「ガラスの仮面」劇中劇『女海賊ビアンカ』開幕
左より:加藤雅也、唯月ふうか (株)大都芸能 速水真澄氏から贈られた花と共に
1975年に隔週誌『花とゆめ』(白泉社)で連載がスタート、これまでに単行本は49巻が刊行(2012年10月)され、コミックの累計販売総数は5000万部を突破。日本だけではなく世界中にファンを持ち、特にアジア・イタリアでは絶大な人気を誇る稀代のベストセラー漫画「ガラスの仮面」。
貧しい家庭で育った平凡な一人の少女・北島マヤは、かつて、幻の名作『紅天女』の主役を演じた大女優・月影千草に見出され、やがて家を出て月影の設立した「劇団つきかげ」で女優への道を歩み始めます。様々な壁に突き当たりながら、情熱と努力でそれらを乗り越え、演技に対する天性の才能を開花させ成長して行くその姿は、長年に渡り多くの熱狂的なファンの支持を得てきました。
作品中では登場人物たちが様々な劇を演じるエピソードが度々登場し、『真夏の夜の夢』『嵐が丘』『奇跡の人』などの名作を始め、オリジナルのストーリーも数多く存在していますが、その中で、北島マヤが体育倉庫を使って文化祭で披露し、観ている観客をたちまち魅了した一人芝居『女海賊ビアンカ』は、ファンならば誰でも知っているエピソードであり、一つのドラマとして読みたい、実際の舞台として観てみたい、と長年期待されてきました。
「ガラスの仮面」としては、これまでも舞台、ミュージカル、アニメ、テレビドラマと様々な形での展開が行われて来ましたが、この度、作品中の劇団「劇団つきかげ」が現実の劇団として2014年春に旗揚げされることになり、その“プレ旗揚げ公演”として『女海賊ビアンカ』が作品中の劇としては初めて舞台化され、11月27日に東京・AiiA Theater Tokyoで初日の幕を開けました。
『女海賊ビアンカ』は、ストーリーの中では脚本として完成版という形になっていない為、原作者の美内すずえ氏完全監修のもと、演出家・児玉明子が脚色をしての上演となります。
物語の舞台は16世紀初頭のイタリア西部。ジェノバ海軍が地中海でとある海賊船を捉えた。船上で行われた裁判の途中、海賊一味に男装の女性が見つかる。彼女の名はビアンカ・カスターニ。実はジェノバと敵対するヴェネチア大貴族の一員で、和平を結ぶためにジェノバに嫁いで来たのだが、反対者の妨害にあい、追われる身となってしまった。逃げる船上で海賊に襲われた彼女は捕らえられ、海賊の一味となってしまった。。。
出演は、運命に翻弄され、大貴族の名を捨て海賊として生きるヒロイン・ビアンカに、9代目ピーターパンに抜擢され、その演技・歌唱が高い評価を受けて女優としての成長が期待される唯月ふうか。
海賊船で多くの部下に慕われる副首領で、男のなりをしているビアンカにいち早く気付くも何も言わず、そっと見守るシルバーに、モデルから俳優となりテレビ・映画・舞台に活躍する加藤雅也。
更に、ヴェネチアを手に入れようとする陰謀の黒幕を演じる大沢逸美・岩崎大、ビアンカの人生に深く関わる二人の男性に若手人気舞台俳優の瀬戸祐介と原嶋元久、ストーリーテラーとなるジェノバ大使に根本正勝らの経験豊かなキャスト陣に加え、劇団つきかげオーディションから選ばれた劇団候補生によるアンサンブルも加わり、原作では一人芝居となっている『女海賊ビアンカ』が、総勢62名(内24名がWキャスト)による壮大な物語となってステージ上に展開します。
初日を前に公開リハーサルと記者会見に臨んだ唯月ふうか、加藤雅也の二人は、
唯月 「稽古期間が短くて、ここまで来るのがあっと言う間でしたが、カンパニーの仲が凄く良くて、通し稽古をして凄く良い舞台だと自分でも思ったので、是非皆さんにも満足して頂けたらなと思います。」
加藤「稽古場では実感出来なかった事が、実際に劇場に入ったら影絵が有ったり、ブラックライトが有ったり、凄く楽しい舞台になっていると思います。稽古場では無かった面白さも実感しているので、是非観に来て頂きたいと思います。」
と意気込みを語りますが、実際に剣を合わせるという殺陣は大変だった様子で、
唯月「フェンシングの殺陣には苦戦しましたが、共演者と息を合わせて格好良く出来たらいいと思います。」
加藤「刀での殺陣は慣れていますが、フェンシングは初めてなので、一生懸命練習しました。」
という事で、劇中での歌・ダンスなどと共に剣を使っての殺陣も見どころとなりそう。
「北島マヤの演劇に対する情熱が本当に凄いと思って、私もこの舞台でマヤちゃんみたいに情熱的に演じられたらいいな、と思うし、ビアンカは女の子から男の子になったり、男の子から女の子になったり変化がすごく激しい役なので、それを皆さんも一緒に楽しんで頂けたらと思います。」と笑顔で語る唯月ふうかと、優しい目で見守る加藤雅也の姿からは、このカンパニーの充実ぶりが伺えます。
また、会見の途中からは原作者の美内すずえ氏も加わり、
「本当にお二人共格好良くて凄く嬉しいです。『女海賊ビアンカ』は「ガラスの仮面」の中の劇中劇ですが、本当は二年くらい掛けて連載で描こうと思って取って置いた作品を劇中の舞台劇にしてしまったんですよね。それで、連載一本フイにしたという事です(笑)。残念な思いだったんですけれど、こうやって今回こうした形になって、連載一本フイになったけれど、舞台化されて凄く幸せだと思っています。」と原作でのエピソードを披露、そして、今回の舞台については
「私は二次元の世界なので、立体的になるとか、実際の役者さんが演じて下さるというのは凄くワクワクして嬉しいです。今回は稽古も拝見して、皆さん凄く気合が入っていて、非常に躍動感があって、いい舞台になっていると思います。原作者なので、ストーリーもセリフも全部知っているんだけれど、途中で胸がジーンと来て、涙がほろっとする感じになって、「なんだこれは稽古中に」と思っていたりもしていました。そういうところをちょっと期待して観て頂けたら嬉しいなと、思います。」と、その出来上がりには充分満足のコメントでした。
役者・ダンサー・声優などの発掘育成をテーマに、来年春に本格始動する「劇団つきかげ」。
今回の『女海賊ビアンカ』上演は、その旗揚げに向けての大きな弾みとなりそうです。
美内すずえ×ガラスの仮面劇場
劇団つきかげ」プレ旗揚げ公演
『女海賊ビアンカ』
公演情報
スタッフ | 原作・原案: | 美内すずえ |
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脚色・演出: | 児玉明子 | |
音楽: | 玉麻尚一 | |
振付: | TAKAHIRO / AYAKO | |
主催: | 劇団つきかげ製作実行委員会 (ソフトコンサルティング・ヴァンズエンタテインメント・ネルケプランニング・日本経済広告社) |
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協力: | 白泉社 |
キャスト | 唯月ふうか、加藤雅也、 |
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瀬戸祐介、原嶋元久、大沢逸美、岩崎大(Studio Life)、根本正勝 ほか |
日程 | 2013年11月27日(水)〜12月1日(日) 全7回公演 |
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会場 | AiiA Theater Tokyo(アイアシアタートーキョー) |
料金 | 6、800円 (税込・全席指定) |
問い合わせ先 | 劇団つきかげ製作実行委員会 事務局 03-3548-8307 |