〜美しい旋律で奏でる、名作の舞台化〜 『嵐が丘』

左より：安倍なつみ、山崎育三郎、河村隆一、平野綾

　30歳の若さでこの世を去ったイギリスの小説家、エミリー・ジェーン・ブロンテが遺した唯一の長編小説「嵐が丘」は、イギリス・ヨークシャーの荒れ野に建つ荒れ果てた館“嵐が丘”を舞台に、館の主人に拾われた孤児・ヒースクリフと、館の持ち主であるアーンショウ一家を巡る愛と憎しみの物語。

　数多くの日本語訳が出版されている他にも、1939年制作（監督：ウィリアム・ワイラー、主演：ローレンス・オリヴィエ、マール・オベロン）を始めとして数度の映画化が行われており、また舞台としても日本でも数多くの上演が繰り返し行われている、160年以上経っても全く色あせない世界的な名作です。

　この古典文学の傑作を、様式美溢れたセットや衣裳、それとは対極の俳優が発する様式など全く意図しないリアルな演技、そして何度も聞きたくなるメロディの歌で、究極の感情を表現するオリジナルミュージカルとして甦らせた公演、『嵐が丘』の上演が行われています。

　この舞台を創り上げたのは、劇団文学座の演出家であり、また商業演劇から小劇場までストレートプレイを中心に幅広く活躍するヒットメーカー・西川信廣。劇団・自転車キンクリートの主宰として殆どの脚本を執筆する傍ら、東宝などの外部公演の脚本も手掛ける飯島早苗。ピアノ奏者・作編曲家として多くの楽曲を作曲、韓国のドラマや映画でも使用されて日韓両国で高い知名度と人気を誇る倉本裕基。
演出・脚本・音楽と、この3人が強力なタッグを組んで、老若男女問わず訴えかける男女の愛憎、その真髄を掘り下げたオリジナルミュージカルに挑みます。

　一方のキャストも、主演のヒースクリフには、ビジュアル系ロックバンド「LUNA SEA」のヴォーカルとしてデビューし、以降、ソロ活動を始めとして、ドラマ・映画・舞台出演、小説・絵本出版と多方面に活動の場を広げ、2008年に初挑戦となったミュージカル『CICAGO』では歌唱力・演技力が絶賛され、そのミステリアスな存在感と共に貴重な存在となった河村隆一。
「一人一人が自分の信じた愛のために傷ついたり悩んだり悔やんだり、色んな事が起きるんですけれども、現代ではそこまで一人の人を愛するということは出来るのかな、愛が希薄になって行く現代の社会には凄くホットな作品だと思っております。」と作品の魅力を語ります。

　アーンショウ家の娘・キャサリン役は、超人気の声優であり、近年は歌手活動やＴＶバラエティ、雑誌コラムなど表現者としての場を広げている平野綾がミュージカルに初めて挑戦。
「私はミュージカルというか、舞台が初挑戦なんですけれど、初めてでここまでどっぷり入り込める役に出会えたのは本当に幸せなことだと思っています。私の演じるキャサリンだけでなく、全ての役柄が本当に感情移入出来る、観ているお客様も絶対誰かの目線で観ていただけるような素晴らしい役が揃っていると思うので、そういう役に出会えて幸せです。」と気持ちの篭ったコメント。さらに初舞台の感触についても
「ちょこちょこ失敗したりとか（笑）、ゲネプロで思い切り転んだりとか（笑）、慣れない事がやっぱり多くて、でもその都度皆さんに教えて頂いたり本当に暖かい現場なので、凄く助けられています。声のお仕事だとお芝居をする時も動いちゃいけないとか制約が多いので、子役から声優になるに当たって抑えてきたものを、舞台でまた放出するのが今回凄く大変なところだったんですけれど、やり始めたら楽しいので・・・何とかなっています（笑）。」と笑顔を見せます。

