劇団Studio Life 音楽劇『夏の夜の夢』『十二夜』連続上演 キャストの関戸博一・松本慎也、特別インタビュー
スタジオライフ 関戸博一・松本慎也インタビュー
●今回はシェイクスピア作品という事で、特別な思いとか、他の作品と取り組み方に違いはありますか
松本 変わることって有る?
関戸 色々な方が上演している作品であるということは、思いとして凄く有りますね。色々な方が既に演っている・・・もちろん初めてこの作品をご覧になる方もいらっしゃるんですけれど、この作品がどういうものかを知っている方が沢山客席に居る、という状態で僕たちのシェイクスピアを演じるためにはどうやって行こうか、ということを探しながらやっていることはありますね。
松本 (頷く)でも、僕は逆に何か特別に気負うことはなくて、スタジオライフが凄く大切にしているのは心情と関係性なので、「自分たちが創ってきた作品・モノ創りのスタイル・姿勢を信じてシェイクスピア大先生に挑む!」みたいな感覚です。
●400年前の戯曲が上演され続けている理由を、実際に演じられてみてどのように思われましたか
松本 ストーリー自体は凄く単純なんですね。
関戸 うん。
松本 何か特別に凄いことが起きている訳ではなくて、ごく単純な事なんですけれど、描かれている人間の喜怒哀楽というか、そういうものに普遍的な面白さがあって、後はやはり言葉の美しさというのを凄く感じます。スタジオライフのシェイクスピアシリーズは松岡和子先生の訳を使わせて頂いているんですけれど、本当に言葉が綺麗で、役者としてこんな言葉を舞台上で発するのは本当にシェイクスピアならではなので、そいういう喜びは感じますね。
関戸 僕は懐の深さというか、やはり400年間演られて来ているんだなと感じるのは、ある意味どういう風に演っても大丈夫というか、好きに演っていいよというのを凄く――シェイクスピアが言っているかどうかは解らないですけれど――そういうものを感じて、その普遍的な思いとかが有ることに拠ることが強いんだと思うんです。凄く自由度が有るというか、好きな様に料理していいんだよ、というのが400年続いて来た理由かなと思いますね。
松本 カンパニーによっても全然違うし、演じている役者によっても全然違う。
関戸 色んな所で違うんだけれど、どれも全てが成立するというのがこの作品の、シェイクスピアの凄いところかなと思います。
●シェイクスピアの時代には男優だけで演じられていたので、そういう意味では原点に近い形での上演ですが、スタジオライフならではのシェイクスピアというのはどのようなものでしょうか
関戸 当時は男性だけで演じられていて、原点に近い形で僕らは演っているんですけれど、今の時代では普通に女性もシェイクスピアを演っている中で、敢えて男性だけで演るのは、原点だけれど新しいことなのかな、と思います。
松本 挑戦では有るよね。
関戸 女性役を女性が演るのが当たり前の中で敢えて男性がその役を演る、力強さであったり、男でしか出来ないパワフルさ、逆に男から見た女性の心情の演じ方だったりとか、力強さと繊細さ、原点なんだけれど新しいというのがスタジオライフのシェイクスピアなのかなと思います。
松本 僕たちは女性役が多いんですけれど、女優さんが同じ仕草を演ると物凄くわざとらしいと思える表現も、僕たち男性だと色んな表現方法がデフォルメして出来る。だからそういう部分でコミカルだったりもっとダイレクトにだったり色んな表現の仕方が選べるという利点はあると思いますし、男同士で演じるからこそ、本当に伝えたい思いとか、そういうものが男が演じているというフィルターを一枚通す事でダイレクトに伝わるというか、スタジオライフが持つ良さというものが出せるんじゃないかと思います。
●先ほど松本さんが「言葉の美しさ」と仰いましたが、関戸さんは前回の公演でのヘレナから今回はライサンダーへと役代わりですね。作品に対してのアプローチの仕方は変わりますか
松本 (笑)どうなんですか?
