞台になっていますから、南北戦争でここにいる人たちは負けた側の人たちで、アトランタの市外などは火が放たれて焼け野原になったと言われています。
その廃墟となったアトランタ、そしてスカーレットたちの故郷であるタラという土地、それをどう再生していくのか、そこから立ち上がっていくという強い信念を持った人たちのドラマが、今のこの国のご覧になる皆様の心に届いて、一人ひとりのお客様を勇気付ける事が出来ればと願っております。
」と、今回の上演に向けての意気込みを語りました。

 
この公演は《「東日本大震災」チャリティー公演》として、公演の売上げの一部が義援金として日本赤十字社を通して被災地に送られます。
また、製作発表会見の後、報道陣による囲み取材が行われ、記者会見とはまた一味違ったフレンドリーで飾らない雰囲気のインタビューとなりました。
こちらの模様は、改めて動画で掲載を致しますので、どうぞ楽しみにお待ち下さい。


帝劇グランド・ロマン
風と共に去りぬ

キャスト  スカーレット・オハラ 米倉涼子
レット・バトラー 寺脇康文
メラニー・ウィルクス 紫吹淳
アシュレイ・ウィルクス 岡田浩暉
ベル・ワトリング 高橋ひとみ
マミー 池谷のぶえ
ミード博士 坂口芳貞
フランク・ケネディ 近江谷太朗
チャールズ・ハミルトン 敦士
スエレン・オハラ 叶 千佳
メリウェザー 岡 千絵
プリシー 田島ゆみか
キャリーン・オハラ 本田有花
エルシング 荒木里佳
ピティパット 棟方寿恵
ワイティング 仲手川由美
ジェラルド・オハラ 丸山博一
スタッフ

 

公演情報
大阪公演
日程 2011年6月3日(金)〜6月12日(日)
会場 梅田芸術劇場 メインホール
料金 S席 12,000円 A席 7,000円 (税込)
問い合わせ先 キョードーインフォメーション 06-7732-8888


東京公演
日程 2011年6月18日(土)〜7月10日(日)
会場 帝国劇場
料金 S席 12,500円 A席 8,000円 B席 4,000円 (税込)
問い合わせ先 帝国劇場 03-3213-7221

 

その他の写真

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