ベルバラから次郎長へ 宝塚OGが『勢揃い、清水港』を上演
左より:汀夏子(森の石松)、北嶋マミ(法印大五郎)、真山葉瑠(桶屋鬼吉)、えまおゆう(関東綱五郎)、雅景(小政)、森奈みはる(おみつ)、東千晃(お蝶)、榛名由梨(清水次郎長)、郷ちぐさ(江尻の大熊)、瀬戸内美八(大政)
宝塚歌劇団OG総勢17名が出演するステージ『勢揃い、清水港 次郎長三国志』が1月30日まで東京・銀座の博品館劇場で上演されています。
幕末から明治にかけて、駿河国(現在の静岡・清水界隈)を中心に活躍した侠客、清水次郎長こと山本長五郎の物語は、小説家の村上元三によって描かれた長編歴史小説「次郎長三国志」で有名となり、これまで数々の映画、TVドラマシリーズが製作されてきました。
その中で、清水次郎長役は、小堀明男や鶴田浩二、高橋英樹、北大路欣也、杉良太郎、中井貴一ら錚々たるスター俳優が熱演を博しており、常に日本人の人情に訴えかけるストーリーの代名詞として、今も多くの方々から支持される作品です。
その「清水次郎長」シリーズの中から「勢揃い清水港」をアレンジした今回の舞台に挑むのは、『ベルサイユのバラ』など数々のステージの名演で熱狂的なファンを持つ宝塚歌劇団のOGたち。
男役としてトップスターを務めた、榛名由梨、郷ちぐさ、汀夏子、瀬戸内美八、高汐巴、えまおゆうを始めとした往年の宝塚スター17名が勢揃いし、任侠作品に挑戦。
さらに流し目スナイパーの異名を持つ大衆演劇のスター、竜小太郎が加わり、笑いあり、涙ありの物語が展開します。
公演を前にして、劇中の扮装で会見を行った出演者たちは
「私たち宝塚の長い歴史の中では、――OGではありますけれど――この任侠の世界に初めて挑みます。そして主役をやっていたこれだけの皆さんが集まるというのも凄い事だと思います。精一杯演ってお客様が喜んで帰っていただけるなら本当に幸せだと、汗水垂らして頑張ってきました。殺陣回りも大変でしたけれど皆様に楽しんで観ていただけたら嬉しいです。」(榛名由梨)
「長年休んでおりまして、久々に出て参りました。宝塚時代の下級生の方の熱い思い入れ、同期生の榛名由梨さんの温かい心に守られてヒョロヒョロと出ております江尻の親方でございます。」(郷ちぐさ)
清水港という題材で、色んな組で色んな時期に辞めたOG、歌劇団に居た頃にはお話もしなかった様な人たちと、一つになって一つの作品を創り上げて行ける。この幸せというか、何年も会わないけれど会ったら「やぁ!」って、やっぱり同じ釜の飯を喰ったというか、宝塚の歴史も凄いけれど、皆で集まれてこういう筝が出来るって筝は本当に幸せですし、ありがたい事だと思っております。滅多に無い筝ですから、是非来てください。観ないと損です。(汀夏子)
とにもかくにも初めての任侠モノですけれど、和気藹々とやっております。だけど、その和気藹々の中にも必ず上級生・下級生がございます(笑)。規律を守りつつ和気藹々と楽しくやっております。どうぞご覧になってください。(瀬戸内美八)
お正月から賑々しい舞台に参加させていただいて本当に幸せだと思っております。大好きな先輩方、そして下級生の人たちと一丸となって30日まで華やかに、凛と潔い舞台を務めさせていただきたいと思います。(高汐巴)
下級生です(笑)。私が子どもの頃に憧れていたトップの方々とこのようにして並べることが、大変実は申し訳ないなと思いながら、でもこういう経験は大切だなと思って感謝の気持ちで30日まで演らせていただきたいと思います。上級生の方を突き飛ばしたり舞台上ではしています・・・すみませんでした。石松さんに関しては私の下なので偉そうに頑張りたいと思います。30日までやっていますので、観にいらしてください。(えまおゆう)
とそれぞれに、意気込みとメッセージを語ってくれました。
●今回初の任侠モノということで、ご感想とこれまでの経緯をお聞かせ下さい
榛名 私の同期生でもあり事務所の社長でもある町田英子さんが「榛名がこういうのを演ったらいいよね」という夢の様なお話で来ていたんですけれど、今回の製作の中崎さんが「なら一緒に公演しようか」という話になって、やっと実現した話なんですね。出演者の方たちがこれだけ集まったというのは、やはりそうした製作者の方たちが皆さん頑張られたからだと思います。もちろん任侠というのは初めてですが、皆やり始めたら不思議と、男役で皆頑張ってきた経験豊富な人たちがトップスタート言われるだけあって様になって来ているというか、もちろん竜小太郎さんに、立ち回りの殺陣の先生たちに皆さんに教わりながら、本当になりきるように皆頑張っています。気持ちのいいものだと多少思いますが、任侠言葉はずっと最後まで難しいです。
郷 私は前に入れ墨入れて片肌脱いでやった事があって、私は仕草が大好きでちょっと動きすぎなんですけれど、○十年前を思い出しながら楽しんで演っております。
汀 この度は森の石松という余りにも皆さんに名前が知られているので凄く責任を感じます。片方の眼が(眼帯で)全く見えていないので、立ち回りもちょっと怖いなと。本当の男の方と立ち回りができるので、それは本当に助かっています。上手く切られて下さるので、ありがたいなと思っています。とにかく怪我の無いように、片方の眼しか見えないのが少し怖いですが、最後まで頑張ります。
