ジョン・ケアード版『キャンディード』公開舞台稽古

キャンディード初日会見
左より:市村正親、新妻聖子、井上芳雄、村井国夫

 6月2日に東京・帝国劇場で幕を開けるジョン・ケアード版『ミュージカル キャンディード』の公開舞台稽古が1日に同劇場で行われ、多くの観客が話題の舞台を初日より一足早く堪能しました。

 『キャンディード』は1759年にフランスの啓蒙思想家ヴォルテールが出版した『カンディード或は楽天主義説』(Candide, ou l'Optimisme)を原作に、1956年脚本:リリアン・ヘルマン、作曲:レナード・バーンスタイン、演出:ハロルド・プリンスという豪華な布陣で舞台化され、その後何人かの手による改訂を経て徐々に実績を延ばし、1989年にはバーンスタインが改訂を行ったヴァージョンが発表されて、ミュージカルとしては勿論、オペレッタや、オペラ、演奏会などでも上演され世界各国で親しまれる演目となっています。

 今回の日本公演で用いられるのは、1999年にロンドン・ナショナルシアターで上演されたジョン・ケアード版。日本でも『レ・ミゼラブル』『ベガーズ・オペラ』など多彩な舞台でその卓越した才能を見せて来たジョン・ケアードが台本を改訂し演出を手がけた意欲作で、ロンドンでも大評判となった作品です。

 時は18世紀、フランス革命が起きる前のフランス。「純真」「無垢」という意味を持つ名前の主人公「キャンディード」は哲学教師バングロスから教えられた“楽天主義”を信じ、美しい男爵令嬢クネゴンデと相思相愛の優しい青年ですが、とあることから人生の幸福を求める放浪の旅に出ることになります。様々な国をまるで双六のように転々とするキャンディードと周囲の人々の身に降り掛かる災難の数々。

 原作者のヴォルテール自身が二度の投獄、亡命を経験し諸国を放浪した体験や、リスボンの大地震、七年戦争などを下地に書かれたと言われるこの作品。
「楽天主義」「悲観主義」「啓蒙思想」など哲学的な命題を含むストーリーはともすれば難解と思われがちですが、ユーモアとウィットに富んだセリフ、奇想天外なシチュエーションなど、ゲームかコントのような展開はスピード感に溢れ、観る者を飽きさせません。
そして随所に溢れるバーンスタインの名曲の数々。有名な「♪序曲」やクネゴンデのソロ・ナンバー「♪きらきら陽気に」(Glitter and Be Gay)など聴き所も満載です。

 今回、ラテン語の「白」を語源とし、その名の通り純真で優しく、誠実で情熱的な主人公のキャンディードを演じるのは、ジョン・ケアード演出に初参加となる井上芳雄。歌唱に高い技巧が求められるためにこれまでの上演ではオペラ歌手が演じる事が多かったキャンディードの永遠の女性・クネゴンデは新妻聖子が扮します。
また従来は同じ俳優が演じていた「楽天主義者」バングロスと「悲観主義者」マーティンを別の俳優が演じるのもジョン・ケアード版の大きな特徴のひとつ。今回はバングロスに市村正親、マーティンに村井国夫と日本のミュージカル界を代表するキャスティングとなりました。また市村正親は物語の狂言回し役となる原作者ヴォルテールも2役で演じます。
さらに坂元健児駒田一安崎求阿知波悟美らジョン・ケアード演出の舞台でおなじみの顔が加わり、最強とも言える豪華布陣が実現しました。

 公開舞台稽古の最初にはジョン・ケアードが舞台に立ち、観客に来場の礼を述べた後、これが初めての通し稽古で有る事、もしもミスが起きたら許して欲しい事、万一技術的なトラブルが起こった場合は中断する可能性がある事を説明し、観客は暖かい拍手で応えます。その後、客席に居る音楽監督の山口氏を始めとするスタッフを紹介して、是非楽しんでください。と締め括ると、会場は再び大きな拍手に包まれました。

 また、開演前には出演者による会見もロビーで行われ、初日を迎える意気込みや、作品に対する思いなど、和気藹々と語ってくれました。
この会見の模様は近日中に動画とテキストで掲載を予定しておりますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

 空間いっぱいに広がる天地の輪と数個の箱で描き出される各国の情景、『レ・ミゼラブル』同様、アンサンブルを含め役者が色々な役を兼ねて演じるスタイル。ヴォルテールの原作に忠実であることを目指して創り上げたジョン・ケアード版『キャンディード』、壮大でありながら観客の想像力を刺激する、魅力的な舞台を是非ご覧になってください。


ジョン・ケアード版 ミュージカル『キャンディード』

キャスト

ヴォルテール&パングロス
市村正親

  キャンディード
井上芳雄
 
  グネゴンデ
新妻聖子
マキシミリアン 
坂元健児
マーティン
村井国夫
 
  老女
阿知波悟美
ヴァンデルデンデュール 
安崎 求
パケット
須藤香菜
カカンボ
駒田 一
  伊藤俊彦、小西のりゆき、中井智彦、野島直人、藤田光之、水野栄治
  阿久里夏代、稲田みづ紀、井上珠美、折井理子、さとう未知子、鈴木智香子
スタッフ

 

公演情報
東京公演
日程 2010年6月2日(水)〜6月27日(日)
会場 帝国劇場
料金 S席 12,500円  A席 8,000円  B席 4,000円 (税込)
問い合わせ先 帝国劇場 03-3213-7221

 

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