関戸 この間数えたんですけれど、ヘレナとして過去二回演じて40ステージくらい演っているんですね。40ステージくらいライサンダーに話しかけられていたセリフを今度は逆に僕が言うというのは、良くも悪くも山本芳樹さんのセリフだったり、楽屋や稽古場で見ていた曾世海児さんのセリフが凄く耳に残っていて、それをまず払拭するところから始めないといけない。あの二人が物凄く高いテンションで僕に向かって演っていた事を、そのテンションだけを追いかけて上げてしまうと自分で何を言っているか解らなくなってしまうので、今は段階を追ってそこを目指しているところです。美しい言葉だったり、同じような事を色んな表現で言っていたり、要は「愛している」ということを色んな表現で言っていたりするんですけれど、そういう言葉の意味を楽しんでいけるところからまず始めないと。とにかく過去のライサンダーを演っていた二人がぼくにとってはハードルというか、やっぱりまだ上の方に有るんです。で、一緒に舞台に立っていたから、あそこまで行かなけりゃいけないというのは解るんですけれど、そこまでどうやって登っていくかという方法を今一生懸命探しているところです。
●ライサンダーは魔法の薬で二度心変わりをするのがポイントじゃないかと思うのですが
関戸 ポイントですね。そのポイントを今探しているところなんですけれど、ただ変わった後のために変わる前を押さえることはしたくないし、変わった後にはぶっ飛んで行かなければいけない。僕らは凄くエネルギッシュで楽しいシェイクスピアを目指して演っているので、倉田(淳:演出)さんも昔良く「シェイクスピアは隣に住んでいるおじさんだというくらいの気持ちで、あまり「シェイクスピアだ!」って構えないでやりたい。」という事を言っていたので、そういう意味で僕も自由に、ここまでやっていいのか、という所を行ったり来たりしながら、一言で言うとどんどん変な人になって行きたいな(笑)とは思っていますね。だから今のイメージでは変身する前は格好良く、変身した後はおかしな人に・・・
松本 格好良く・・・
関戸 格好良く・・・演れる限り・・と思って演っています。
●松本さんは今回の『十二夜』再演で初演と同じ役を演じられる訳ですが、前回の思い出を伺わせてください
松本 前回、初演の時は本当に皆で手探りというか、お客様がとういう風に観て下さるのかが解らないまま創っていますので、色々な試行錯誤をしながら手探りの状態で創っていたんですけれど、一度やった事でお客様の反応というか、そういうのも解っていますし、再演する時はそれ以上のものをお客様は求めていらっしゃると思うんですね。だからもっと皆で初演を超えるものというか、――メンバーも皆初演の時と同じ役を演っている人間が殆どなので、――もっともっと掘り下げていい作品に出来るんじゃないかと思います。後、僕が演じたヴァイオラ/シザーリオという役は女性なんですけれど男装している、それを男の僕が演じるという凄く複雑な・・・
関戸 大変!
松本 初演の時に演出の倉田に言われたのは、シザーリオになった時=男装している役を演った時に、僕はもちろん普段が男なので男の方を自然に演ってしまうんですよね。で、女性の方を頑張って創り込む。「でもそれだと違う、本当は女性なんだからむしろ男装している時には常にストレスを感じながら、身体的にも声の事に関してもストレスを感じながら常に演じなければいけない。」という風に演出されて凄く難しくて、それを今回もっともっといいものにと言うか、男装している女性と言うものをもっと突き詰めて演りたいなと思っています。初演の時よりも僕自身も変わっていますし、周りの共演者も皆あの時よりも成長していると思うので、皆でより良いものを創れたらと思っています。
関戸 それは勿論ですよ。
松本 あと、今回は宇野亜喜良さんが、美術・衣装・ヘアメイクを手掛けてくださるので、また新しい『夏の夜の夢』『十二夜』になりますし、そういう力って僕たち役者にも凄いエネルギーを与えてくれるので、そういう部分も本当に楽しみにして頂けたらなと思います。
●『十二夜』ではお二人は双子の役ですね
松本 似ていますか? 舞台上だとね。
関戸 そう、舞台上だとね。
松本 凄く似ているって言われます。
関戸 舞台上だとね。
松本 何で二回言うの(笑)
関戸 結構似ていると言われます。
松本 良く言われるんですよ。
関戸 僕は一重で彼は二重なので、まずそこは違うんですけれど、何か雰囲気が似ていると言うか・・・
松本 骨格が似ていると言う風に・・・