瀬戸内 とにかく楽しいです。斬られてくださる方がとてもお上手なので、本当に。このチャンバラのお稽古だけは10日間、毎朝11時から12時半くらいまで全員でやっていましたので、チャンバラは斬られてくださる方がとても上手なので楽しいです。
高汐 私は花組時代に相手役をしていただいていた秋篠美帆さんと何十年かぶりにまた夫婦役を務めさせていただきますので、それがとても嬉しくて、またその時代にご覧頂いていた方に喜んでいただけるのではないかと思っておりますので、30日で終わってしまいますので、是非是非沢山の方にご覧頂きたいと思っております。
えまお 私は宝塚を退団する前の3〜4年間は刃物を持たされない公演はなかったので、折角ですからその刃物を持った経験を生かしたいなと思った時に男性との立ち回りが有るということで、宝塚ではいつも下級生が斬られ役だったので、今度は本当の男の方で、本当に上手く斬られてくれるのだと思ったら、それにちょっと興味を持ちまして今回のお話を頂いた時に「はい、頑張ります」ということになりました。怪我の無いように、極力殺陣の達人に見えるように・・・以前沖田総司や坂本龍馬を演らせていただいただけの事は有ったと言っていただけるように頑張って千穐楽まで演りたいと思います。
●榛名さんの演じられている役はこれまでに多くの方が演じられていますが
榛名 一番最近では中井貴一さんが演られている映画があって、有名な方たち、名だたる方たちがなさっている役で、清水の次郎長というは本当に凄く有名な人物であるし、実在の人物であるし、本当にプレッシャーがいっぱい掛かって来ましたけれど、
周りの人も違うし、こういうメンバーでやることになって皆に支えられて演らせていただいているという幸せな感じです。勿論、心は親分だから子分を思っている・・・清水一家って凄く仲良しだったんですって。ホント実際が。本当に仲が良かったんですって。石松も途中から入ってきますけれど、本当に破天荒な人間だけれどもやっぱり次郎長は凄く愛していたんだな、という気持ちで、最後のところは石松のために皆で命を張ってやる訳だから、ああいう世界観というのは、今までの日本人はそういう気持ちを忘れかけているようなものが感じられて凄く幸せで、演るにあたっては次郎長を演らせていただけて、人間的に成長するんじゃないだろうか、という気持ちがしますね。まあ、背伸びは多少はしなくてはいけないですけれど。
多くの舞台・映画・ドラマなどで知られている「清水次郎長一家」ですが、強い絆と団結力で結ばれていたその姿を、宝塚という共通の基盤を持ったOGたちがどのように演じてくれるのか。
また、10日間、毎日11時から12時半くらいまで全員でみっちり稽古をしたという、男性陣を相手にした殺陣回りのシーンや、花組時代にコンビを組み同時に退団した高汐巴・秋篠美帆が夫婦役を演じるなど、見どころや興味は尽きません。
このめまぐるしく変転する21世紀に、同じく変転した幕末・明治時代に全国にその名を馳せた「清水次郎長」こと山本長五郎の破天荒でありながらも人望・人情深い生き様を描く『勢揃い、清水港 次郎長三国志』。
時代を超えた娯楽時代劇は、出演者たちの在団時を知る方々から、時代劇ファン、新しい宝塚ファンまで、広く楽しめる舞台と言えるでしょう。
新春特別企画
ベルばらから次郎長へ
勢揃い、清水港 次郎長三国志
キャスト | 清水次郎長 | 榛名由梨 |
---|---|---|
江尻の大熊 | 郷ちぐさ | |
森の石松 | 汀夏子 | |
大政 | 瀬戸内美八 | |
小松村七五郎 | 高汐巴 | |
関東綱五郎 | えまおゆう | |
三保の豚松 |
鷹月笙 |
|
桶屋鬼吉 | 真山葉瑠 | |
小政 | 雅景 | |
ぬい | 真由華れお | |
法印大五郎 | 北嶋マミ | |
お蝶 |
東千晃 |
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おせん | 美雪花代 | |
お園 | 秋篠美帆 | |
おみつ | 森奈みはる | |
おきよ |
常盤みづの |
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おさと | 愛那結梨 | |
都田吉兵衛 大前田英五郎 謎の女お竜 |
竜小太郎 |
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スタッフ | 原作 | 村上元三 |
脚本 | 鈴木則文 | |
演出 | 小国正皓 | |
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公演情報
日程 | 2011年1月21日(金)〜1月30日(日) 全17公演![]() |
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会場 | 博品館劇場 |
料金 | 9,000円 (全席指定・税込) |
問い合わせ先 | ドラマ・ステーションJAPAN 03-5427-1887(平日 10:00〜18:00) |