宮本亜門演出『太平洋序曲』 神奈川の地で上演中

太平洋序曲

 『ウエスト・サイド』物語の作詞を始め、『カンパニー』『リトル・ナイト・ミュージック』『スウィーニー・トッド』『イントゥ・ザ・ウッズ』など日本でも馴染み深い作品の作詞・作曲を手がけ、6度のトニー賞受賞や、グラミー賞、ピューリッツァー賞、アカデミー賞にも輝く巨匠、スティーヴン・ソンドハイム

 そのソンドハイムが作詞・作曲を手がけ、脚本をジョン・ワイドマンが担当したミュージカル『太平洋序曲』は1976年にハロルド・プリンスの演出でブロードウェイで初演されました。幕末から開国に至る激動の時代の日本を「西洋の目」からの視点で描くという試みは、日本が大きく変わって行く時代のうねりに翻弄される人々、西洋文化を受容し大国に成長した現代までの変遷を綴って話題となり、トニー賞2部門(美術・衣裳)を受賞しました。

 この『太平洋序曲』に新しい光を当てたのが、日本を代表する演出家の一人である宮本亜門。2000年に新国立劇場で日本初演が行われ、この舞台を当時世界文化賞演劇・映像部門の受賞式のために来日していたソンドハイムが観劇、「これ以上素晴らしい『太平洋序曲』はない」と絶賛し、彼の推薦により、2002年には日本人キャストでのリンカーン・センター(ニューヨーク)とケネディ・センター(ワシントン)での上演が実現、新国立劇場での再演も行われました。

 さらに、このアメリカでの公演が高い評価を受け、2004年12月にはオーディションで選ばれたアジア系アメリカ人俳優により、ブロードウェイのStudio 54劇場での公演が実現。宮本亜門はブロードウェイ初の東洋人演出家としてアメリカに迎えられ、翌年の第59回トニー賞にも4部門のノミネート(美術デザイン:松井るみ、衣装デザイン:コシノジュンコ、リバイバル賞、編曲賞)を果たすという大きな成果をあげました。

 そして2011年、宮本亜門6年ぶりの『太平洋序曲』が“開国”という扉を開けた地、神奈川にオープンした、神奈川芸術劇場、KAATで6月17日より7月13日まで上演されています。

 出演は、アメリカ艦隊との交渉役を命じられる奉行所の役人・香山弥左衛門に、カムカムミニキーナの看板俳優として舞台を中心に、TVドラマ、映画など活動の幅を広げると共に、バラエティー番組のMCとしても活躍する八嶋智人がミュージカル初挑戦。
船の難破でアメリカに渡り、帰国して黒船の来航を幕府に知らせ、香山と共に交渉にあたるジョン万次郎には、バラエティからスタートし、その後俳優としての実力を発揮、最近でも舞台・TVドラマ・ナレーションと存在感ある演技力で活躍の山本太郎
西洋文化を身につけ帰国した万次郎と、日本の武士である弥左衛門。二人が協力してアメリカに対する場面、そして反してゆく場面、この二人の共演は大いに関心を集めます。

 さらにストーリー全体を狂言回しとしてナレーションするのが、関西落語界のサラブレッド・桂米團治。ドイツ留学の経験もあり、落語家としてのみならず映像や舞台にも出演。クラシック音楽への造詣も深いマルチな才能に期待が集まります。

 他にも、幕府の老中を演じる田山涼成など、約2年間をかけて行われたワークショップ、オーディションで集められたキャスト。難易度の高いスコアを歌い、一人の俳優が何役も務めなくてはならないため、俳優としての力量と才能と個性が溢れるメンバーが集結しました。
また今回の舞台を製作する神奈川芸術劇場では、公共ホールの使命として一般に向けての出演者オーディションも実施。同劇場の芸術監督も務める宮本亜門も「機会が有れば又行いたい」と語りました。

 200年もの間、厚く閉ざされた「鎖国」という扉を開けた「開国」という出来事が起こった激動の時代を描いた『太平洋序曲』。
今を生きる私たちにも大きな問いを与えてくれるこの舞台が、ブロードウェイの興奮から6年、満を持してカナガワの地で幕を開けます。

 

神奈川芸術劇場 2011年オープニングラインナップ
ブロードウェイ・ミュージカル
太平洋序曲 

キャスト 
スタッフ

 

公演情報
神奈川公演
日程 2011年6月17日(金)〜7月3日(日)
会場 KAAT 神奈川芸術劇場ホール
料金 S席 8,500円 A席 7,500円 B席(イス付立見席) 4,500円 (全席指定・税込)
チケット
問い合わせ先 KAAT神奈川芸術劇場 045−633−6500

 

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