　そしてＷキャストでキャサリンを演じるのが、「モーニング娘。」卒業後はソロ歌手として活動、さらに『三文オペラ』『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『安部内閣』など舞台出演も多くこなし、その魅力と実力に磨きが掛かる安倍なつみ。
「衣装も本当に凄く豪華で、早換えも沢山あるんですけれど、本当に今までやってきて来てこんな素晴らしい豪華な素敵な衣装を着たことが無いくらいに何着も着させていただいていて、皆さんも一緒で本当に華やかでこれも見どころじゃないかと思います。」と、ヴィジュアル面をアピールし、
「綾ちゃんは綾ちゃんの動きで、私は私の動きで、「二人一緒じゃなくていいよ」という演出の西川さんからの指示だったので、本当に全く同じではなくて、それぞれが違いますし、綾ちゃんが初めてということですが、私も毎回新鮮な気持ちで舞台に立たせて貰っているので、緊張はありますね。」とこちらも笑顔でのトークに、お互いを磨き合って来た充実感が伺えます。

　この二人を相手にする河村隆一も
「二人とも凄く明るいので、物語は暗いというか悲しい物語ではあるんですけれど、凄く現場が華やいで良いですよね。役に入った時は、二人とも少しテイストの違うキャサリンを演じてらっしゃるので、ヒースクリフもエドガーもそうですけれど、受ける側の芝居も変化していくこともまた凄く楽しいなと思っております。」とそれぞれの違いを楽しんでいる様子で、「僕らは皆台本を頂いて、演出家の方に演出して頂くんですけれど、台本の向こう側に本来色んなエピソードが有ると思うんですね。キャサリンにもヒースクリフにも有って、そこの感じ方で芝居する時の距離とか色んな物が変わって来ると思います。それは凄く新鮮だし、それに上手く反応していけた時というのは本当に楽しいですね。」とその手応えを語りました。

　さらにキャサリンの夫となるエドガーには東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役でデビューし、2010年の『モーツァルト！』では主役を演じて第36回菊田一夫演劇賞を受賞、これからの活躍への期待が益々高まる山崎育三郎。
「今回は作曲が倉本裕基さんという韓国では大ヒットを沢山書かれている作曲家で、ミュージカル初挑戦ということで、この『嵐が丘』の世界を倉本さんの音楽で更に広げているんじゃないかと思うので、この音楽もひとつの見どころじゃないかと思っています。」と、また違う視点で見どころをアピール。二人のキャサリンについては
「全く違うキャサリンで、安倍さんはベテランなので（笑）、大人の女性の強さとか、そういうものをキャサリンから感じますし、平野さんは天真爛漫で若くフレッシュなキャサリンで、本当にキャサリンが違うだけで、作品全体が全く違うものになるな、というのを演っていても感じるので、是非これは皆さん二度観て頂かないと駄目です。」と、Ｗキャストならではの魅力を語ってくれました。

　人は老若男女を問わず、純愛ドラマを求め、心の中で運命の人を捜し求めている。この普遍的なテーマを過激なまでに突き詰め、純愛、エゴ、すれ違い、誤解、愛するが故の復讐劇を描ききった『嵐が丘』。

　奔放で魅力的なキャサリンを巡るそれぞれの激しい感情のぶつかり合いが、生の舞台のみが持つ迫力と感動で客席に伝わり、物語を立ち上げて行きます。

　この舞台を観て「愛する」ことの真の意味を、今一度考えてみませんか。

ミュージカル
『嵐が丘』　

キャスト	ヒースクリフ	河村隆一
	キャサリン	平野綾／安倍なつみ　（Wキャスト）
	エドガー・リントン	山崎育三郎
	イザベラ・リントン	荘田由紀
	ヒンドリー・アーンショウ	岩�ｱ大
	ネリー（エレン）ディーン	杜けあき
	アーンショウ	上條恒彦
スタッフ

 

公演情報

東京公演

日程	2011年7月11日(月)〜7月24日(日)
会場	赤坂ＡＣＴシアター
料金	Ｓ席 11,000円　Ａ席 8.500円　Ｂ席 6.500円　　(全席指定･税込)

大阪公演

日程	2011年7月27日(水) 〜 2011年7月31日(日)
会場	梅田芸術劇場　シアター・ドラマシティ
料金	ＳＳ席 11,000円　Ｓ席 8,500円　 （全席指定・税込）
問い合わせ先	梅田芸術劇場　06-6377-3800