関戸 言われるので。まあ同期でもあって付き合いも長いので、――双子と言っても人格は別人格なので、――そういう意味では無理して双子になろうとしなくても、ある程度は自然とお互いの考えている事は何となく解るので、その関係は元々出来ているかな、と。
松本 双子でずっと一緒に居た訳ですから、その二人の関係性というか空気みたいなものはゼロから作らなくていいという、そういう強みはあるなと思います。
関戸 単純な見掛けで言うと、彼もみあげが無いんですよ。
松本 (笑)
関戸 女の人ってもみ上げが無い人が多いんですけれど、だから僕は一生懸命もみ上げをこうやって少しでも減らそうと思って、そんな小細工ばっかりしていました(笑)
●双子に見えるためにお二人で話し合った事はありますか
松本 観て下さったお客様が本当に「双子に見えた」と言って下さって、それで若干僕の方が華奢でちっちゃかったりすると、「妹なんだ」みたいなのが凄くはっきり解ったと言われたので、それはもう本当にキャスティングだと。
関戸 今回はちょっと仕草に同じ癖を入れてみたり・・・
松本 そうだね。
関戸 そういうような事を、――前回はあまりしなかったんですけれど、――今回は二回目なのでそういうアプローチと言うのはやってみたいな、と思います。
松本 でも、会えそうで会えなかったり・・・
関戸 あまり舞台上では会わないんですね。
松本 一番最後にまた会えた時の、双子ならではの求め合うエネルギーみたいなものとか、そういうのは大事にしたいと。
関戸 そういうお互いを求めるもので、兄妹というか双子というのが出るのが一番良いかなと思います。
●最後に、それぞれ作品のアピールを含めたメッセージをお願いいたします。
松本 『十二夜』は歌あり、笑いありのドタバタ劇で、最後にはほろっとして頂ける、本当に色んなものが詰まった皆様に楽しんで頂けるエンターテイメントな舞台となっておりますので、前回ご覧になられた方も、まだ観ていないという人も是非劇場に足を運んでください。
関戸 『夏の夜の夢』は三度目ということで、初めてご覧になる方も、二度目の方も三度目の方も、過去にご覧になった方は懐かしいと思う部分と、新しいと思う部分が入り混じった舞台になると思うんですけれども、変わらないのはパワーを、本当に圧倒するようなパワーを発揮して、今回はメンバーが変わって違う面白さを見せられると思いますので、是非是非楽しみにしていてください。
●どうもありがとうございました。
劇団Studio Life
音楽劇『夏の夜の夢』『十二夜』
公演情報
日程 | 2011年10月22日(土)〜11月8日(火) |
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会場 | 紀伊國屋ホール |
料金 | 一般 5,700円 club LIFE会員 5,300円 |
問い合わせ先 | スタジオライフ 03-3319-5645 (12:00〜18:00) |

日程 | 2011年11月12日(土)〜11月13日(日) |
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会場 | サンケイホールブリーゼ |
料金 | 一般 5,700円 club LIFE会員 5,300円 学生 Lifeシート 4,000円 |
問い合わせ先 | スタジオライフ 03-3319-5645 (12:00〜18:00) |

日程 | 2011年11月18日(金)〜11月20日(日) |
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会場 | 同徳大学パフォーミングアーツセンター |

日程 | 2011年12月3日(土) |
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会場 | りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場 |
料金 | 一般 5,700円 club LIFE会員 5,300円 学生 Lifeシート 4,000円 |
問い合わせ先 | スタジオライフ 03-3319-5645 (12:00〜18:00) |
日程 | 2011年12月10.日(土) |
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会場 | かめありリリオホール |
料金 | 一般 5,300円 シンフォニークラブ会員 4,700円 |
問い合わせ先 | スタジオライフ 03-3319-5645 (12:00〜18:00) |